福岡地所グループの(株)エフ・ジェイ ホテルズは、九州で複数のホテルブランドを展開している。ハイアットブランドなど高級ホテルも運営するが、最近目立つのは高品質な宿泊特化型の「ホテルフォルツァ」の展開だ。知見を活かし、シティホテル並みの客室を作り上げている。同社代表取締役社長の清原邦彦氏に話を聞いた。
―― 貴社の概要を。
清原 福岡地所(株)のホテル運営子会社であり、九州でハイアットブランドの外資系ホテルからビジネスホテルの「サンライフホテル」、サービスアパートメントの「ザ・レジデンシャルスイート・福岡」など幅広く展開している。客室数は計1910室に及ぶ。
―― ハイアットブランド2施設を展開。
清原 「グランドハイアット福岡」をMCで、「ハイアットリージェンシー福岡」をFCとして福岡市内で展開している。グランドハイアットは福岡市内でも有数の高級ブランドで、2年かけて実施していた客室の大規模改装がこの4月に完了した。7月にリニューアルしたレストランのデザインは小坂竜氏が担当しており、装い新たに運営している。
―― 全体としての運営動向は。
清原 好調に推移している。震災の影響ももうない。九州は福岡を中心に訪日客が多く、我々の施設も全体の3分の1ほどが訪日客となっている。この1年間でFIT(個人客)化が進んだ印象があり、特にグランドハイアットでFIT化の傾向が目立つ。
―― ホテルフォルツァの拡大が目立ちます。
清原 2008年の「ホテルフォルツァ大分」(205室)を1号店として、長崎(175室)、博多駅筑紫口(170室)で展開している。今年2月には博多駅の博多口近くにも開業した。客層としてはビジネスだけでなく、レジャーも取り込んでいきたいと思っており、いずれの施設も繁華街、中心部に位置している。
―― ブランドコンセプトは。
清原 宿泊特化型ながらシティホテル並みの客室としている。全室にiPadを設置するほか、大型テレビやマッサージチェアがある部屋もある。内装や室内のインテリア、雑貨にも凝っており、画一的な施設でなく、施設によって客室を変えている。シングルルームはほとんどなく、ダブルルームは18m²から、ツインルームは24m²からと広めに確保している。フォルツァという言葉は「元気、活力」という意味。我々のところに泊まっていただき、元気になってほしいという願いが込められている。
―― 宿泊特化型ではサンライフホテルがすでにあります。
清原 サンライフホテルは客室サイズが10~12m²ほどで、いわゆる従来型のビジネスホテル。フォルツァが目指しているのは部屋のスペックはシティホテル並みであり、サンライフホテルとは立ち位置が違う。フォルツァの稼働率は90%を超えるが、ビジネスホテルと比べて女性の支持が多く、サンライフとは違った客層を取り込めている。
―― 博多駅筑紫口のフォルツァ増築について。
清原 現在170室で展開しているが、7月末に65部屋を増築して計235室とする。実はこの増築エリアはかなりのチャンレンジとなり、宿泊特化型ホテルながら39m²の部屋を5室設ける。このカテゴリーの中では相当広く、広いソファなどがあり、女性グループの利用を考えてシンクを2つ付けている。床をフローリングにするなど内装も凝っている。このほか、増築の65室中25室を新しいタイプの部屋にする。
―― あえてチャレンジする理由は。
清原 開業当時からインバウンドブームに乗れて想定以上に好調なこともあるが、将来に向けた試金石でもある。現4棟体制を将来的には計10棟体制としたいが、お客様にどの程度の価格、どのような部屋が受け入れられるのかを検証し、今後の展開につなげたい。
―― 今後の開発は。
清原 現在、札幌駅前と大阪・北浜で新たなフォルツァを開発している。福岡地所グループとして関門海峡を初めて超えた開発だ。大阪は約200室で19年夏に開業する。札幌は19年春に開業し、当初200室程度の予定だったが、隣地を取得できたので300室程度に規模を拡大して20年春ごろには開業したい。
―― 最後に抱負を。
清原 福岡地所グループはこだわりが強い会社だと思っており、フォルツァの開発でも細かいところまで相当こだわっている。また、我々はハイアットブランドを運営していることもあり、ハイクラスな部屋を作る上でデザインやインテリアにおける知見がある。このような強み、特徴を生かして施設運営、開発を行っていきたい。
(聞き手・副編集長 高橋直也)
※商業施設新聞2203号(2017年7月25日)(7面)
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