プレス工業(株)(川崎市川崎区塩浜1-1-1、Tel.044-266-2581)は、トラックのフレームやアクスルなどの構造部品や特殊車両の製造などを行っており、トラック用部品のコア商品と位置づけ世界No.1を目指している。藤沢工場(神奈川県藤沢市遠藤2003-1)は、トラック用フレーム、ギア、アクスルケース、フロントアクスルなどを生産。主に近隣にあるいすゞの工場に向けて出荷されている。
同社の工場は関東地方には藤沢工場のほか、宇都宮工場、川崎工場、埼玉工場がある。宇都宮工場に大型プレス機があり、大型のものはここで加工し、藤沢、川崎、埼玉の各工場に持ち込んで組み立て加工を行う。川崎工場は三菱ふそうトラック・バス、埼玉工場はUDトラックスに主に納入している。
藤沢工場は1961年設立。樹脂部品、バンパー部品の設計・開発および製造、トラック向けのアクスル、フレーム、パネル、シャフト類を生産している。フレームは、小型のものは一貫生産し、大型のものは宇都宮工場で加工したものを持ち込み組み立てを行っている。アクスルは、プレス加工は宇都宮で行い、小型のものはその後一貫して製造。中・大型のものは埼玉工場で組み立てを行い、最後の機械加工、熱処理を藤沢工場で行っている。3年前に最新の自動機を導入し、アクスル加工ラインの設備の更新を順次行っている。
同工場では、ものづくりの原点に返ろうという運動をここ1年半行っている。手の届かなかったところに目を向けており、プレス機のまわりや、建物の外の配管などをきれいにするようにした。
プレス工程は4ラインでフレーム部品の成型を行っている。4000tプレスでサイドメンバー、そのほかでサブメンバーの成型を行っており、大型用は宇都宮工場の5000tプレスで成形している。
組み立て工程は、大型用と中型用の2ラインがある。大型用はバリエーションが多く、同じものを作ることはないため、人に頼ったラインが特徴となっている。組立工程には特車エリアがあり、特殊なものを作るのに加え、新人の研修も行っている。
塗装工程では、現在新ラインを導入中。海外へ出荷する部品をメーンに塗装するラインとして導入しており、現在は評価用ワークの塗装を行っている。近く本格稼働する予定。塗装は一部外注していたが、内部にラインが必要ということで新たに導入した。
金型工場では、高速機6台、低速機4台、特殊機1台の計11台の大型機械が設置されている。2016年10月に新たな高速機を導入。ほぼ無人で金型が削れる機械となっており、できるだけ無人で加工を行っていく。金型は、藤沢工場以外に、尾道工場と、タイの工場で一部生産を行っているが、藤沢工場がマザー工場と位置づけられており、一番設備が充実している。金型は社内で使用するものだけでなく、一部外販も行っている。
小型アクスルケースの組み立て工場は、A、B、C、Dの4ラインがあり、国内用、輸出用で使い分けている。宇都宮工場で成形したものを組み立てており、作業員3人に、ロボット40台が配置されている。一番自動化が進んでいる部署で、汎用性のあるロボットを使用することで、モデルチェンジで投資がいらない、タクトが早いなどのメリットがある。
小型用フレームの組み立ても国内向けと海外向けで生産ラインを使い分けている。A、B、Cの3ラインがあり、この隣の空き地にいすゞの新型車向けの新ラインを設置する計画。
同社では、国内工場に年間40億~50億円を投資しており、藤沢工場にその多くを投資している。「ある程度の能力は維持しているので、能力を大きくすることは考えていない」(角堂博茂社長)という。能力を増強する投資ではなく、設備の更新や精度の向上などが主流となっており、新ラインの導入などで精度を上げていく方針だ。
(編集長 植田浩司)