野村不動産グループの(株)ジオ・アカマツ(東京都新宿区西新宿8-5-1、Tel.03-5348-8101)は、野村不動産グループの商業施設開発のサポートのほかに、グループ外の商業施設のPM受託や、再開発事業を通じて街づくりにも参画する。同社社長の横山氏に聞いた。
―― グループの線引きは。
横山 野村不動産はデベロッパー、また野村不動産投資顧問はアセットマネージャーであるのに対して、当社は企画や運営の実務を担う。併せて調査やマーケティング、プランニングからMDづくり、リーシングなどをサポートすることが多い。飲食ビル「GEMSシリーズ」は一例だ。
ただし、グループに関係した事業量は3割ほどである。運営物件も現在46件あるが、グループはやはり3割ほどだ。グループ外の仕事が圧倒的に多く、47都道府県で実績がある。
―― いよいよ3月30日に「メイカーズピア」が開業します。
横山 メイカーズピアは名古屋・金城ふ頭のレゴランドの隣接地にオープンする。従前公園だった敷地2万4000m²(1期用地)に、“メーカーテイメント”をキーワードに、51テナントすべてが体験型、もしくは新業態となる。あえてハコ型にせず“街並み”をつくり、滞在や歩くことが楽しくなるような施設で、レゴランドを訪れる際、導線上にメイカーズピアがあることから門前町のような位置づけだ。
GCDS JAPAN(株)と矢作地所(株)が事業主となり、当社がゾーニング、リーシング、業態開発、環境の提案など実務全般を担当した。テナント様のご理解を得ながらカスタム化したことは大きな自信となった。
―― 再開発案件も多数手がけています。
横山 これまで230の再開発事業に携わってきた。最近では柏駅東口D街区の再開事業の「KASHIWA Day One」や明石駅前南地区再開発の「パピオスあかし」の商業部分調整やリーシングを手がけた。現在は例えば府中駅南口駅前の再開発ビルにおいて、100店規模で7月にオープンする準備をしている。区分所有以外の地下1階から地上5階の6フロアのテナント誘致を担当した。当社は商業地権者の仮設時条件などにも対応する。その延長で東日本大震災復興案件として「岩手県陸前高田市中心市街地復興計画」や「宮城県南三陸町中心市街地復興計画」で、街なか再生計画や換地と借地計画をお手伝いした。阪神淡路大震災でもこうした実績がある。
―― リニューアルは。
横山 GMSが多く年間10件程度を手がける。核店舗が退店や減床してマルチテナント化したり、それに伴う規約変更なども多い。
―― そのほかは。
横山 大阪のテーマパークの門前商業施設のサイン類を電飾化などで一新し、半分程度が完了した。改装後売り上げは2倍と絶好調だ。今秋第2期を予定している。
―― ボーノ相模大野は。
横山 大型リニューアルを昨年行った。2階に核として生鮮3店を導入し、ミニデパ地下のようなつくりとした。売上高は前年比145%と伸長している。今後はファッションや雑貨・サービスなどが集積する他フロアに注力したい。
―― 商環境をどうみていますか。
横山 飲食は堅調だ。他のデベロッパーも飲食店や食物販誘致志向が強く、その傾向は続くだろう。
一方、アパレルは総じて元気がないが、エッジの利いた個店は生き残るのではないか。業界のオールスターで編成し、当社もプロデュースの一翼を担ったデニムショップが3月24日に原宿神宮前にオープンする。店名は「Apple&Attitude Custom Denim Tokyo」。優れた生地セレクションの中からカスタムで自分の好みのジーンズをつくれる。本格派でコアなファンに納得のオリジナルモデルも販売する。
―― 運営受託施設は増やしていきますか。
横山 もちろん増やしてはいきたいが、どちらかというと過去の関係性で依頼される案件の方が多い。良い運営のためにはPMとしてのノウハウを十分に発揮できるだけの報酬が必要となる。リーシングなどでも成功報酬より指名で依頼されて意気に感じて行う方が良い結果になることが多い、というのをとても感じる。
―― 最後に抱負を。
横山 当社は選択と集中を特にせずに、企画からリーシング、管理運営をこなしてきた結果、フルメニューを持つ珍しい企業となっていた。今後はこの特徴をより発揮していきたい。07年に野村不動産グループになって、デベロッパーが求めることもよりわかるようになってきた。デベロッパーがこうして欲しい、こういう施設を作りたいとの思いを当社が蓄積した「フルメニュー」を活かして、具現化できる会社にしたい。
(聞き手・編集長 松本顕介/副編集長 高橋直也)
※商業施設新聞2185号(2017年3月21日)(1面)
デベロッパーに聞く 次世代の商業・街づくり No.221