商業施設新聞
新聞情報紙のご案内・ご購読 書籍のご案内・ご購入 セミナー/イベントのご案内 広告のご案内
第57回

(株)串カツ田中 取締役店舗開発部長 近藤昭人氏


家族層ターゲットに急成長
味は本場大阪、店づくりは家族向け

2016/12/13

(株)串カツ田中 取締役店舗開発部長 近藤昭人氏
 (株)串カツ田中(東京都品川区東五反田1-7-6、Tel.03-5449-6410)は、関東を中心に大阪伝統スタイルの串カツ店を積極的に出店している。2008年の1号店開店以来、全国で130店(16年10月現在)にまで広げている。9月には東証マザーズに上場しており、急成長を遂げていることから注目を集めた。同社の戦略、これからの展開などを取締役店舗開発部長の近藤昭人氏に聞いた。

―― 現在の外食・居酒屋産業の中で、串カツ屋という業態はどのような位置づけですか。
 近藤 総合居酒屋という業態が疲弊している中、串カツ屋というのは黎明期で、伸びしろがあると考えている。まだ全国的に認知度が高いとは言えないと思っているので、業態全体を牽引していきたい。

―― メーンターゲットとなる層や、客単価について。
「串カツ田中」店舗外観イメージ
「串カツ田中」店舗外観イメージ
 近藤 これまで串カツに馴染みがなかったファミリー層などがターゲットだ。このような層に本場大阪・ミナミや西成スタイルの串カツを広めていきたい。当社の業態では居酒屋だけではなく“食堂”という面を重視しており、夕方に来る子供連れのファミリー客需要を取り込むため住宅街に出店している。
 オフィスや繁華街では居酒屋としての利用がメーンだが、そこで利用した客が地元の住宅街でも店舗を認知して、休日に家族を連れていくといったことも想定している。実際の来客も6割がリピーターで、こういった層を取り込めていると思う。客単価は1人あたり2400円程度で、オフィス街だと2700円程度だ。

―― 店舗のフォーマット、および店づくりの工夫を教えてください。
 近藤 22~23坪程度、1テーブルに2席で50席前後が基本フォーマットで、30坪前後の店舗では小上がり席やベンチ席を設けている。店づくりは前述の未利用ファミリー層を取り込めるようにしており、店の間口を広くしファサードをクリアにする、店の清潔感を高めるなどの工夫を行っている。本場大阪の串カツ屋の店構えとは異なる趣だ。

―― 売り上げと出店状況について。
 近藤 16年の売り上げは40億円程度の見通しで、前年に比べて60%アップしている。出店状況は、北は北海道から南は九州まで出店しており、現在は全国で130店。16年度中には30~40店を出店する予定だ。出店しているエリアの7割は住宅街で、残りはオフィス街、繁華街などだ。

―― 4月にはKITTE博多に出店していますが、今後さらに商業施設への出店はありますか。
 近藤 デベロッパーからのお声掛けはいただいている。ただ当社は住宅街から発祥した企業なので、いきなり商業施設にたくさん出店するわけではない。KITTE博多への出店も試験的に出店したものだ。

―― 今後の事業展開や出店計画について。
 近藤 セカンドブランドのようなものは特に考えていないが、当社の串カツから派生する中食やソースの物販、デパ地下などに出店はしていければと思っている。今後の出店のメーンは首都圏で、とりこぼしのあるエリアをカバーし、年に30~35店程度を出していきたい。
 地方都市については、県庁所在地の駅前、オフィス街などに出店して実績を作り、その後FCによる周辺へのドミナント出店でやっていく。またロードサイド型店舗だけではなく、ビルの3階以上に入居する空中店舗や、地下店舗などの形態についても、ブランドの認知度が高まればやっていきたい。海外への出店はアジア方面で考えているが、具体的にどこに出店するか、出店形態がどうなるかはまだ決まっていない。
 店舗数については、中期的には5年間で200店程度を出店し、20~30年先の将来には1000店を目指していく。

(聞き手・編集長 松本顕介/山田高裕記者)
※商業施設新聞2168号(2016年11月15日)(8面)

サイト内検索