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第197回

東京エレクトロン(株) 常務執行役員塗布・洗浄BUGM 楊世崇氏


19年に洗浄装置でシェア35%
組織再編で生産・開発体制強化

2016/11/18

東京エレクトロン(株) 常務執行役員塗布・洗浄BUGM 楊世崇氏
 東京エレクトロン(株)(東京都港区赤坂5-3-1、Tel.03-5561-7000)は、エッチング装置や成膜装置、コーター&デベロッパーからテストシステムや先端パッケージング関連装置まで、多彩な半導体製造装置をラインアップする。なかでも洗浄装置は今後の最注力分野の1つと位置づけ、さらなる事業の強化策を打ち出している。常務執行役員 塗布・洗浄BUGMの楊世崇氏に事業の概況、今後の成長戦略などについて伺った。

―― 2016年7月、ビジネスユニット(BU)の再編を発表されました。洗浄装置の新たな事業体制についてお聞かせ下さい。
 楊 当社では4つの戦略市場にあわせ、SPE事業においてはBUを(1)成膜、(2)塗布・洗浄、(3)エッチング、(4)テストへと再編した。これにより、最大の技術シナジーを生み出せる体制を整えることができた。洗浄装置は、市場で圧倒的なトップシェアを持つコーター&デベロッパーと事業を統合。これにより、すでに構築しているお客様との緊密な協力関係も生かすことでニーズをいち早く把握し、先端プロセスに対応した技術開発を着実に進めていく。
 また、社内的にはすでに東京エレクトロン九州に関連する人員をほぼ集約している。開発・製造面での効率化を先行的に進め、少しずつではあるが成果が見え始めてきたところだ。

―― 洗浄装置の地域・アプリケーション別での受注状況について。
 楊 16年1~6月期で見ると、韓国、台湾を中心に受注が非常に好調に推移した。それが、SPE事業全体での受注状況に連動している。アプリケーションとしては3D-NAND、ファンドリー向けが需要を大きく牽引したが、通期ベースでもこれらのアプリケーションが好調に推移し、DRAM関連は17年以降、大きく伸びてくると見ている。

―― 洗浄装置のラインアップについて。
 楊 当社では、主力機種である枚葉式「CELLESTAシリーズ」のほか、バッチ式、スクラバー、極低温エアロゾル枚葉洗浄装置などに加え、ドライ洗浄装置も展開している。ウエットからドライまでの幅広いニーズにワンストップで対応できるサプライヤーは他になく、これが当社の大きな強みと言える。

―― 技術面で見た優位性および今後の開発の方向性について。
 楊 「CELLESTAシリーズ」は、優れた生産性を実現するとともに、脆弱な微細構造のパターンにおける低ダメージ洗浄・乾燥技術の搭載により、最先端のロジックやファンドリーなどで多くの引き合いをいただいている。当社は非常に優れたパターン倒壊抑制技術を有しており、この技術優位性を生かしながら先端プロセスの様々な洗浄課題に対応していく。
 一方、バッチ式の「EXPEDIUSシリーズ」は現在、3D-NAND向けに需要が拡大している。3D-NANDでは、特有のバッチ洗浄ニーズなどもあるため、装置の改善・改良を継続的に進め、需要の確実な取り込みを図っていく。

―― さらなるシェア拡大に向けた戦略は。
 楊 洗浄装置は国内外のサプライヤーが厳しいシェア争いを繰り広げている市場だ。現在、当社のマーケットシェアはドライ・ウエットあわせて約25%だが、19年には35%以上にまで拡大していく。
 その実現に向け、まずは装置における技術的な差別化(優位性の確保)が不可欠となる。ウエット化が進むベベル洗浄の強化技術や、洗浄~乾燥までの一連のプロセスにおける微小パーティクルの制御・除去など、さらなる微細化に対応した新技術の導入を加速していく。「秘策」とも呼べるような革新的な技術の開発も進めており、今後の開発に是非注目いただきたい。
 また、繰り返しとなるが、お客様との開発段階からのコラボレーションは非常に重要だ。先端プロセスにおける課題・ニーズをいち早く把握し、対応技術の開発を迅速に進めていく。

(聞き手・清水聡記者)
(本紙2016年11月17日号8面 掲載)

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