電子デバイス産業新聞(旧半導体産業新聞)
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第683回

TTMテクノロジーズ EVP兼COO ジム・ウォルシュ氏


A&D受注残は16億ドル
「10年にわたる構造的な変化」

2026/6/26

TTMテクノロジーズ EVP兼COO ジム・ウォルシュ氏
 TTMテクノロジーズ(TTM、米カリフォルニア州)は、世界各地に25工場を展開し、1.8万人超の従業員を擁する大手基板メーカーである。年間売上高は30億ドル(2025年)に迫り、宇宙・防衛(A&D)部門では過去最高の16億ドルもの受注残高を抱える。特にRFなどミッションクリティカルな先端基板の設計・製造能力には定評がある。同社のEVP(Executive Vice President)兼COOのジム・ウォルシュ氏に話を聞いた。

―― 26年1~3月期の業績も絶好調でした。
 ウォルシュ 売上高は前年同期比30%増の8億4600万ドルとなり、過去12カ月では過去最高の四半期売上高となった。背景にはデータセンターやネットワーク分野を中心としたAI関連の好調な需要に加え、医療・産業・計測機器分野でも2桁成長、主力のA&D分野も当社予想を上回る2桁成長となった。

―― 4~6月期の展望は。
 ウォルシュ 堅調な市場を背景にさらなる成長を見込む。売上高は9億3000万~9億7000万ドルとみている。引き続き、AIデータセンター関連やA&D、医療機器向けなどが伸長する。増産投資も寄与して増収を牽引する。

―― 26年以降の事業環境をどう見ていますか。
 ウォルシュ 成長を牽引しているAI関連ならびにA&Dからの旺盛な需要が継続する。これは短期的なトレンドではなく、10年にわたる構造的な変化が起きているからだ。当社は世界の未来を牽引する分野の中心に位置する事業を構築している。今後3年間は年率15~20%の増収を見込み、27年には25年比で利益を倍増させる計画だ。

―― A&D事業の受注残高が16億ドルに積み上がっています。
 ウォルシュ 旺盛なA&Dの需要に応えるため、複数の米国拠点ならびに中国拠点で拡張工事に取り組んでいる。旗艦工場のシラキュースの新建屋は完成しており、設備も搬入済みだ。主要顧客とは契約も締結した。今夏にはグランドオープンする。受注パイプラインは2年以上先まで伸びており、それに合わせて投資を行っていく。

―― オークレア工場の整備状況は。
 ウォルシュ 工場面積は75万平方フィートあり、米国最大規模の工場となる。戦略的に重要な施設だ。AIアプリケーションなどの商業顧客やA&D顧客向けなどに先端基板を供給する。
 現在、設備機器の搬入は始まっていない。主要顧客と調整を進めており、今後、18~24カ月で設備投資の完了を見込む。当社は今後数年間、生産キャパシティーの予備力を持てることになり柔軟な対応が可能になる。

―― ペナン工場の現状は。
 ウォルシュ 着実に生産量を増やしている。25年10~12月期は前四半期比で売上高は倍増した。利益率を向上させるため、26年度も継続的に生産性を最適化していく。

―― 中国拠点の現況についても教えて下さい。
 ウォルシュ 東莞と広州ではAI関連向けに低伝送損失材料を使った高多層基板を量産している。旺盛な需要があるため既存ラインの拡張を実施している。100層を超える新製品の開発も進めている。

―― 車載市場の回復時期をどう見ますか。
 ウォルシュ その時期を見通すのはなかなか難しい。車載は25年10~12月期の売上高の9%を占有したが、26年1~3月期は8%に低下した。自動車市場の減速やEV市場の軟化が続いているのが一因だが、当社も戦略的に動いている。例えば、付加価値の高い関連製品の受注を強化、厳選した事業展開を行っている。特にADASやEV向けパワーエレクトロニクスに注力している。販売量の回復を目指すのではなく品質重視の受注を強化する。

―― 日本市場をどうみていますか。
 ウォルシュ とても重要だ。当社は世界各地に25の製造拠点を持ち、安定かつ柔軟に製品を供給できる。製品開発の初期段階から、顧客と密接に連携する体制を整えており、グローバル展開による供給や対応の柔軟性は、当社にとって追い風となる。日本とのパートナーシップをさらに深めていきたい。


(聞き手・特別編集委員 野村和広)
本紙2026年6月25日号1面 掲載

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