商業施設新聞
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第44回

(株)ポンパドウル 代表取締役社長 三藤達男氏


一店舗一工房制で差別化
駅立地を中心に80店展開
“退店しない出店”を

2016/9/13

(株)ポンパドウル 代表取締役社長 三藤達男氏
 横浜・元町発のベーカリーチェーンとして全国に80店以上を展開する(株)ポンパドウル(横浜市中区元町4-158-1、Tel.045-662-4180)は、売り場に工房を併設する「一店舗一工房」制を導入することで他社と差別化を図り、ライブ感のある売り場を演出してきた。メーンのフランスパンは1時間おき、1日8回以上焼き上げるなど、常に焼き立てのパンを店頭に並べ、焼き上がり時間には行列ができ、テナントとして商業施設に賑わいを生み出している。その集客力で一線を画す同社の展開について、代表取締役社長の三藤達男氏にお話を伺った。

―― 着実に店舗数を増やしてきました。
 三藤 1969年、横浜・元町に1号店をオープンし、73年にテナント展開を開始、86年には地方展開をスタートさせた。「焼き立て=フレッシュさ」に強い信念を持ち、それを実現するために開業時から一店舗一工房の原則を貫いている。しかし、この形式は設備面でも投資がかかり、品質と接客レベルを維持するためには人材育成も必須となるため、出店スピードは決して早くはない。だが年に3~4店のペースを維持しながら、着実に店舗網を広げてきた。

―― 貴社の強みは。
 三藤 店の工房で粉から作り上げる「オンプレミス」方式を採用していることに尽きるだろう。一般的なベーカリーは効率を重視し、セントラルキッチンで作った生地を店で焼く「ベイクオフ」方式が多いのに対し、当社では複雑な製パン工程を店舗で一貫して行い、正真正銘の手作りパンを提供している。そして製造と販売を一体に行う、一店舗一工房制で窯から出たパンを数秒後に店頭に並べることができるため、最高にフレッシュな状態で提供している。

―― 立地について。
 三藤 テナント展開を開始した当初から知名度のある百貨店を中心に展開を進めてきた。首都圏では銀座や麻布十番などキーとなる場所に路面店も展開しているが、単体では集客が難しいため、主にテナントとして出店している。路面でもテナントとしても、安定した集客のある駅立地を中心としてきた。パンは単価も安く、当社の製品は品質にこだわっているため原価率も高く、決して売り上げ面で貢献できるとは言い難いが、周辺テナントへの回遊性を高めるなど集客装置として評価していただいており、オファーは多い。
 ただ、店舗と工房を併設しているため、キッチンだけでも25坪程度は必要で、標準面積は40坪程度とベーカリーとしては大型の区画が必要となる。
 09年には百貨店でも路面店でもない「新しい出店場所」として、関越自動車道の三芳パーキングエリアに出店した。ここで生まれたヒット商品はメディアに取り上げられることも多く、ブランドの知名度を高めてくれた。頻繁に出せる場所ではないが、機会があれば積極的に検討していきたい。

―― リピーターを生み出す仕掛けは。
 三藤 ライブ感のある売り場作りはもちろんだが、圧倒的な商品数だろう。レシピは1300種類にのぼり、店頭には常時約130種類のパンが並ぶ。約半数は全店共通で親しまれている定番商品だが、残りは各店のマネージャーが顧客ニーズに合わせて選び、店舗によって品揃えが異なるのも魅力だ。また、主食系の食パンやフランスパンの種類が豊富で、構成比は約35%を占める。これで毎日の利用客、固定客をつかんでいる。さらに、毎月12日には新作が並ぶ。これも飽きない仕掛けだ。様々な嗜好に対応することで、他社と差別化を図っている。
 なお、これは私の実感になるが、品数を多くすることで、遠くからでも集客でき、商圏を広げることができているように思う。

―― 今後の展開について。
4月にオープンしたウィング川崎店
4月にオープンしたウィング川崎店
 三藤 20年ほど前に50店を超えた時点から、約100店を視野に入れ展開を進めてきた。オペレーションの面からも現在の80店から100店程度が最適な数だと思っている。もちろん、一店舗一工房の信念を維持するためにも、数字ありきや現在出店をしていない空白エリアを埋めるための出店を行うつもりはない。
 退店は非常に負のエネルギーを使い、店を利用していただいているお客様に不便を強いることにもなる。よって、“退店しない出店”を常に念頭に置いている。重要になるのはやはり安定した集客を図れる立地を見極めることで、やはり駅立地は強い。

―― 新業態の構想を。
 三藤 ちょっとしたハレ需要に対応できる「ポンパドウル」を核としながら、健康面に特化したふすまパンの販売や卸売り事業など、新しいことにもチャレンジしていきたい。
 また、02年に郊外型SC業態として立ち上げた「アンジェターブル」、レストラン業態「ヴァン・ドゥ・リュド」でも出店を進めていきたい。「アンジェターブル」は日常需要、「ヴァン・ドゥ・リュド」は超ハレの日需要に対応するブランドであるため、すでにポンパドウルがある場所にでも出店できる可能性を秘めている。多様化するお客様のニーズを深掘りしていきたい。

(聞き手・若山智令記者/大塚麻衣子記者)
※商業施設新聞2154号(2016年8月9日)(5面)
 商業施設の元気テナント No.198

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