商業施設新聞
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第43回

仙台ターミナルビル(株) ショッピングセンター事業本部 エスパル仙台営業部長 松川康氏


エスパル仙台が計画上回る業績
東北の情報発信拠点に

2016/9/6

仙台ターミナルビル(株) ショッピングセンター事業本部 エスパル仙台営業部長 松川康氏
 仙台ターミナルビル(株)は、仙台駅、郡山駅、福島駅、山形駅で地域密着型商業施設「エスパル」を展開している。3月には仙台駅東口に「エスパル仙台東館」を新設、同本館も改装オープンし、今後も東北の魅力を発信する情報発信拠点としての新設や改装を進めていく。エスパルの今後の計画などを同社ショッピングセンター事業本部 エスパル仙台営業部長の松川康氏に聞いた。

―― エスパル仙台東館のオープンから3カ月が経ちました。
3月オープンのエスパル仙台東館は好調に推移している
3月オープンのエスパル仙台東館は
好調に推移している
 松川 東館はもちろん、東館の開業に合わせてリニューアルした本館2~3階の業績も好調で、3月は全店売上高が想定を大きく上回る前年比170%以上、4月も同145%以上を達成した。6月以降は落ち着いてきたが、3~6月は同130%台後半となる見込みだ。また、本館、東館から離れた距離で営業する「エスパルII」は、東館がオープンしても顧客は離れておらず、ハイエンドを中心に堅調に推移している。

―― 他の施設の動向は。
 松川 「エスパル福島」「エスパル郡山」の収益は比較的順調だ。仙台に近く、顧客がエスパル仙台へと向かうこともあるが、いずれも地域に根ざした商業施設であるため、地元に戻ってきた際には利用していただいている。「エスパル山形」はエスパルでは最も小規模なほか、周辺に競合が多いためファッションなどが若干苦戦しているものの、山形の玄関口としての役割を果たしている。

―― 7月1日に仙台駅西口に「仙台パルコ2」がオープンしました。
 松川 仙台パルコ2の開業はむしろ歓迎だ。シネコンを筆頭に今まで駅周辺になかった機能を持ち、それを目的に今まで駅周辺を訪れることがなった人が仙台パルコ2に来店し、ついでにエスパルなどの商業施設や商店街にも来ていただき、駅周辺がますます活気付くだろう。パルコとは同じタイミングでバーゲンセールを開催したこともあり、競合というより協働の関係と考えている。地域を活性化させたい思いは同じ方向を向いている。

―― 訪日客対策は。
 松川 現時点で仙台を訪れるインバウンド客は全インバウンド客中0.2%と少ないが、今後増える可能性もあるので、フリーWi-Fiや一括免税カウンターの設置、銀聯カードへの対応、テナントでも電話通訳サービスなど、早い段階で対策を進めている。
 また、7月の仙台空港民営化を機に、事前に台湾からのエージェントが当社を訪れたため、仙台や東北の魅力を紹介した。エスパルには直接的な関係はないかもしれないが、仙台などの魅力をしっかりPRすることで仙台や東北にインバウンド客が多く訪れ、エスパルはもちろん周辺商業施設も活性化すれば本望だ。

―― 今後の投資計画は。
 松川 現在は仙台駅東口において東館の2期開発を行っている。具体的には、当社運営ホテルの1~2階に商業施設を整備する。本館では地上1階のファッションゾーンの改装を予定している。それ以外では16年内に福島の3階のカジュアルファッションを拡充し、17年以降は山形、郡山でも需要を先取りした改装を計画している。
 地域によって果たす役割はそれぞれ違うので、それぞれのSCの強みを活かしつつ地域に貢献できるかを考え計画を進めていく。

―― 中長期目標は。
 松川 エスパルとしてはファッションビルに重きを置いていることから、「東北一のファッション集積・高感度」を目指す。また、幅広い層が来店するレジャー施設となるような利用シーンの拡大・創出を図っていく。さらに顧客満足度の向上だけでなく、従業員もエスパルで働いていきたいと思ってもらえるような従業員満足度の向上にも努める。実際に、従業員食堂の拡大や事業所内保育所の設置などを実施した。

―― 最後に意気込みを。
 松川 エスパルが中心となって、駅周辺、県内、東北の情報発信をリードしていく。実際に、エスパル仙台東館のお土産コーナー「伊達のこみち」に東北の情報発信コーナーを展開しているほか、JR仙台駅の「ヨリ未知 SENDAI」という東北の魅力を発信する企画にエスパルも参画させてもらい、東北の魅力をPRしている。また、3月の北海道新幹線延伸もあり、函館のラジオ局や新函館北斗駅でエスパルの情報発信を行っている。これらの活動により、地域活性化の一翼を担う考えだ。

(聞き手・玄行力記者)
※商業施設新聞2154号(2016年8月9日)(1面)
 デベロッパーに聞く 次世代の商業・街づくり No.204

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