1995年の登場以来、若い女子を中心に大ブームを起こしたプリントシール機。プリントシール機の企画、開発、販売を行うフリューは業界シェア約7割を誇るリーディングカンパニーだが、プリントシール機専門店の運営も行っている。2012年に「girls mignon(ガールズミニョン)」を立ち上げ、ファッションビルを中心に出店を進め、現在は16店を構える。女子中高生のニーズを反映させた店作りで、新たな賑わいを生み出し、他テナントへの回遊性も高い。15年12月に東証一部上場も果たしたフリュー(株)(東京都渋谷区鶯谷町2-3、Tel.03-5728-1761)のプリントシール機事業部 事業開発部部長の藤田学氏に、今後の戦略を伺った。
―― ガールズミニョンの特徴を。
藤田 「おんなのこがかわいくなれる場所」をコンセプトに、北欧風の内装デザインを採用し、最新のプリントシール機を5~7台設置している。メイクアップカウンターやソファースペースを設け、待ち合わせ場所としても利用できる開放的な空間を提供している。なお、女性スタッフが常駐し、有人のため「安心・安全」面も大きな特徴。さらに、男性だけでは入店できないといったハウスルールも設けている。
―― サービス面の付加価値が高いです。
藤田 女の子たちがトイレでメイクをしたり、髪を巻くなど身支度を整えてから、プリントシール機を撮影している点に着目し、こういったスペースが店内にあれば喜んでくれるのではと考えたのがきっかけ。付加価値のある店作りを行ったことで、多くの女の子たちが集い、まとまった時間を過ごしてもらえる場所になった。当店で待ち合わせをして撮影し買い物へ、買い物をしてから休憩がてらプリントシール機で撮るなど、当店がハブ的役割を果たしている。また、ファッションだけでなく、「体験型」という新しい要素を盛り込みたい施設側からも、他テナントと親和性が高く差別化が図れると評価をいただいている。
―― 店舗フォーマットは。
藤田 店舗面積は平均で30坪程度。登場時に比べ、本体が大型化していることと、アパレル店を髣髴させる、ゆったりとしたオシャレな空間を心がけているため、ある程度の広さが必要になっている。また、3号店の徳島店から内装にご当地のオブジェなどを取り入れており、地域に根差した店作りも行っている。
―― プリントシール機のメーカー側である貴社が店舗を運営するのは。
藤田 「プリ文化」のさらなる普及、発展が目的だ。プリントシール機コーナーは主にゲームセンターなどAM施設の一角に位置しているが、AM施設の撤退などがあると、撮る場所がなくなってしまうという問題もあった。また、AM施設は大型であるためSCや路面が中心で、立地が限られてしまっていた。当業態は小型であるため、それをカバーできる。
当社は新機種を春、夏、冬の年3回投入し、コンテンツの更新といったバージョンアップも6回行っているが、直営店では最新機種をテンポ良く導入できるというメリットもある。商品開発と店舗の両面から市場を広げていければと思う。
―― ターゲットは。
藤田 プリントシール機のエントリー層は小学校高学年で、メーンユーザーも中学生と高校生で圧倒的に10代が多い。ただ、高校卒業とともに、プリントシール機からも「卒業」するケースが多く、当社では卒業年齢を遅らせる戦略で、客層の間口を広げている。幅広い層が利用できる商品開発ももちろんだが、ファッションビル内の場合、他テナントとの買いまわりの効果で、大学生、社会人になっても利用してもらえる利点がある。結果、20歳前後まで当店をご利用いただけている。
―― 実績を重ねてきました。
藤田 1号店は新潟、その後、山形、徳島と地方への出店を皮切りに、13年には名古屋のファッションビル「近鉄パッセ」にオープンするなど、大都市圏にも出店を果たし、着実に実績を積み上げてきた。当初はゲームセンターと勘違いされることも多かったが、安心安全なコンセプトや賑わいを生み出す店作りが評価され、認知も広がってきた。オープン当初はファッションビルに店舗があると認識されず、集客に苦戦したが、一度認知されればクチコミで広がり、既存店の売り上げも2~3年経ても、好調に推移している。
―― 今後の展開は。
藤田 まずは既存店舗のさらなる売上向上に注力しながら、過去の経験を踏まえたマーケティングを行い、着実に店舗開拓を行っていきたい。政令指定都市や大都市圏への出店を進めたいが、その地域のプリントシール機市場拡大が出店の条件となる。プリ文化が根付いてない場所にも出していきたいという想いもあり、エリアについてはタイミング次第だろう。
今春はコラボレーションプリントシール機専門店「コラボミニョン」という新業態でSHIBUYA109にも出店を果たした。芸能人やキャラクター、映画などとコラボし、内容は1~3カ月間隔で入れ替え、いつ来店しても「新しい体験」ができる。今後はプリ機だけでなく、ターゲット層により喜んでいただける商品・サービスの併設も視野に入れている。常に女の子に足を運んでもらえるサービスを追求し、ミッションであるプリ文化を発展させ、市場を広げていきたい。
(聞き手・大塚麻衣子記者)
※商業施設新聞2150号(2016年7月12日)(7面)
商業施設の元気テナント No.194