商業施設新聞
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第36回

(株)イオンファンタジー 代表取締役社長 片岡尚氏


17年2月期は110出店
アジアでAM施設強化
日本市場は新業態に期待

2016/7/19

(株)イオンファンタジー 代表取締役社長 片岡尚氏
 (株)イオンファンタジー(千葉市美浜区中瀬1-5-1、Tel.043-212-6203)は、子どもをはじめとする三世代ファミリー向けにアミューズメント(AM)施設を804店(日本497店、海外307店、5月末時点)展開している。2017年2月期には110店(中国60、東南アジア40、日本10)の新規出店を計画し、16年2月期の124出店(うち海外108店)に続く大規模出店となる。事業動向と戦略を代表取締役社長の片岡尚氏に聞いた。

―― 16年2月決算は好業績だった。
 片岡 連結売上高は、合併と積極的な海外出店により前年比26.2%増の588億3100万円と過去最高、営業利益は海外事業の黒字転換、15年9月以降の国内事業回復により同4.5%増の27億4800万円へと2期連続で増益した。その後の事業も、3~5月期に勢いを継続し力強さを感じる。株価も順調だ。AM業界は、子どもたちの長期休暇がある夏休みと冬休みの期間に売り上げが増加する傾向がある。

―― ファンフィールドを合併したことで、業界首位の事業規模になった。
 片岡 旧ファンフィールドの店舗の機械は、多くを入れ替え、内装も見栄えが良くなるように手を加え、これにより営業利益増に貢献した。今後「らんらんらんど」を、モーリーファンタジーの業態に転換し、ブランドを統一する。モーリーファンタジーは、15年7月に開業したイオンモール砺波店(富山県)がモデル店である。
 一方、ティーンズがメーンターゲットであるPALO業態はリブランドし、そのシンボルとなるロゴデザインは、世界三大広告賞のひとつである、米ニューヨークの「ONE SHOW」でシルバープライズを受賞した。

―― 海外営業利益が黒字化した。
 片岡 海外事業の売上高は前年比64.7%増の90億円で、連結売上高の15.4%を構成した。営業利益は6400万円で初めて黒字化し、前年比3億4800万円増加した。中でも中国事業の営業利益は1億8500万円で、前年比4億2800万円増に改善した。

―― 中国市場は、経済の成長鈍化の影響はないか。
 片岡 当社の施設は、中間所得者層が大きな顧客層となっている。中国経済で言われる成長鈍化は、富裕者層への影響が大きいと思われるが、当社事業への悪影響はない。また「一人っ子政策」が廃止され、いわゆる「二人っ子政策」に緩和されたことから、子どもが増えることが予想され、当社の事業に好影響となり得る。1.5歳の年齢から当社のAM施設の顧客になっていただける。

―― 中国ではFANPEKKA(ファン ペッカ)が大人気だ。
中国で大人気のFANPEKKA
中国で大人気のFANPEKKA
 片岡 北欧フィンランドをテーマとしたテーマ型プレイグラウンドで、中国チェーンストア経営協会選出の15年「チェーンストア・ブランド最人気賞」を受賞した。北京と武漢で開業しており、17年2月期には、中国で新たに5店(湖南省の長沙、上海など)を出店するほか、マレーシアのジョホールバル(16年秋)、タイのコラート(16年末)で新規出店を予定している。

―― 日本市場ではFANPEKKAを投入しないのか。
 片岡 広さ、天井高で広大な場所を必要とするため、新規開設するモールでの核テナントとしての立地が適すると考える。そのため、日本での初出店を考慮すると、最適な進出場所を選ばなければならない。時間をかけてじっくりと取り組む方針だ。

―― 日本の既存店は、15年9月から回復に転じた。
 片岡 ゲーム機械を入れ替えたのが大きな効果を発揮した。また、クレーンゲームに代表されるプライズゲームが大きく伸び、景品の購入担当者として、流行に敏感な若手の女性を起用したことが成果を上げた。景品の陳列の仕方などを、iPadによる社内SNSで情報交換し刺激し合った効果もある。さらに、時間制遊戯施設内に「光る立体遊具」を導入した70店では、同施設の売り上げが1.4倍になったことも大きな成果だ。

―― 日本市場は、今後の少子高齢化が懸念される。
 片岡 子どもの数は減っても、親が子どもにかけるお金の総額は減らないので、大きな懸念材料にはならないと判断している。また、シニア層が増えるのは間違いないので、平日にこれまで以上に楽しんでいただけるような仕組みや業態を考えたい。また、事業を展開しているアジア全体では確実に子どもの数が増えている。17年2月期に中国60店、東南アジア40店の出店を計画している。海外出店100店超は2期連続になる。

―― 日本市場での出店計画について。
 片岡 17年2月期は10店の新規出店を予定しているが、5月時点ですでに7店を出店したことから、上方修正もあり得る。日本では、新業態を模索しており、カフェもりっちゃの出店を3店予定している。神奈川県で2店、関西で1店を検討し、イオンのキッズ売り場やモールでの出店、本屋近接でのブックカフェの業態で夏から秋にかけて順次開店したい。

―― 中国市場ではアプリ会員拡大が大きな成果を上げた。
 片岡 プリペイドカードと連動したアプリ会員システムを導入したもので、システム上でカードにチャージできる。中国の標準決済システムとなった支付宝(Alipay)に対応している。年間30万人を目標にしていたが、4月末時点で早くも29万人を達成した。直近では、同国市場の売り上げの32%がこのアプリ会員システム経由となっている。
 今後は、スマホを使った情報発信とともにゲームコンテンツの提供を考えたい。家でスマホゲームを楽しんでいただき、実際の店舗にも誘客する仕組みを作り上げ、ネットとリアルの相乗効果で事業を拡大したい。電子商取引(eコマース)として、キャラクターのネット通販も検討し、スマホを事業の切り口として活用したい。

(聞き手・笹倉聖一記者)
※商業施設新聞2147号(2016年6月21日)(7面)
 商業施設の元気テナント No.192

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