インテリアセレクトショップ「リビングハウス」を展開する(株)リビングハウス(大阪市西区南堀江2-10-8、Tel.06-6531-0522)は、2012年にアーバンドックららぽーと豊洲(東京都江東区)への出店を皮切りに関東エリアでの展開も進め、年に1~2店のペースで新店をオープン、現在は全国に13店を展開している。今後は、既存業態を強化し認知度やブランド力を強化するとともに、新業態の立ち上げやファッションやカフェとのコラボレーションなどにより事業領域を拡大し、小売りだけでなくインテリアの総合商社として、20年の上場を目指している。同社代表取締役社長の北村甲介氏にお話を伺った。
―― 概要から。
北村 「人々のくらしに魔法をかける」をコンセプトに、国内外から選りすぐりの商品をセレクトしており、圧倒的なブランド数が特徴だ。取り扱いブランドは500以上にのぼり、日本で未進出のグローバルブランドもラインアップしている。
―― 強みは。
北村 提案力や接客力に尽きる。どれだけ商品が良くても結局は販売する「ヒト」にかかってくる。家具・インテリアは消耗品ではないため、結婚や引っ越しなど購入機会は限られてしまう。かつ季節性も少なく、マーケティングが難しい。需要創出には、潜在需要に訴求する必要がある。そこで重要になってくるのが接客だ。また、顧客のニーズや現状をしっかりとヒアリングし共有した上で販売することが、リピートにもつながっている。
―― ルームスリッパ専門ブランド「Skips!」が店舗の集客装置に成長しました。
北村 壁面を利用してディスプレイした色とりどりのルームスリッパはアイキャッチの役割を持ち、入店を促し、店舗の回遊性も高めている。今ではほぼ全店にショップインショップとして導入している。ルームスリッパは消耗品で、かつシーズン性もプレゼント需要もある。インテリアの弱点を補ってくれるだけでなく、部屋の中に興味を持っていただくきっかけにもなる。超小型という面積の都合上、単独店では難しく、催事や期間限定店として引き合いも多い。中国全土に卸売り事業も進めており、これからの可能性が大きい事業に成長した。
―― ここ数年、ららぽーとへの出店が続いています。
北村 ららぽーとのMDと当社のMDがマッチしたこともあり、非常に好調だ。坪効率の面での一番店はららぽーと豊洲店で、数字も評価していただき、その後のららぽーとへの出店につながった。リビングハウスは中高価格帯の商品が多く、30~40代をはじめとしたファミリー層の利用が主となっている。低価格ゾーンにぶれるつもりはないので、高感度でファミリー層の多い商業施設に展開を進める。
―― 出店について。
北村 部屋の雰囲気をより具体的に感じていただくには、やはり「店舗」が重要になってくる。出店が一番のマーケティングにつながっているので、積極的に新店を出していきたい。また、世界観を表現するために、店舗の大型化を進めていきたいと考えている。
―― 新業態の構想を。
北村 現状、駅型の小型フォーマットがないため、新たな立地を開拓するべく、駅立地に対応できる小型の新業態を開発中だ。既存業態は約100坪が標準面積だが、35~50坪で雑貨比率を高めたものを考えている。17年の春か秋に首都圏にオープンする見込みだ。
―― 他業種でもインテリアを導入する流れがありますね。
北村 日本は衣食住の「住」部分が遅れていたが、「ライフスタイル」が注目され始め、ファッションでもインテリアを販売する流れがある。よって競合も多いが、インテリアに興味を持っていただく追い風になっている。当社は目利き力と接客力は他社に負けない自信がある。家具の売り上げ比率は9割を誇っているが、消費者やデベロッパーからのニーズを踏まえ、カフェやアパレルとコラボするなど、コンテンツの拡充にも取り掛かる。
―― 具体的には。
北村 第1弾として、福岡の家具メーカーとのパートナーショップ「WOODLAND by LIVING HOUSE」を福岡県朝倉市に6月18日にオープンする予定。カフェやプレイゾーン、椅子を作成できる工作教室など子どもに寄せたコンテンツを拡充した400坪超の大型店となる。福岡市から車で1時間以上かかりアクセスが決して良くない立地だが、1日過ごせる「体験型の店舗」として、新たな観光名所として集客を見込んでいる。
―― 新事業のKAREブランドについて。
北村 ドイツ・ミュンヘン発のデザインコンシャスなインテリアブランドと独占販売権を結び、日本での店舗展開を進めている。今春3店をオープンした。秋には大阪・梅田に500m²超の大型店の出店が決まっている。当ブランドは雑貨比率が高く、立地やターゲットに合わせて様々な切り口で編集・提案できる強みがある。駅やファッションビル、地方都市にも展開し、20年までに20億円の売り上げを目指す。
―― 最後に抱負を。
北村 多様化する消費者のニーズに対応できるカードが出揃う。もうひと山越えるのに足りなかったブランド力や認知度をカバーできるコンテンツを拡充することで、スピード感を持って出店を進めていけるだろう。また、小売の枠にとどまらず、卸売事業、KAREをはじめとするグローバルブランドの独占輸入販売権などインテリアの総合商社とし、20年の上場を目指している。
(聞き手・大塚麻衣子記者)
※商業施設新聞2140号(2016年4月26日)(5面)
商業施設の元気テナント No.186