アウトドアブランド「LOGOS」を展開する(株)ロゴスコーポレーション(大阪市住之江区平林南2-11-1、Tel.06-6681-8204)は、直営店「ロゴスショップ」の拡大に力を入れている。2015年は8店を開店、16年はすでに5店の出店が決定している。同店では、今、盛んに言われている「モノからコトへ」をまさに体現し、アウトドアを体感できるユニークなショップとして消費者、デベロッパーの支持も高い。また、ライフスタイル提案型の店作りで、ユーザーの裾野を広げ、需要の喚起を図っている。直営事業部 店舗開発 執行部長の福原保則氏にお話を伺った。
―― LOGOSの特徴を。
福原 冒険家や登山家向けの商品ではなく、家族向けの手軽で便利なキャンプ用品を取り扱っている。子どもたちが自然を満喫し、自然の美しさ、厳しさを学ぶ機会を作ることがミッションで、子どもたちに家族との大切な思い出を作って欲しいという想いがある。キャンプ用品に加え、シューズをはじめとするトレッキング用品やアパレル商品まで幅広くラインアップしている。モノ・コト・ワクワクの3要素を兼ね備えた商品を取り揃えている。
―― ターゲットは。
福原 コンセプトのとおり、メーンターゲットは幼稚園~小学生の子どもを持つファミリー層。また山登りなどでアウトドアに慣れ親しんだシニア層の利用も多い。15年オートキャンプ白書では、乗用車で出かける「オートキャンプ」の参加人口は14年度は780万人・前年比で104%と増加し、数字にも表れている。近年は音楽フェスなどでテントなどアウトドア用品が使用されることも多く、特に当社のナホバ柄の「ティピーテント」は人気で、フェスなどを契機に若年層の取り込みを感じている。
―― ライフスタイルの提案を積極的に行っています。
福原 例えば「アンダー30」シリーズでは、30cm以下で収納しやすく、持ち運びに便利なアイテムを開発した。最近は軽自動車やコンパクトカーに乗るケースも多く、その場合トランクが小さいため、オートキャンプを諦めているという人も多く見られた。収納サイズ30cm以下のテント、寝袋、BBQグリルといったキャンプグッズを作り、小型車でもオートキャンプが楽しめるようにした。
また、公共機関を利用してキャンプする「トレイルキャンプ」も提案している。店頭ではサイネージを使ってユーザーに訴求するなど、新たな需要を開拓している。それぞれの顧客に合ったアウトドアライフを提案することで、シーン・ニーズの拡大を図り、これまで敷居が高いと思われていたアウトドアの裾野を広げてきた。
―― ユニークな仕掛けの店舗が多いですね。
福原 主に商業施設の中の店舗が多いので、立地によって面積は異なり約50~320坪と大小様々。最近の店舗では、初心者でもキャンプを体験できるようなシーンの提案を行っているのが特徴で、昼のキャンプ場を再現した「ワンダーゾーン」、夜のキャンプ場を体感できる「ナイトキャンプコーナー」を積極的に導入している。
「ワンダーゾーン」は、季節に応じた様々なライフスタイルを発信しており、今は「おうちでアウトドア」と称し、キャンプデビュー前の子どもに、部屋でアウトドア体験ができる楽しくカラフルなゾーンを展開している。子どもがのびのびと楽しめるスペースとして好評だ。
―― もうひとつの目玉のナイトキャンプコーナーは。
福原 キャンプビギナーにとって夜のキャンプ場は想像がつきにくく、「未知の世界」といっても過言ではない。特に小さいお子さんを持つ親御さんにとって懸念材料のひとつだと思う。遮光カーテンを閉め、電気を消せば夜の世界が広がる。床に芝生を張り、テントの中に寝袋を設置し、就寝体験もできる。天井には星が流れる仕掛けもあったり、ガラリと世界観が変わる。ロングセラー商品で、ローポジションでBBQを楽しめる「囲炉裏テーブル」を設置するなど、焚火の疑似体験もできる。
「始めたい」「行ってみたい」という気持ちをかきたてる仕掛けが多数ある。デベロッパー側からもこの空間づくりが評価されており、他社との差別化も図れている。
―― 接客も強みです。
福原 何を揃えていいのか分からないというビギナーの声に応え、お客様の立場になって考える接客で、初心者を徹底サポートしている。商品の説明だけでなく、キャンプに関する疑問にも対応するなど、設営や撤収方法までレクチャーしている。
また、店頭でテントなどの買い物をすると「LOGOS PASS」が発行され、提携キャンプ場でサポートが受けられる。店頭からキャンプ場まで安心できるサービスを提供している。ロゴスショップを通じ、潜在的にキャンプを始めたいファミリーや若者のニーズに応え、リピーターにつなげていきたい。
―― 今後の展開を。
福原 現在は25店体制で首都圏、関西圏をはじめとした大都市圏に店舗を構えているが、20年までに全国80店としたい。できれば各都道府県に1店は置きたいので、積極的に出店を重ねていく。現在は郊外型の店舗、大型SC内の立地が多いが、今後は駅ビルや路面店への出店も増やしたい。
(聞き手・大塚麻衣子記者)
※商業施設新聞2135号(2016年3月22日)(5面)
商業施設の元気テナント No.182