商業施設新聞
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第20回

(株)ユニマットプレシャス 取締役 渡辺慎二氏


横浜発の喫茶店「キャラバンコーヒー」
20年までに店舗数1.5倍に
新業態「ロースターカフェ」出店目指す

2016/3/22

(株)ユニマットプレシャス 取締役 渡辺慎二氏
 ユニマットグループの(株)ユニマットプレシャス(東京都港区南青山2-13-10、Tel.03-5770-1730)は、リゾート、ゴルフ、マリーナ事業などを手がけ、事業の柱としてコーヒー製造販売事業にも注力している。コーヒー事業では、ホテル、レストラン、喫茶店などに卸売を行うとともに、関東圏の商業施設を中心に豆の直売所・喫茶店の「キャラバンコーヒー」を37店展開している。2015年12月、1号店「横浜元町店」の全面リニューアルを行い、現代風のカフェテイストに刷新。今後「横浜ブランド」としてのブランド力を高め、20年までに店舗数を1.5倍にする計画で、「カフェ」「ロースターコーヒー」業態といった別業態の構想もあるという。同社取締役の渡辺慎二氏にお話を伺った。

―― 概要から。
 渡辺 キャラバンコーヒーは1928年に横浜・馬車道で創業し、輸入食品と自家焙煎コーヒーの店としてスタートした。コーヒー文化を横浜、そして日本に広めたパイオニアでもある。原産地にこだわり、世界中のコーヒー農園から第一等級のアラビカ種を厳選。素材も大切だが、要は焙煎の作業で、人の目、熟練の焙煎士の「技」が必要となる。
 当社は横浜・幸浦に焙煎工場を有しており、ここでコーヒーを手作業で焙煎、鮮度の良い状態でコーヒーを卸先や店舗に直送する。店舗では一杯ずつハンドドリップで淹れたコーヒーをフルサービスで提供し、コーヒーだけでも約20種類を揃えている。

―― 展開について。
 渡辺 豆の直売・喫茶の形式で神奈川県内を中心に関東圏は18店、北海道・長野を合わせて37店展開している。1号店の横浜元町店は路面店だが、ほかの店舗はほぼ商業施設内への立地だ。標準店舗面積は15坪でやや小ぶりとなる。商業施設内の場合は、館の特性に合わせ幅広い客層だが、いずれも常連客に支えられている。 

―― 横浜元町店を改装しました。
居心地の良い空間に刷新した「キャラバンコーヒー元町店」
居心地の良い空間に刷新した
「キャラバンコーヒー元町店」
 渡辺 この店は一番古い店舗で、この地で43年にわたり愛されてきた。26年ぶりに大幅なリニューアルを行い、外装・内装ともに大幅に刷新した。
 まず外観はガラス張りにし、ネオンサインも変更、視認性がアップした。内装面では天井を1m以上高くし、ソファ席を初めて設置し、席の間もゆったりととった。良くも悪くも「昔ながらの喫茶店」といった印象だった店舗を現代風のカフェテイストに刷新した。

―― 状況は。
 渡辺 リニューアルして3週間の時点で、客数・売り上げともに前年比30%増で非常に好調だ。喫茶店は夜の時間帯が弱いとされているが、夜も取り込めている。これまでは午前中は常連の方、午後からは観光客が多く、比較的年齢層が高かったが、客層が広がっており、特に若年層の来店が増えた。それはメニューにも表れており、これまではコーヒーの注文が多かったが、カフェラテなどのエスプレッソ系メニューが多く出るようになった。

―― コーヒー店は多様化しながらも競争は激化しています。他社とどのように差別化を図りますか。
 渡辺 大手チェーンのブランド力、知名度にはかなわない。ただ、当社には歴史・ノウハウがある。また、横浜に工場があるため、様々なニーズ、小ロット生産に迅速に対応することが可能で、各店や個人の好みに合わせた商品供給ができる。例えば、最近外国人を中心に需要の高いカフェインレスの商品も当社なら供給が可能だ。20年までにカフェインレスの商品も拡充したいと考えている。

―― 新業態の構想と今後の展開について。
 渡辺 今回のリニューアルを布石に、新業態として「カフェ」「ロースターカフェ」業態を立ち上げるつもりだ。空間提供の要素も持つカフェは25坪以上は必要なので、業態変更ではなく、いずれも新規に出店する。
 また、ブルーボトルの上陸で話題となっているロースターコーヒー店だが、横浜に焙煎所工場を持つキャラバンコーヒーは近いものがあり、悔しく思っていた。ロースターカフェは海外発のブランドが都内にスポット的に出店しており、多店舗展開には至っていないため、参入の余地はあるだろう。立地によって喫茶、カフェ、ロースターカフェの3業態を使い分け、最低でも年間に2店ずつ出店し、20年までには50店弱の店舗体制とする。

―― 今後の抱負を。
 渡辺 「横浜から始まったコーヒー文化を再発見して欲しい」という想いがあり、今回のリニューアルはその布石となる。サードウェーブも含め話題のカフェは都心に集中している。横浜ブランドである強みを生かし、横浜を中心に出店を進めていき、「横浜発」であることを積極的に発信し、地域とともに成長していきたい。都心偏重型のカフェマップを塗り替えることができたらと思っている。

(聞き手・大塚麻衣子記者)
※商業施設新聞2131号(2016年2月23日)(8面)
 経営者の目線 外食インタビュー

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