商業施設新聞
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第9回

(株)ヒューマンウェブ 代表取締役社長 吉田琇則氏


オイスターバーで日本最大チェーン
来期も新規7店を計画

2016/1/5

(株)ヒューマンウェブ 代表取締役社長 吉田琇則氏
 安全な生牡蠣をカジュアルに楽しめる飲食店を展開する(株)ヒューマンウェブ(東京都中央区日本橋茅場町2-13-13、Tel.03-6667-6606)は2000年の創業以来、新しい牡蠣の楽しみ方を提供することで業績を伸ばし、15年3月19日には東証マザーズへ上場も果たした。日本最大のオイスターバーチェーンに成長し、第2ステージに突入した同社の戦略、ビジョンについて、代表取締役社長の吉田琇則氏にお話を伺った。

―― まず概要を。
 吉田 01年に1号店を東京・赤坂に開店した。02年には牡蠣をカジュアルに食べられる「ガンボ&オイスターバー」を新宿マイシティ(現ルミネエスト)に出店した。リーズナブルな値段かつカジュアルスタイルが好評で、同店を皮切りに百貨店や駅ビルに出店を加速させた。現在はガンボ&オイスターバーを中心に13ブランドで31店を展開している。

―― 外食では難しいと言われている牡蠣を主体にしています。
 吉田 日本では敬遠されてきたが、欧米では生牡蠣はポピュラーだ。欧米のオイスターバーに足を運ぶ機会があり、気軽に生牡蠣とアルコールを楽しめることに感動したのがきっかけだ。魚介類を生で食べる文化のない欧米でも、牡蠣だけは生で食されており伝統と文化があるので、日本でもいけると思った。牡蠣は季節性が高い食材で、かつ安全に提供することが難しいため、日本にはオイスターバーのチェーンはなく、競合がないことも魅力だった。

―― 06年のノロウイルスの風評被害が飛躍の契機になりました。
 吉田 00年の創業以来、順調に店舗を拡大してきたが、06年の騒動で消費者の二枚貝に対する警戒心が高まり、客足が減った。お客様の不安を払拭するには「完全に安全な牡蠣」を提供することに尽きると思った。07年に広島に物流センターを作り、いったんセンターに牡蠣を集めて紫外線で殺菌した海水を用い48時間かけて牡蠣を浄化し、ほぼ無菌の状態にして各店に発送する仕組みを作り、牡蠣の安全性を追求してきた。「当社の牡蠣は安全だ」と徐々に口コミで広がり、リピーター客も増え客足も回復。多店舗展開を進めてきた。
 残念ながらノロウイルスが流行する年もあるが、当社の牡蠣は安全だから、他で牡蠣を食べるよりも当社で食べたいと「安心・安全面」が来店動機となり、足を運んでいただいている。独自に安全性についての検査も行っており、安全性を追求している。

―― 店舗について。
 吉田 標準店舗面積は20~30坪で、35席程度を設けている。とにかく坪効率がいいのが強みだ。坪効率の良さにつながっているのが、回転率の高さ。ランチとディナーの間などのアイドルタイムで利用して頂くことが多い。昼は女性、夜はビジネスマンなど幅広い客層に利用いただいている。平均客単価はランチで2400円、ディナーで5400円とオイスターバーとしては手頃だが、外食として捉えると決して安い価格ではない。そのため、年齢層は高めだ。今後は若い世代にも楽しんでもらえるよう新しい切り口も考えている。
 なお1人客も多いため、1人でも利用しやすく、上質な食事を提供できるようカウンター席もしっかりと作りこんでいるのも店舗の特徴だ。

―― 出店計画は。
 吉田 今期(3月期)は7店を出店する予定で、すでに15年4月に西武池袋の屋上に「ラ・テラス」、8月に富山に「入善 牡蠣ノ星」、9月に銀座イグジットメルサに「ガンボ&オイスターバー」、11月に新業態を渋谷モディにオープンしている。来期も7店程度を計画している。これまで同様に都市型で駅チカのアクセスの良い商業施設内への出店となるだろう。それ以降も直営店を拡大し、成長を加速していくが、店舗数ありきではない。引き続き、集客力のあるエリアを見極めて出店を進めていきたい。

―― 新業態を渋谷モディにオープンしました。
渋谷モディにオープンした新業態「ルーフガーデンオイスターバー GUMBO&」
渋谷モディにオープンした新業態
「ルーフガーデンオイスターバー GUMBO&」
 吉田 渋谷という立地もあり、オイスターバーや生牡蠣に馴染みのなかった20~30代前半をターゲットにした。メニューは、前菜、ピザ、パスタなどイタリアンを軸とし、そこに「生牡蠣」や牡蠣料理が加わる。カクテルも50種類以上取り揃えた。牡蠣が苦手な人がいる場合は当社は敬遠されがちだが、カフェ感覚で利用してもらえるよう、オイスターバーにかわいさや気軽さ、居心地の良さなどプラスアルファの特性を持たせている。

―― 今後の展望を。
 吉田 15年8月に開店した浄化加工センターとレストランを併設させた新業態、カキヴィレッジ「入善 牡蠣ノ星」(富山県下新川郡)が好調だ。地元客に加え、県外からも集客できており、ランドマーク的な存在となっている。現在、都市型施設への出店がメーンだが、出店場所の新しい可能性が広がった。
 17年春には岩手県大槌にも同業態を開業する計画で、加工工場にレストランを併設し、子どもが遊べるアミューズメント要素も加えた新しい複合施設になるだろう。ファミリー層も足を運んでいただき、新たな需要喚起に向け、消費者ニーズを掘り起こしていきたい。

(聞き手・大塚麻衣子記者)

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