商業施設新聞
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第1回

(株)ラッシュジャパン ブランド統括シニアマネージャー 小林弥生氏


ブランド再構築で第2ステージに
改装、大型店化を推進

2015/11/2

(株)ラッシュジャパン ブランド統括シニアマネージャー 小林弥生氏
 イギリス発のコスメブランド「LUSH」は2015年にブランド創立20周年、日本に上陸して16年を迎える。現在は世界51カ国に900店以上を構え、グローバルブランドとして成長を遂げた。日本では、現在137店を全国に展開している。節目を迎える今年、イギリス オックスフォード・ストリートに世界最大の旗艦店を開店、日本では東京の原宿・表参道エリアに「新スタンダード」となる路面店をオープンしており、次の20年の成長を見据え、新しいスタートを切った。(株)ラッシュジャパン(東京都港区高輪3-13-1、Tel.03-6859-0766)のブランド統括 シニアマネージャーの小林弥生氏にラッシュの現状、今後のビジョンについてお話を伺った。

―― ラッシュについて。
 小林 最大の特徴はフレッシュさにこだわった、ハンドメイドコスメであるということ。原材料には、旬を大切にした新鮮でオーガニックなフルーツや野菜、高品質のエッセンシャルオイル、安全性の確認された合成物質を使用している。
 また、動物実験をしていないことを確認できた会社からのみ、原材料や資材を買い付けているのもポリシー。合成保存料やパッケージは可能な限り使用せず、使用する場合は最小限にとどめている。商品には製造日を明記し、作り手の顔がわかるようにしている。

―― リブランディングを進めています。
 小林 ラッシュはこのようにフレッシュで倫理的な信念に基づいたブランドであるが、成長期に醸成された「ハッピー」「カワイイ」「元気」「若者向け」といったブランドイメージが強固で、ブランドの側面のみが伝わっていた。ブランドの本質を正しく伝えることを課題とし、この2年でロゴマークのチェンジを皮切りに、広報誌『ラッシュタイムス』やWebのリニューアルなどお客様の目に触れるタッチポイントの一新を始めた。15年間で150店を出店したため、店舗フォーマットや什器も様々な形が生まれ、立地についても様々な商業施設で展開していたため、半年ほどかかった。

―― 刷新後の変化は。
 小林 客層が広がるとともに、客数も増えた。またリピート客が増えたのも特徴だ。顧客のニーズを聞きだし、それに合った提案や実演を行う「コンサルテーション」を始めたのも大きいだろう。コンサルテーションが行いやすいよう、椅子やカウンターを設置する店舗を増やしている。
 また、原宿表参道店ではバスタブをイメージしたシンクを多数設置し、レイクタウン店ではキッズスペースを設けるなど、「体験」ができる仕掛けも増えている。

―― ターゲット層は。
 小林 メーンターゲットは30~40代の女性だ。これまでは10~20代を中心とした若年層の利用が多かった。エントリー層は高校生・大学生とし、この世代にとって定番のブランドでありつつも、この層が大人になっても使い続けていただき、また幅広い層が使用できるブランドとして成長していきたい。

―― 展開について。
 小林 現在、全国に137店を展開している。店舗の内訳は、郊外型SCに76店、都心型SCに29店、駅ビルに22店、路面店10店となる。この4つのチャネルで15年間に約150店を展開してきた。

―― 7月に原宿・表参道エリアに路面店を開店しました。
原宿表参道店の店舗外観
原宿表参道店の店舗外観
 小林 このエリアは世界中から国内外の観光客が訪れ、特に週末は幅広い層の来客がある。平日は近隣住民や通勤客の利用が多く、地域に根付き始めたことを実感している。また、ブランドを認知している方々からは「また来ます」とご満足の声をいただいている。店舗面積200m²超と日本での最大ショップで、ほぼ全商品をラインアップしているだけでなく、各所にコンサルティングスペースを導入、イベントを定期的に開催するなど、これまで以上にブランドの世界観を発信できている。

―― 店舗について。
 小林 「体験」の要素に加え、古材を再利用したシックで落ち着いた内装とし、年齢層が上の方々にも支持されるようになった。また、男性客も増えている。ラッシュは一人ひとりのニーズに対応できるよう、商品数が多岐にわたっているが、全商品を陳列するためには店舗もある程度の面積が必要になる。そのため店舗の大型化を進めており、今後の出店の基準は100m²以上の大型店となる。

―― 今後の展開は。
 小林 これまで急速に出店を進めてきたが、今後は店舗数にこだわらず、場合によっては店舗を集約しながら、1店ずつの力を上げていきたい。
 新店は年間に数店ずつ出店していく。改装も積極的に進める予定で、15年度は36店で実施したように、今後も年間30店程度を予定している。また、店舗を一番のメディアと位置づけており、リロケーションも積極的に行う。9月にららぽーと磐田の店舗のリニューアルを行ったが、2階から1階に、面積も2倍に拡大している。
 ブランドをより体感してもらう場所として、東京・代官山と京都にスパを展開しているが、今後、スパを併設した路面店も必ず開業したい。また、大阪などの主要都市にも原宿表参道店のようなビッグショップを展開できればと考えている。

―― 最後に抱負を。
 小林 ラッシュは「エシカル=倫理的」なブランドでもある。新鮮で安心・安全な原材料を使用し、積極的にパッケージも排除、リサイクル素材を採用するなど、社会の循環を変えるための取り組みを行っている。こういった問題に取り組む企業がもっと増えることを願っている。そのためのパイオニアとしての役割を果たしていきたい。

(聞き手・大塚麻衣子記者)

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