商業施設新聞
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第526回

(株)エルティーアール 企画プロデュース部 部長 星野希氏


IP活用したテーマカフェ展開
商圏の外からも目的来店

2026/6/16

(株)エルティーアール 企画プロデュース部 部長 星野希氏
 商業施設の集客において、アニメやゲームなどIPコンテンツとのコラボが存在感を増しており、こうしたコンテンツとコラボレーションした『テーマカフェ』も増えている。こうしたコンテンツとのコラボに特化した「BOX cafe & space」を様々な商業施設に展開するのが(株)エルティーアール(東京都港区)だ。同社企画プロデュース部部長の星野希氏に、展開するテーマカフェの現状や集客効果などについて聞いた。

―― 現在展開する店舗について。
BOX cafe & space ルミネエスト新宿1号店で開催された「らぶいーずのSnowDream CAFE」(C)NTV
BOX cafe & space ルミネエスト新宿1号店で開催された「らぶいーずのSnowDream CAFE」(C)NTV
 星野 アニメやゲーム、アーティストなどのコンテンツとコラボする「BOX cafe & space」をメーンに展開している。1カ月程度の期間限定でコンテンツを入れ替えるもので、店舗数は直営店のみで現在首都圏に8店、名古屋エリアに2店、大阪エリアで4店の計14店。そのほかにも、「Harry Potter Cafe」などの常設カフェが3店あるほか、ミュージアム併設型カフェや、ベーカリー業態の「ちいかわベーカリー」も展開している。
 東京、大阪など人口が密集している地域の店舗が特に好調だが、どの都市でも、そのコンテンツを求めて通常だと商圏に入らないエリアでもIPファンの目的来店が見込めるのが強みだ。

―― 主な客層は。
 星野 コラボするコンテンツによって大きく異なるが、基本的には20~30代で、どちらかといえば女性が多い。ただこれはコンテンツの性質によって左右されるものなので、今後はコラボするコンテンツの幅も増やしていきたい。

―― 商業施設への出店が増えています。
 星野 テーマカフェという業態が生まれたばかりのころは、コアなファンが中心だったため、多少奥まった立地でも出店していた。しかしコロナ禍を経て、アニメやゲームといったコンテンツの市場規模や海外展開が拡大した結果、ライトなファン層やインバウンド客もテーマカフェに来るようになった。今はそうした層を引き込むため、ターミナル駅近くの商業施設などアクセスが良く集客が見込める立地に集中的に出店している。
 またコラボする企業側も、PRの手段としてコラボカフェに注目しており、その点からも多くの人の目に触れる商業施設を選ぶ理由になっている。今後の出店についても、こうした条件を満たす施設や立地を精査して行っていきたい。

―― 他のテーマカフェとの差別化について。
 星野 我々の強みは、提供する食事に力を入れていることだ。テーマカフェというものが登場したばかりのころは、でき合いのドリンクにキャラクターのコースターを付けるだけといったようなものが多かったが、我々はちゃんと美味しく、それでいて楽しめるメニューを作っている。企画や商品開発のための専門のチームもあり、メニューの質とコンテンツの世界観や表現などを大切にすることを心がけている。
 また常設店では、季節に合わせた企画開発を定期的に行い、限定のアートやオリジナルメニューを提供したり、キャラクターの誕生日に合わせたイベントでリピーターを確保したりしている。

―― 店づくりの工夫について。
 星野 これまでのテーマカフェは、その場所の特別感を大事にし、入店したらコンテンツの世界に没入できるものが多く、それゆえに外からは中の様子が見えにくいといったものが多かった。しかし最近は先述のように客層のライト化、一般化というものもあり、外からも見えやすいオープンな雰囲気で、通りすがりの人々も入りやすいような店舗にすることもトライしてきている。
 店舗のシステムについても基本的には時間を分けて予約制を採っていることが多いが、新しい店舗業態では、初めての人も入りやすいように予約客以外の人も入れるようにしたり、テイクアウトメニューを充実させて予約客以外も利用できるようにしたりしている。

―― 商業施設とIPコンテンツのコラボのポテンシャルをどう捉えていますか。
 星野 アニメやゲームなどの一般化により、近年は商業施設のデベロッパー側も、IPコンテンツによる集客を重視しているというのは強く感じている。デベロッパーがテーマカフェを集客テナントとして求めているだけではなく、商業施設全体で積極的にコラボイベントを実施するようになっており、我々もそれと連携した飲食サービスの提供によりさらなる付加価値を作り出せている。こうした商業施設のイベントやプロモーションとの連携については、今後さらに施策の作り込みをしていきたい。

―― 今後の事業展開について。
 星野 まず、海外での事業展開を検討している。海外では、コンテンツとコラボする飲食店というものはドリンクスタンドのようなものが多く、日本のようなテーマカフェという業態はそれ自体が目新しい。今後は現地の企業と協力し、日本の文化であるテーマカフェを、ローカライズアレンジを入れながら展開していきたい。
 またテーマカフェのみならず、商業施設の集客とコンテンツを結びつけたコンサルティング業務にも携わっている。現在は施設でのイベントに関する業務が主だが、今後は商業施設のリニューアルや、新設の時点から携わり、施設の集客に貢献するような仕事をしていきたい。



(聞き手・山田高裕記者)
商業施設新聞2461号(2026年4月7日)(8面)

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