電子デバイス産業新聞(旧半導体産業新聞)
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第680回

(株)安川電機 上席執行役員 ロボット事業部長 岡久学氏


AIロボティクス領域を強化へ
先端PKGなど半導体向けも注力

2026/6/5

(株)安川電機 上席執行役員 ロボット事業部長 岡久学氏
 (株)安川電機(北九州市八幡西区)は、世界的な産業用ロボットの大手として知られる。また、直近はAIロボティクス領域の強化に向けた取り組みも進めており、ソフトバンクとの連携やヒューマノイドロボット関連企業のグループ化など新たな動きを積極的に進めている。今回、同社の上席執行役員でロボット事業部長の岡久学氏に話を伺った。

―― 貴社ロボット製品の需要動向から。
 岡久 2025年度(26年2月期)におけるロボット事業の売上高は前年度比4%増の2470億円、営業利益は同14%減の204億円だった。EV関連の需要が落ち込んだことなどを背景に、国内や欧米市場で自動車関連の投資が弱含んだ。一方、中国や韓国で大口受注があったことなどから事業全体では増収となった。そのほか、半導体関連での需要が25年度下期から伸びが目立つようになってきた。また、中国などではプリント基板関連の自動化投資なども増加している。一方で、大口受注への対応などを受けて減益となった。

―― 引き合いが増えている製品は。
MOTOMAN NEXTの採用が拡大
MOTOMAN NEXTの採用が拡大
 岡久 自律型のAIロボット「MOTOMAN NEXT」の採用が着実に増加している。当社では、AIロボティクスを「モーションとAIの融合」と定義しており、MOTOMAN NEXTはそれを具現化した製品として、これまで自動化が困難であった領域での活用事例を生み出しており、今後大きな事業の柱になるという感覚を持っている。

―― そのほかAIロボティクス関連での取り組みはありますか。
 岡久 AIによってロボット自身が判断力を持って作業ができるようになることで、これまでロボットが使われていなかった領域でも今後活用が広がってくる。だが、そうした領域での活用にはIT技術をはじめ様々な技術との融合がこれまで以上に必要になる。そのため企業間連携がより重要となり、当社でも取り組みを強化している。その1つとして25年12月に、ソフトバンクとフィジカルAI領域において協業することで合意した。その第一歩として、オフィス環境で活躍するフィジカルAIロボットのユースケースを共同で開発し、25年12月の国際ロボット展で展示した。
 また、25年7月にヒューマノイドロボット領域の知見を有する東京ロボティクスを子会社化した。東京ロボティクスが有する技術に、当社のモーションコントロール技術などを融合することで、ロボットの新たな活用方法を創出できるとみており、まずはヒューマノイドロボット用アクチュエーターの開発を共同で進めている。

―― 生産面での取り組みは。
 岡久 北九州市の本社地区にモーターとロボットの一貫工場「第5工場」を整備し、26年度(27年2月期)初頭からプレ生産を開始した。今後、生産量を上げていき、26年度下期から本格量産の段階に移行する予定だ。海外では、米ウィスコンシン州フランクリン市に新たなキャンパスを設立して、米国における本社機能や生産機能などを移転・集約しており、産業用ロボットの生産についても検討を進めている。

―― 電子デバイス関連分野での取り組みは。
 岡久 半導体市場向けの製品や技術の開発を強化しており、中工程とも呼ばれる先端パッケージ領域の取り組みは積極的に進めている。また、生産ラインのスマート化やフレキシブル化に関する要望も増えており、当社の「i3-Mechatronics」(アイキューブメカトロニクス)が活きてくるとみている。アイキューブメカトロニクスは、当社が有する自動化技術に、デジタルデータのマネジメントなどを統合して生産状況を可視化し、変種変量生産にも対応可能な自動化ラインを構築するソリューションコンセプトで、AI技術の進展などもあり、データを基軸にしたライン設計への関心は電子デバイスの製造現場でも高まっている。

―― 26年度の見通しについて。
 岡久 26年度のロボット事業は売上高が前年度比3%減の2400億円、営業利益は同3%増の210億円を計画している。大口受注があった25年度からの反動などで減収となる見通しだが、ロボット部品の内製化などを進めてきた効果などにより増益を見込む。AI市場の拡大を受けて好調に推移する半導体関連は26年度も伸びるとみている。また、自動車関連でも新たなものづくりの形が出てきており、そのなかでロボットの新たな活用方法を提案していく。そうした自動車関連の取り組みをはじめロボットの活用方法が多様化するなか、当社としては先に述べたような様々な開発や連携を通じてお客様の課題解決につながるソリューションの提案力をさらに強化していきたいと思う。


(聞き手・副編集長 浮島哲志)
本紙2026年6月4日号13面 掲載

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