商業施設新聞
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第521回

(株)TOCORO. 代表取締役 田辺大地氏


河口湖周辺で民泊約85棟を展開
不動産事業も新たにスタート

2026/5/12

(株)TOCORO. 代表取締役 田辺大地氏
 (株)TOCORO.(山梨県富士河口湖町)は、「河口湖を世界一の観光地へ」のビジョンのもと、民泊をメーンとした幅広い事業を展開し、河口湖エリアへの経済効果も創出している。2025年に不動産事業をスタートするなどさらなる成長を目指すほか、26年3月に民泊は東京23区内へ再進出する計画だ。今後の事業戦略などについて、同社代表取締役の田辺大地氏に聞いた。

―― 貴社の紹介から。
 田辺 山梨県の河口湖を中心に富士吉田、鳴沢といったエリアで民泊施設の運営をメーンとした事業を展開。民泊施設は河口湖周辺で約85棟を運営し、稼働は好調だ。民泊以外は、河口湖駅前の飲食店事業やコワーキングスペース・レンタルキッチン事業、マンスリーマンション事業、グランピング施設の運営などのほか、25年から不動産事業をスタートした。
 不動産事業は成長エンジンと位置づける重要な事業で、古い戸建て住宅などの買取・リノベをして民泊に転用したり、一般販売を行ったりする。

―― 足元の状況は。
 田辺 いずれも好調に推移している。民泊はインバウンドを中心に高稼働を維持し、飲食店は従前の業態から転換して和食レストランの「炭焼ところ」に変え、売り上げも伸びている。マンスリーマンションは現在、東京都、静岡県、山梨県、富山県、石川県、福井県で100室超を有しているが、26年内には400室以上に増やす予定だ。

―― 民泊の事業エリア拡大は。
民泊施設の「TOCORO.Mt.Fuji 匠」(使われていなかった神社の倉庫を再生した)
 田辺 神奈川県の箱根など山梨県外への進出も始めたほか、26年3月から東京23区内に再進出する。都内は民泊のニーズが高いことに加え、最近は民泊の規制が厳しくなり、立ち行かなくなるところも出てくるだろう。当社はマンスリーマンションも手がけているので、民泊として利用できない期間(民泊の営業は年間180日まで)をマンスリーマンションとして運用するハイブリッドのサービスで東京23区内に再進出を果たす。

―― 地元への貢献は。
 田辺 当社は地域に密着し、地元の方々と様々なコラボレーションをしながら事業を進め、街づくりや街の活性化に貢献することを目指している。新しい民泊施設の開業前、地元の方々向けに内覧会を行うこともその1つで、当社の事業を理解してもらうためだ。
 河口湖周辺のエリアは、日本でも有数の“民泊が広まったエリア”であると思う。一方、残念ながら民泊=あまり良くないイメージがあることも認識しているので、当社の事業を理解してもらうのは大事なこと。

―― 地元への経済効果は。
 田辺 当社は河口湖エリアに本社・拠点を構え、雇用を100人以上生み、全国から優秀な人材を採用するなど、河口湖エリアの人口増加にも寄与しており、民泊で河口湖エリアを盛り上げていると自負している。また、我々の民泊は施設の新築やリノベなどで建設需要も生んでいる。山梨県内だと圧倒的に河口湖周辺は景気が良く、民泊をベースに街が良くなっている。さらに27年から1人につき200円の宿泊税導入が大筋で決定し、これには民泊も含む計画だ。税収の側面からも自治体に貢献でき、民泊で街に潤いを与える。

―― 不動産事業は。
 田辺 今後の物件取得が優位に進められるように始めた。不動産事業では物件の買取(仕入れ)を行い、リノベして民泊に転用するのが基本だが、民泊に向かない物件は一般の人向けに販売する。宿泊施設を展開する際、民泊はホテルよりも投資がかからず、ある程度リターンも見込めるので、不動産事業はこれから拡大していきたい。
 また、「NOT A HOTEL」のような別荘をタイムシェアするビジネスモデルが昨今人気になっていて、それに近い事業を始めるために土地の仕入れを行った。今後設計などを行い、早ければ今期中にスタートしたいと思っていて、これは最も注力するカテゴリーとして取り組む。

―― 民泊の伸びしろをどう捉えていますか。
 田辺 民泊業界全体はまだ伸びていく分野だと思う。一方で競争が激しくなっているのも事実であり、撤退する事業者も少なからずいる。その中で当社がこれまで培ってきたノウハウを活用していけば、将来的にはまだ伸ばせる。

―― 今後の方向は。
 田辺 一番は河口湖エリアを盛り上げ、自分たちだけが潤うのではなく、このエリア・街全体を良くしていきたい。将来的にはこのエリアでうまくいったことをモデルケースにして、地方創生などにもつなげていく。
 売り上げでは、10年以内に100億円を目指したい。メーンの民泊事業をボトムアップし、これに不動産事業が伸びてくれば不可能な数字ではないと思っている。



(聞き手・副編集長 若山智令)
商業施設新聞2637号(2026年3月10日)(4面)

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