電子デバイス産業新聞(旧半導体産業新聞)
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第669回

「アナログといえば菱進テックと言ってほしいのだ!」


柴田洋孝社長が語る日本のOSATビジネスの可能性

2026/4/24

 愛媛県西条にとても面白いカンパニーがある。その名を(株)菱進テックという。そして、その会社にいる社長もまた、とてもユニークなことで知られている。その名を柴田洋孝氏という。

 「東芝の海外営業部隊にいた時には、それこそ売って売って売りまくった。そして、様々な会社で社長や役員を務めさせていただいた。もうこのくらいで自分の人生は十分、と思っていたら思わぬところから声がかかった。それが、菱進テックなのである」(柴田社長)

菱進テックの柴田洋孝社長
菱進テックの柴田洋孝社長
 柴田氏が率いる菱進テックは、「半導体ウエハーテストのスペシャリスト」を標榜している。顧客の要望に応じてテスト開発・装置変更・生産能力改善を行うカンパニーなのだ。テストプログラムの開発、テストボード、プローブカードの開発など幅広い範囲で対応しており、保有しているクリーンルームは実力値「クラス10レベル」となっている。

 「菱進テックは1994年に設立され、三菱電機(現ルネサス)西条工場をサポートするカンパニーでスタートした。すでに30年以上の歳月を重ねてきたが、ここにきては一大飛躍を狙おうと思っている。それは、アナログ半導体テストの開発環境で抜け出す!ということだ」(柴田社長)

 菱進テックは一般社団法人日本OSAT連合会にも所属しており、後工程の重要性が高まっていることをしっかりと認識している。そしてまた、半導体の10%を占めているアナログデバイスにも着目しており、アナログデバイスに不可欠なレーザートリマー設備を充実させテスト環境の拡充に全力を挙げているのだ。

 「売り上げはここにきて絶好調で推移している。26年9月期については前期売り上げを大きく上回るだろう。この3年間で売上、利益ともに1.5倍以上になると予想している。これもまた、弊社の営業戦略が正しいことの証左であろう」(柴田社長)

 菱進テックは、これまで自社工場内ですべてのテストビジネスをこなしてきたが、ここにきては顧客先の軒先を借りて、テストハウスの仕事を展開しようと考えている。それだけでなく、すでに保有しているデバイスの信頼性試験設備や地元大学の所有する設計開発ツールとテスターメーカーの協力を得てクリーンルームに新規デバイス開発環境をファブレスカンパニー向けに構築しようとしている。そして、各種国際規格の単独取得などにも挑戦しながら幅広い分野でやっていきたいとしており、OSAT連合のカンパニーたちとも組んでビッグビジネスに向かっていきたいとしているのだ。

 「“アナログといえば菱進テック”と言ってほしい。それだけの知名度を築きたいのだ。そしてまた、愛媛県の工場環境や生産GDPにもしっかりと貢献していきたい。テストという環境は思いのほか日本は弱いわけであり、弊社はそのサポートに全力を挙げていく方針だ」(柴田社長)

 まことにもって、四国に現れた快男児ともいうべき柴田社長であるが、最近では地元のテレビやラジオに出まくりという軽いノリの男でもある。まあしかして、柴田社長は筆者の大学の後輩(中央大学 法学部)であるからして、今後も彼の生き様を見てやりたいとは思っている。


泉谷 渉(いずみや わたる)略歴
神奈川県横浜市出身。中央大学法学部政治学科卒業。35年以上にわたって第一線を走ってきた国内最古参の半導体記者であり、現在は産業タイムズ社 取締役 会長。著書には『自動車世界戦争』、『日・米・中IoT最終戦争』(以上、東洋経済新報社)、『伝説 ソニーの半導体』、『日本半導体産業 激動の21年史 2000年~2021年』、『君はニッポン100年企業の底力を見たか!!』(産業タイムズ社)など27冊がある。一般社団法人日本電子デバイス産業協会 理事 副会長。全国各地を講演と取材で飛びまわる毎日が続く。
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