電子デバイス産業新聞(旧半導体産業新聞)
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第665回

東北の半導体チップ生産は国内3位


製造装置生産では国内2位にランク、山形の工業出荷高は3.1兆円

2026/3/27

 日本では「経済政策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律案」が2022年5月11日に成立し、同月18日に公布された。国が半導体、蓄電池、レアアースなどを「特定重要物資」に指定し、財政支援を行うものであり、いわゆる経済安全保障の時代の始まりである。

 こうした経済安全保障に関する動きは世界的な動きとなっており、凄まじい勢いで国による支援策が広がっている。支援額が最も大きい国が中国であり、日本円で17兆円以上となっている。次いで米国が約14兆円を支援し、日本は約9.9兆円。そのほか、欧州は6.9兆円、韓国は2.7兆円といった規模である(これは2022年当時の数字で、1ドル135円で換算)。

 日本では、岸田内閣と石破内閣が半導体支援に取り組み、そして我が国初の女性の総理大臣となった高市早苗首相も、AIや半導体分野を支援する方針を打ち出しており、おそらく日本政府の半導体支援規模は現状で13兆円規模に跳ね上がっているだろう。

 それはさておき、山形県が主催する半導体関連企業セミナーに出かけてみた。3月16日のことである。例によって筆者は、「半導体による国起こしは政府の方針で全力サポート決定!」という演題で相変わらずの吠えまくりのスピーチをしていた。そして、注目されるのは筆者の次に組まれた講演であった。演題は「東北の半導体産業と期待される取組み」というもの。講師は、経済産業省の東北経済産業局の半導体戦略室長である井元尚充氏である。

井元尚充氏
井元尚充氏
 「半導体における東北エリアの実力は、かなりのものがあるが、これがあまり全国的には知られていない。半導体チップの製品出荷額で言えば、令和3年段階で九州が7496億円で1位、関東が5136億円で2位、そして東北は3405億円で3位となっており、日本における半導体生産の16.7%を担っている」(井元氏)。

 井元氏は東北経済産業局の半導体をサポートする立場から、正確な数字をもとに東北の実力について次々と語っていた。確かに、山形県下にはソニーセミコンダクタマニュファクチャリングの山形テクノロジーセンターがあり、酒田では東北エプソンが操業している。米沢にはルネサスの米沢工場、鶴岡にはスタンレー電気が2工場を持ち、東根にはパワー半導体の中堅メーカーである東根新電元と山形サンケンが稼働している。尾花沢にはエムテックスマツムラがおり、高畠には山形電子が長きにわたって生産を続けている。

 「半導体製造装置の生産を見ても、東北エリアは関東に次ぐ国内2位の地域となっている。令和4年当時の記録であるが、装置産業の生産は6584億円となっており、日本全体の20%強のシェアを持っている」(井元氏)

 東北エリアには、半導体工場・素材・装置などの分野で22年7月~26年1月末までに1兆5000億円の投資が実行された。山形をはじめとして東北エリアの半導体の活性化はさらに進んでいくことだろう。


泉谷 渉(いずみや わたる)略歴
神奈川県横浜市出身。中央大学法学部政治学科卒業。35年以上にわたって第一線を走ってきた国内最古参の半導体記者であり、現在は産業タイムズ社 取締役 会長。著書には『自動車世界戦争』、『日・米・中IoT最終戦争』(以上、東洋経済新報社)、『伝説 ソニーの半導体』、『日本半導体産業 激動の21年史 2000年~2021年』、『君はニッポン100年企業の底力を見たか!!』(産業タイムズ社)など27冊がある。一般社団法人日本電子デバイス産業協会 理事 副会長。全国各地を講演と取材で飛びまわる毎日が続く。
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