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第642回

25年の自動車市場は堅調に拡大


主要国市場は軒並み1桁成長

2026/2/27

 2025年の自動車市場は、主要国市場で軒並みプラス成長を堅持した。最大市場の中国では新エネルギー車が牽引役となり前年比6.7%増、2位の米国では追加関税やEV税額控除の撤廃などで市況の不透明感が増したものの同2.4%増と成長した。また、世界第3位の市場規模を持つインドも、SUV人気などを受けて市場規模は同6%と堅調な成長を遂げている。なお、日本市場は日産が低水準となったもののトヨタが首位を堅持し、ダイハツの大幅な回復などもあり、同3.3%増と2年ぶりに前年を上回った。

 中国自動車工業協会(CAAM)が発表した25年(1~12月)の輸出を含む自動車販売台数は、新エネルギー車(NEV)に対する補助金政策などが奏功し、前年比9.4%増の3440万台となった。自動車販売台数のうち、国内向けが同6.7%増の2730.2万台、輸出が同21.1%増の709.8万台。販売台数を部門別でみると、乗用車は同9.2%増の3010.3万台、商用車は同10.9%増の429.6万台だった。また、NEVの販売台数は同28.2%増の1649万台と2桁の高成長を果たしており、自動車販売台数全体に占める比率も前年から7ポイントアップの47.9%にまで拡大した。「NEVの購入奨励策、選択肢の多いモデル、充電施設の充実などがNEVの好調な販売につながった」としている。NEV販売台数の内訳は、BEVが同37.6%増の1062.2万台、PHEVが同14.0%増の586.1万、FCEVが同52.9%増の8000台。

 米国における25年の新車販売台数は、輸入車・部品への追加関税やEV減税の失効などの懸念材料があったものの、前年比2.4%増の1620万台となった(NADA:全米自動車工業会発表)。BEVの月間市場シェアは25年9月に過去最高の11.8%に達したが、EV減税控除がなくなると販売は大幅に冷え込み、25年12月の市場シェアは5.9%にまで低下した。25年通期のBEV販売台数は前年比1.2%増の126万台で、25年の市場シェアは前年比0.1ポイント減少し7.7%となった。一方、HEVの販売台数は前年比27.6%増の205万台と大幅に増加した。規制環境の変化を踏まえ、OEM各社が現在の消費者ニーズにより合致した車種を市場投入したことが背景にあり、今後もBEVの販売台数は鈍化し、HEVの販売台数が増加すると予想している。

 欧州自動車工業会(ACEA)が発表した、EUにおける25年の乗用車新車登録台数(暫定値)は、前年比1.8%増の1082.3台となった。主要市場を見ると、スペインが同12.9%増と好調だったが、ドイツは同1.4%増の微増、フランスは同5.0%減、イタリアも同2.1%減と前年を下回った。パワートレイン別では、HEVが同13.7%増の373万台となりガソリン車を上回り市場シェア首位となった。EVは、最大マーケットであるドイツが復調し、スペインやイタリアなどでも大幅に登録台数が伸びたことで、BEVが同29.9%増の188万台、PHEVが同33.4%増の約102万台となるなど2桁の高成長を果たした。一方で、ガソリン車は同18.7%減の約288万台、ディーゼル車は同24.2%減の約96万台まで減少した。

日系自動車メーカーの販売動向

◆トヨタ自動車
 25年4~12月(9カ月累計)の連結販売は、前年同月比4%増の730.2万台となった。アジアでマイナス成長となったものの、日本、北米、欧州、中南米・オセアニア、アフリカなどでは堅調に推移した。なお、トヨタ・レクサスの販売台数は、同3%増の802万台。このうち、HEVが5%増の345.9万台、PHEVが同20%増の13.8万台、BEVが同50%増の16.4万台、FCEVが同13%減の0.1万台となり、電動車比率は前年から1.6ポイント増加して46.9%にまで高まった。

新型RAV4(PHEV)の新世代プラグインハイブリッドシステム
新型RAV4(PHEV)の新世代プラグインハイブリッドシステム
 一方、同社では25年度通期の連結販売台数を975万台に下方修正した。新型車の立ち上げ時における品質確認に時間を要したこと、天候や設備故障などがあり、前回予想の980万台から5万台減の975万台に引き下げた。25年9月には、ブラジルのエンジン工場が暴風雨により被災。そのため、同国にある2つの組立工場の稼働停止を余儀なくされたが、日本や海外の工場がエンジン部品の供給をバックアップすることで、被災から2カ月で組立工場の稼働を再開している。さらに、被災から4カ月後には、生産設備を代替地に移設して現地でのエンジン生産も再開させるなど、サプライチェーンを含めて、同社の生産体制の強みが遺憾なく発揮されている。

◆ホンダ
 25年4~12月の四輪車グループ販売台数は、前年同期比9%減の256.1万台となった。その他地域でプラス成長となったものの、日本、北米、欧州、アジアで軒並み減少。中国では前年から12.9万台減と大きく落ち込んだ。25年度通期の販売台数は、前回見通しの334万台を据え置いている。

25年の国内新車販売台数第1位「N-BOX」
25年の国内新車販売台数第1位「N-BOX」
 なお、昨今の四輪車を取り巻く事業環境を踏まえ、貝原副社長は「四輪車事業は、EV市場の成長鈍化や、各国の環境規制の緩和、保護主義的な政策による多国間の自由貿易体制の後退、グローバル調達の拡大に伴うサプライチェーンリスクの高まり、さらには新興OEMの台頭による競争激化などに直面している。クリーンな事業体質を構築し、新興OEMを凌駕する商品性とコスト競争力を実現する」と指摘。その課題解決に向けて同社では、まずは現在北米で販売しているEV関連の損失を今期中に清算。また、HEVモデルのさらなる収益力の向上に向けては、次世代ハイブリッドシステムの上市に加え、HEVモデルにも次世代ADASを搭載するとしている。

◆スズキ
 25年4~12月の四輪車販売台数は、前年同期比2%増の241.8万台。欧州では減少したものの、日本やインドやアジアなどで増加し、前年を上回った。

 日本では、軽自動車が同4%減の40.9万台と振るわなかったが、登録車ではフロンクスやジムニー ノマド、クロスビーなどが好調に推移し、同29%増の11.9万台と高成長を記録。合計で同2%増の52.8万台となった。軽自動車と登録車を合わせたシェアは、16.1%で第2位を維持した。インドでは、コンパクトカーやSUVが牽引し、販売台数は同4%増の135万台となった。25年9月22日から施行されたGSTの改定以降、小型車を中心に販売を伸ばし、25年10~12月期で52.5万台を販売し、市場シェアは40.7%と首位を堅持している。

 「25年10~12月期は、生産が約49万台に対して卸販売が54万台、末端販売が68万台で、工場在庫ほぼゼロ、末端在庫は月販の約3日程度と払底した。1月も生産分をほぼ全量卸販売する状況が継続している。受注残は1月末時点で約19万台。来期は新工場(カルコダ第2工場/ハンサルプール第4工場)で各25万台/年規模の能力追加を見込む」と専務役員の岡島有孝氏は語った。

◆日産自動車
 25年4~12月の累計販売台数は、前年同期比6%減の225.7万台。「北米での販売は堅調で同1%増のプラス成長となった。米国生産モデルを優先する“US For US”戦略、ターゲットを絞ったインセンティブの使い方、ディーラーの参画意識の向上などが拡販に寄与した。特に米国で生産しているパスファインダ―、フロンティア、ローグ、ムラーノ、そしてインフィニティQX60などが販売を牽引した」とCFOのジェレミー・パパン氏は語った。

「ワールド・ベスト・コンパクトカー」賞を受賞した新型「日産リーフ」
「ワールド・ベスト・コンパクトカー」賞を受賞した新型「日産リーフ」
 一方、同社では現在の販売状況を受け、通期の販売台数を320万台に下方修正した。米国では引き続き小売りを優先し、ブランドイメージの向上でさらなる拡販を図っていくことで、前回見通しの130万台を維持。国内ではターゲットを絞り込んだマーケティング投資で集客力を強化するも前回見通しから2.5万台減の42万台。中国市場については引き続き軟化する中、コア商品の販売に集中することで顧客ニーズに対応し、前回見通しから0.8万台増の65.3万台を見込む。

◆マツダ
 25年4~12月のグローバル販売台数は、米国、欧州での減少を受けて、同5%減の92.0万台にとどまった。米国ではCX-50などの販売は増加したものの、依然として関税負担が大きいメキシコ製のCX-30の生産を抑えたことで、販売が減少した。欧州での販売減は、MAZDA2のICEモデルとMAZDA6の販売終了に加えて、新型モデルの販売を抑えた現行CX-5の販売減が主な要因。そのほか、中国では25年9月発売の新型電動車のEZ-60が好調で、同1%増のプラス成長に転じた。

 環境規制の撤回や平均取引価格の上昇など市場環境が大きく変化している米国市場での戦略について、「販売では、強い需要に応えるための在庫が足りておらず、しっかり供給をしていく。環境規制や電動車に対する消費者の需要を見ると、最低2年ぐらい余裕ができていると考えており、その間、現在開発中の独自ハイブリッドや保有資産である直列6気筒エンジンを武器に商品力を強化していく。加えて、スポーティーさをさらに強化し、少しとがった方向のマツダらしい商品を揃えていき、平均取引価格を上げていきたい。また、米国でのブランド価値向上にはミッドサイズSUVが重要で、ラージ商品を引き続き強化していく」としている。

◆三菱自動車
 25年4~12月期の累計販売台数は、日本、中南米、中東・アフリカでプラス成長となったものの、その他地域が前年を下回り、グローバルでは前年同期比6%減の58.9万台となった。ASEAN主要国の総需要は、インドネシアやフィリピン、ベトナムで自然災害の影響で弱含む一方、タイではEV3.0恩典終了前の駆け込み需要で増加した。このような状況の中、同社はタイでの過度な値引き競争の影響を受け、台数・シェアともに下落。フィリピンでもスモールカー向け与信引き締めにより若干の下落となった。

 日本では、総需要はおおむね前年並みで推移したが、同社はモデル切り替えの影響もありやや苦戦したものの、25年10月に投入したデリカミニが下支えし、前年並みの販売を確保した。そのほか、米国ではEVの税控除終了前の混乱に加え、追加関税による価格上昇を見越した前倒し購入が需要を押し上げ、総需要は小幅ながら増加した。同社は、販売終了モデルに加え、追加関税対応として販売活動を慎重に進めたことから、販売台数は前年を下回った。

◆SUBARU
 25年4~12月の販売台数は、前年同期比4%減の67.6万台となった。日本では登録車、軽自動車ともに堅調に推移し、同4%増の7.8万台とプラス成長となったものの、米国、カナダ、欧州、豪州、中国などの海外主要市場では軒並み前年を下回った。なお、米国については、矢島工場のシャットダウンに伴う生産影響が主な要因としている。

 一方、第3四半期までの事業環境を踏まえた通期見通しでは、生産台数90万台、販売台数92万台は前回見通しを据え置いた。また、26年(暦年)の米国市場における販売見通しについては、「米国経済の先行き不透明感を背景に、顧客の購買行動には慎重さが見え始め、アフォーダビリティに対する重要性が高まっている。また、現金余力がある顧客層であっても、金融サポートを求める動きが強まっている。一方で当社においては、クロストレックとフォレスターは外部機関による高い評価を獲得。加えて、今後市場に本格導入されるアウトバックも加わることで、魅力的な商品をラインアップし、お客様に提案できるようになる。25年のマーケットシェア3.9%に対して、26年は4.2%を目指す」とCFOの戸田真介氏は語った。


電子デバイス産業新聞 編集部 記者 清水 聡

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