電子デバイス産業新聞(旧半導体産業新聞)
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第656回

26年の新車販売は低調な滑り出し


補助金の見直し・撤廃、価格高騰で消費冷え込む

2026/6/5

 2026年1~3月期の自動車販売の動向を見ると、EUにおいては主要国における新たな優遇制度の導入によりプラス成長となっているものの、世界最大の市場である中国、ならびに第2位の米国でEV補助金の見直しや購入支援制度の撤廃を受けて、電動車を中心にマイナス成長を記録した。また、日本でも物価高騰などにより消費者心理が冷え込み、26年1月から3カ月連続で前年を下回っており、市場全体では低調な滑り出しとなっている。

 中国自動車工業協会(CAAM)によると、26年3月の自動車販売台数は同0.6%減の289.9万台となった。1~3月の累計では、前年同期比5.6%減の704.8万台と低調に推移している。3月の販売台数の内訳をみると、乗用車が前年同月比2.3%減の241.2万台だったが、商用車は同8.9%増の48.7万台と堅調に伸長した。また、新エネルギー車(NEV)の販売台数は同1.2%増の125.2万台で、1~3月の累計では前年同期比3.7%減の296万台。中国では26年1月1日から27年12月31日までの2年間、NEVの購入税優遇が従来の全額免除から半額減免に変更されており、これがNEVのマイナス成長に大きく影響しているもようだ。

 米国の1~3月期の新車販売台数は、前年同期比5.5%減の371万台となった(モーターインテリジェンス調べ)。自動車ローン金利のアップや関税影響による車両価格の高騰、ガソリン価格の上昇といった購入環境の悪化による消費者心理の冷え込みに加え、購入支援制度の撤廃による環境対応車の販売減など、複数の要因が背景にある。また、パワートレイン別の販売台数は、ハイブリッド車(HV)がSUBARU「フォレスター」などが牽引し、同12.3%増と伸長したものの、BEVが同27.1%減、PHEVが同57.0%減、ガソリン車が同4.8%減となり全体を押し下げた。

 欧州自動車工業会(ACEA)が発表したEUにおける1~3月の新車販売台数は、主要な欧州諸国における新たな税制優遇措置やインセンティブ制度の導入・改定により、消費が喚起されたことを受け、前年同期比4%増の282.5万台となった。パワートレイン別の構成比率は、BEVが19.4%で、前年同期の15.2%から増加。HVは38.6%を占め、EUの消費者の間で依然として最も好まれる選択肢となっている。さらに、ICE車とディーゼル車を合わせた市場シェアは、25年1~3月期の38.2%から30.3%に低下した。

日系自動車メーカーの販売動向

◆トヨタ自動車
 25年度における連結販売台数は前年度比3%増の959.5万台となった。アジアならびにその他地域でマイナス成長となったものの、日本、北米を中心とした強い需要を背景にプラス成長となった。なお、電動車の販売台数(トヨタ・レクサス)は、北米や中国などの各地域で好調なHVに加え、PHEV、BEVも台数を伸ばし、同7%増の504万台となった。

 26年度の連結販売台数は、前年度比0.1%増の960万台を見込む。日野自動車が連結対象外となる一方で、前期にモデルを切り替えた車種の生産が本格化することで前年並みとなる。「電動車では、HVの販売が今期初めて500万台を超え、電動車全体では約600万台にまで伸長し、トヨタ・レクサスの販売台数における電動車比率は56.7%を見込む」(近社長)。

もっといいクルマづくりを支える「Toyota Technical Center Shimoyama」
もっといいクルマづくりを支える「Toyota Technical Center Shimoyama」
 一方、同社では事業構造改革に取り組んでいく。取り組みの大きな柱は、①もっといいクルマづくり、②モビリティーカンパニーへの変革の2つ。①では、センチュリーを筆頭とした5つのブランドでのモデルラインアップの面での広がりと、稼ぐ力の強化のかけ算で推進。②では、既存のバリューチェーン収益の拡大、陸海空での新モビリティーの提供、そしてコネクテッドやSDV技術を活用したロボティクスを新たな取り組みに加えることで、従来以上の増益幅の拡大を目指していく。

◆ホンダ
 25年通期の四輪車のグローバル販売台数は、その他地域でプラス成長としたものの、日本、北米、欧州、アジアなどで軒並みマイナス成長となり、前年度比9%減の338.7万台にとどまった。26年度は主に北米での増加が見込まれるものの、アジアでの減少(11.4万台減)を反映し、前年度から3000台増の339万台を見込む。

 「当社では従来、HVは主に中型車領域を中心に展開してきたが、このセグメントにおいては北米でも十分に競争力があると考えている。現在、中型モデルについてはマイナーチェンジを通じて、低コストかつ高性能な商品力の強化を進めており、あわせて大型HVモデルの開発も進めている。今後は、こうした商品群を段階的に準備・拡大していく。今回、一部EVの開発中止を発表したが、当社の生産ラインは混流生産となっているため、HVの生産台数を増やすことが可能で、増産の余地は十分にある」と三部社長は語った。

◆日産自動車
 25年度のグローバル販売台数は、不透明で厳しい競争環境と各市場の販売状況のばらつきが影響し前年度比6%減の315.1万台となった。中国の通期販売台数は同6%減。しかしながら、下期では新エネルギー車(NEV)が牽引役となりプラス成長となった。日本は同14%減となったが、第4四半期は、ルークスやリーフなどの新型車が新規顧客を獲得し減少幅は縮小している。北米における通期の販売台数は前年並みだったものの、第4四半期は、フリート向けの販売の減少を受け、前年同期比6%減だった。

北京モーターショー2026で「テラノPHEVコンセプト」(左)と「アーバンSUV PHEVコンセプト」(右)を世界初公開
北京モーターショー2026で「テラノPHEVコンセプト」(左)と「アーバンSUV PHEVコンセプト」(右)を世界初公開
 一方、26年度のグローバル販売台数は、前年度比5%増の330万台を見込む。複数の新型車およびモデルチェンジの投入により、すべての重点市場で台数およびシェアを伸ばす想定。イヴァン・エスピノーサCEOは、「26年度も引き続き、競争の激化や為替変動、インフレ圧力、地政学的な不確実性などから、厳しいビジネス環境が続くと想定しているが、当社はRe:Nissanの取り組みを着実に推進し、目標に掲げた26年度末での自動車事業の営業利益とフリーキャッシュフローの黒字化(関税影響を除く)を達成していく」と語った。

◆スズキ
 25年度のグローバル生産台数は、新工場が稼働したインドや、順調に経済が回復しているパキスタンなどで台数を増やし、同7%増の353.3万台と過去最高を記録。グローバル販売台数は、GST改正の追い風を受けたインドおよび、パキスタン、アフリカなどで好調に推移し、同2%増の332万台となった。鈴木社長は、「25年9月のGST改正以降、SUVのみならず減税効果の大きかった小型車でも需要の回復が見られる。26年度上期中には合計50万台の年間生産能力を持つ2つの新製造ラインをカルコダ工場、ハンサルプール工場で稼働を開始させ、需要の拡大に応えていく」と語った。

 一方、26年度のグローバル販売台数は、前年度比7%増の355.4万台を見込む。このうち主にインドでは急拡大する需要を供給能力の増強で取り込むことで、前年度から約10%増加する見通し。

◆マツダ
 25年度のグローバル販売台数は、同6%減の122.3万台にとどまった。米国における不透明な経済情勢や関税環境を踏まえて生産台数を抑えたことが主な要因。第4四半期には、特に米国市場において、それまでの販売減を取り返す挑戦的な販売計画に取り組んだ。一方で、2月以降は、中東情勢の悪化や中国需要の大幅な落ち込み、米国での政府補助金の打ち切りに伴うHVモデルの想定を上回る販売鈍化などの課題が顕在化している。

 一方、26年度のグローバル販売台数は前年度比8%増の132.4万台を見込む。この成長見通しは、新型CX-5のグローバルでの導入に加え、欧州をはじめとする電動化比率が高まっている市場でのBEVの販売台数増を織り込んでいる。あわせて、特に米国市場向けのMAZDA3やCX-50の供給改善による販売増の寄与も見込まれる。

◆三菱自動車
 グローバル販売台数は、前年度比5%減の79.7万台。新型車の好調により台数を伸ばした地域もあったが、イラン情勢の悪化を受けて3月は小売りに急ブレーキがかかり、グローバルではマイナス成長を余儀なくされた。

 地域別には、北米では関税影響に加え一部モデルの販売終了影響もあり台数減。豪州は複数モデルの販売終了影響に加え、中国メーカーの攻勢もあり台数を落とす結果となった。中東・中南米は、中南米での新型車販売の好調に加え、中東でも期末にかけて情勢影響を受けたものの、主力モデルが通年で販売を牽引し、前年を上回った。日本は新型車の堅調な販売により台数が増加し、5年連続でシェア・台数とも増加した。

 26年度のグローバル販売台数は、各地域において台数の伸長を目指し、前年度比8%増の85.7万台を見込む。「ASEAN地域では、特にフィリピンおよびベトナムで、新型車の通年効果を着実に取り込み、販売の底上げを図る。また、日本ではデリカシリーズの販売を強化することで台数拡大を図っていく」(加藤社長)としている。

◆SUBARU
 25年度通期のグローバル販売台数は、前年度比4%減の89.6万台となった。海外市場での販売台数が減少したものの、フォレスターは主要市場の米国・日本・カナダで販売増を達成。米国市場は、矢島工場のシャットダウン、および年初に発生した寒波の影響で前年から2.1万台減少した。また、中東情勢の緊迫化に伴い、輸送船舶の運航に影響が生じたことで、海外市場向けの出荷・販売が一部制約を受けた。

 一方、26年度通期のグローバル販売台数は、前年度比4.4万台増の94万台を見込む。日本で0.5万台増、海外市場で同3.9万台増(うち北米市場で2.8万台増)を計画している。25年に導入したICE系新商品の需要を着実に取り込むとともに、市場ごとの需要に応じたモデル・グレード・仕向地の機動的な生産・販売調整を図り、達成を目指す。

 なお同社では、事業環境の変化を受け、自社開発のBEVの導入時期を延期し、開発リソースをICE系商品へシフトする。今後は、BEV開発で得られた短期間で開発するプロセスや技術資産、知見を活用し、タイムリーなクルマづくりとラインアップの拡充を図る。なお、自社開発のBEVの導入時期は延期するが、バッテリーやeAxleなど、将来に不可欠な基盤技術の開発は継続する。


電子デバイス産業新聞 編集部 記者 清水聡

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