電子デバイス産業新聞(旧半導体産業新聞)
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第113回

(株)テレパシージャパン 代表取締役 鈴木健一氏


体験をリアルに共有するデバイス提供
BtoBから夏には民生品発売

2015/3/20

(株)テレパシージャパン 代表取締役 鈴木健一氏
 ウエアラブルデバイス「Telepathy Jumper(テレパシージャンパー)」をコアに、このデバイスとウエアラブルサービスを統合することで、人と人とのコミュニケーションを進化させる(株)テレパシージャパン(東京都中央区人形町1-7-10)は、様々なビジネスの現場で活用するため、パートナーと共同開発を進めるとともに、今夏には一般消費者向けの製品を発売する予定の注目企業だ。代表取締役の鈴木健一氏に話を伺った。

―― まずは経緯から。
 鈴木 「道端のかわいい花を撮影し、アプリを立ち上げコメントを付けてSNSに投稿する。いくつものステップを要する現在のスタイルをもっとシームレスでリアルタイムなものにすれば、新たなコミュニケーションが生まれるのではないか」との思いから、前CEOが十数人で2013年7月に創業した。私を含め社員のほとんどが日本の企業でノートPC、ポータブル端末、電子機器などの開発に携わってきた。
 米国法人も保有しており、創業間もない13年8月にシリコンバレーのベンチャーキャピタルから500万ドルの資金を調達してデバイス開発を進め、14年12月にTelepathy Jumperの製品発表会を日本で行った。15年1月にはCES2015にも出展した。

―― コンセプトは。
 鈴木 私たちは毎日、音声、文字、動画をやり取りして連絡・情報交換をしているが、Telepathyは「体験を分かち合う」、ある人が体験していることを離れた場所にいる人と「リアルに共有すること」をコンセプトに、データのやり取りではなく「離れていてもそばにいるような」感覚、「目の前の現実を誰かと一緒に見る、聞く、話す、撮る、知ることができる、今までにない『人とひとつになる』」コミュニケーションデバイスを実現したい。

―― 製品について。
 鈴木 ディスプレーユニット(ディスプレー、カメラ・マイクセンサー)、パワーユニット(バッテリーと操作ユニット)をフレキシブルなフィッティングで結び、首掛けスタイルでディスプレーユニットを眼鏡などに装着して使用する。
 Android OSを搭載し、操作ユニットでスマートフォンと同等の機能を実現している。表示性能はqHD(960×540ドット)で、屋外や直射日光下でも鮮明に表示できる。カメラは500万画素で、オートフォーカス機能を備えている。センサーは加速度、ジャイロ、地磁気、近接センサーを搭載し、メモリーは8Gバイト、通信はWi-Fi、ブルートゥースに対応する。

―― ビジネスの進め方について。
 鈴木 まず、BtoB市場への浸透を図りつつある。日立ソリューションズとは、13年10月の業務提携以降、生産現場の管理への応用に取り組んでいる。コントロールルームから作業現場へ、ハンズフリーで手を休めることなく、ビジュアルなコミュニケーションを提供することで、徹底的に無駄やリスクをカットできる。
 医療現場、ホテル、エアライン、カーディーラー、商業店舗といった用途を想定した引き合いが多く、この3~4月に開発者向けのTelepathy Jumperを提供する。SI、ソフトウエア、インターネット系の各企業がそれぞれ想定するビジネスシーンや業界に合わせたシステム、ソフト作りに取り組んでいく。
 今夏には、一般の人々にも楽しんでいただけるコンシューマー向け製品の発売を予定している。世界中の人々とありのままの体験や知識・思考・感情を共有する環境を提供したい。例えば、Telepathy Jumperでアクセスするとバンジージャンプの臨場感やスリルを一緒に味わうことができるといったような体験だ。まさにテレパシーのように、人と人が時間も空間も飛び超えて、すぐそばにいるようにコミュニケーションできる時代が始まる。

―― 最後にメッセージを。
 鈴木 BtoBでは様々なビジネスの現場があり、新たなビジネスを創り上げたい方はお気軽にご連絡いただきたい。あわせて、Telepathy Jumperの進化に必要な半導体、電子部品、各種デバイス、技術パートナーも募集している。新しいコミュニケーションを実現するこのオープンプラットフォームに参加してほしい。将来的には海外生産も視野にあるが、当面は国内生産にこだわりたい。

(聞き手・本紙編集部)
(本紙2015年3月19日号3面 掲載)

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