電子デバイス産業新聞(旧半導体産業新聞)
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第655回

AIチップブームは空前の投資ラッシュでひたすら上昇するばかりだ!


グーグル、メタなどのIT各社は26年に100兆円の巨額投資実行

2026/1/16

 ここ2、3年間の一大半導体ブームはいつにかかってAIチップがもたらしたものである。これまでの半導体のアプリケーションはスマホ40%、パソコン20%、自動車10%、データセンター10%、液晶テレビ5%、産業機械・医療・ロボットなどその他で25%という割合になっていた。

 しかして、スマホの年間出荷台数はピークの14億台から12億台まで減ってきており、パソコンはこの10年間同じく2億5000万台の水準を続けており、まったく伸びない。それでも、半導体の爆裂成長は続くのであり、AIによるインパクトがどれだけ大きいかが分かるだろう。

データセンターなどAIインフラ投資は26年も継続
データセンターなどAIインフラ投資は26年も継続
 ハイパースケーラー主要各社のAIインフラ向け投資はひたすら加速している。グーグル、メタ、アマゾン、マイクロソフトなど上位8社の25年設備投資は、実に前年比65%増の67兆円に伸びたと見られている。2026年についても、前年比40%増が想定されており、何と100兆円近くの巨大投資に膨らむ様相なのだ。

 AIテクノロジーが半導体にもたらす影響は凄まじいものがある。データセンターにおける液体冷却の普及に伴い、AIチップの競争が激化していく。HBM(広帯域のDRAM)および光通信がAIクラスターアーキテクチャーを根本的に変えていく。また、AIデータセンターは800V・HVDCアーキテクチャーに移行し、第3世代の半導体需要を牽引する。さらに、NANDフラッシュメモリーがAIストレージソリューションを進化させ、推論を加速しコストを大幅に削減する。

 こうしたAIテクノロジーのトレンドが、半導体ブームを強烈に牽引しているのだ。EV市場が変調を来し、需要が低迷しているパワーデバイスにおいてもAIインフラ向けの新市場が出てくることが確実であり、明るさが見えてきた。電子部品のMLCCにあっても、AIサーバー向けで搭載数がずっと増加し続けている。プリント配線板においてもAI半導体関連やサーバー用のパッケージ基板・高多層板は絶好調なのである。

 直接的にはAIチップの王者であるエヌビディアのGPUがとんでもなく伸びていくわけであるが、これに伴うDRAMやNANDフラッシュメモリーの凄まじい伸びも見逃せないところだ。

 ちなみに、AIブームの火付け役であるOpenAIは自社でのインフラ整備に乗り出しており、その規模は桁違いであり、今後8年間で200兆円の巨額投資を検討していることも大いに注目してよいだろう。同社は、エヌビディア、SKハイニックス、サムスンなど主要なAI向けチップメーカーとの連携を一気に進めている。

 AIブームは、まだ始まったばかりに過ぎない。今後、スマホやパソコンにAIチップが多く搭載されていくであろうし、未来のコネクテッドカ―には当然のことながらAIチップが内蔵される。さらには、ヒューマニクスロボットなどもAIチップを必要とするわけであり、まさに無限大の勢いでAIブームは続いていくのである。


泉谷 渉(いずみや わたる)略歴
神奈川県横浜市出身。中央大学法学部政治学科卒業。35年以上にわたって第一線を走ってきた国内最古参の半導体記者であり、現在は産業タイムズ社 取締役 会長。著書には『自動車世界戦争』、『日・米・中IoT最終戦争』(以上、東洋経済新報社)、『伝説 ソニーの半導体』、『日本半導体産業 激動の21年史 2000年~2021年』、『君はニッポン100年企業の底力を見たか!!』(産業タイムズ社)など27冊がある。一般社団法人日本電子デバイス産業協会 理事 副会長。全国各地を講演と取材で飛びまわる毎日が続く。
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