中国最大のシリコンファンドリー企業であるSMIC(上海市)は、ここにきて業績が急上昇している。2025年第4四半期(10~12月期)の売上高は、前年同期比12.8%増の24億8900万ドル、純利益は同60.7%増の1億7285万ドルとなっている。生産能力拡大にも注力しており、26年の設備投資については25年とほぼ同水準となる見込みなのである。
SMICは中国半導体メーカーのなかでも成長率ではトップ
SMICの生産は中国の上海、北京、天津、深セン、寧波に保有している。さらに、イタリアのエルファンドリーを買収しており、300mmと200mmの両方で半導体工場を展開している。
上海と北京の工場では、28nmのラインを動かしている。さらに、14nmの開発を加速している。米国による制裁を受けていたものの、世界的半導体不足が続くことによりSMICの工場はフル稼働が続いているのだ。SMICの売上高は、20年度は274億元、21年度は356億元、22年度は445億元と急上昇していたが、23年には452億元となり、成長の踊り場状況となっていた。24年度については、一気に578億元に押し上げており、25年以降も一気に売上拡大を図っていく方向なのである。
中国政府の方針としては、半導体サプライチェーンをすべて中国で賄うということが強く打ち出されており、SMICもこれに従ってこれまで輸入に頼ってきた半導体を国産化する動きを加速している。アナログ半導体が、ここにきては急増しており、メモリーも拡大基調が出てきた。そのほか、液晶ドライバー、CMOSイメージセンサー、マイコンなども生産拡大を図っている。
世界的なメモリー不足に対応して、中国のファブレス企業であるギガデバイスからNOR型フラッシュメモリーのファンドリー生産を受託している。45nm製品の受託量は月産2.5万枚規模で、さらに増えていく見通しだ。そして、28nm対応のアプリケーションプロセッサーの生産に注力し、クアルコム向けの出荷量を増やしている。さらに加えて、14nmについてはベルギーのimec、米国クアルコム、中国ファーウェイとの4社で共同開発を促進しているのである。ハイシリコンは、14nmの生産を開始しており、ここまで来れば中国ファンドリーも相当、活躍を期待できる情勢になっている。
一方、中国政府は半導体メーカーに対して、生産能力を増設する際は中国の国産設備を最低50%は使用することをはっきりと要求している。こうした動きに対し、中国NAURAはSMICの7nm生産ラインでエッチング装置を試験中。アメリカのラムリサーチや東京エレクトロンなどからの装置購入をNAURAやAMECに徐々に置き換えていく方向にあるのだ。
SMICの活躍に象徴されるように、中国の国産半導体企業もはっきりと力をつけ始めた。そしてまた、製造装置の内製化を進めていることもあり、これまでのように日本の装置カンパニーは、中国を徹底重視というわけにはいかなくなるだろう。
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泉谷 渉(いずみや わたる)略歴
神奈川県横浜市出身。中央大学法学部政治学科卒業。35年以上にわたって第一線を走ってきた国内最古参の半導体記者であり、現在は産業タイムズ社 取締役 会長。著書には『自動車世界戦争』、『日・米・中IoT最終戦争』(以上、東洋経済新報社)、『伝説 ソニーの半導体』、『日本半導体産業 激動の21年史 2000年~2021年』、『君はニッポン100年企業の底力を見たか!!』(産業タイムズ社)など27冊がある。一般社団法人日本電子デバイス産業協会 理事 副会長。全国各地を講演と取材で飛びまわる毎日が続く。