(株)国際協力銀行(東京都千代田区大手町1-4-1、Tel.03-5218-3100)は、わが国企業の海外事業展開の動向に関するアンケート調査を実施した。有望国・地域ランキングではインドが4年連続の首位となった。
この調査は、日本企業の海外事業展開の現況や課題、今後の展望を把握する目的で、製造業については1989年から実施しており、今回で37回目となる。対象企業数は1072社、有効回答数は541社、有効回答率50.5%となっている。また、24年度から非製造業企業も調査対象に加えており、対象企業数は757社、有効回答数は192社、有効回答率は25.4%となっている。
25年度調査では、「事業実績評価」、「中期的な事業展開姿勢」、「有望事業展開先」などの定例テーマに加え、個別テーマとして「米国政策のサプライチェーンなどへの影響」、「AIによる事業の変革とビジネスチャンス」、「海外事業を通じたサステナビリティへの取り組み」などについて調査を実施した。
製造業の24年度の海外生産比率は36.1%(前年度比0.1%増)、海外売上高比率は40.9%(同0.9%増)と上昇基調を維持し、海外売上高比率は過去最高水準を2年連続で更新した。今後の改廃事業展開に係る強化・拡大姿勢は、慎重姿勢が強まった24年度から変化が見られ、25年は上昇に転じた。
今後3年程度の有望事業展開先では、インドが60%を超える企業から支持を集めて1位となった。米国は堅調な経済や国内市場の魅力などを背景に得票率を伸ばし、24年度の3位から25年度は2位に上昇した。米国への進出は、トランプ政権の要望に応じた動きもあるが、大きな国内マーケットに魅力を感じている企業が多くみられる。これまで有望国として票を集めていたASEAN主要国は、経済の落ち込みや他国企業の競争力激化も背景に中期的に得票率が低下傾向にある。中国は24年度から1つ順位を上げ5位となったが、得票率回復には至らず、国内での地場企業や他国企業との厳しい競走に晒される日本企業の姿も見られた。以前の中国一極集中から、ASEANに流れる動きがあったがASEAN地域でも競争が厳しくなり、インドに目を向けるようになっている。
米国関税政策の強化では、直接あるいは間接的に収益に悪影響を受ける企業が多くあった。一方、米国内に拠点を持つ企業を中心に一部では関税政策を好機と捉え、事業拡大を図る姿も見られた。また日本企業のサプライチェーンに関しては、地政学リスクの高まりや反グローバリズムの拡大などに対応し、地産地消の促進も含めた最適化を追求する動きもあった。
米国内で事業展開を検討する州は、1位がカリフォルニア州で、2位がテキサス州。また、イリノイ州、オハイオ州の中西部から、ジョージア州南部にかけての地域に加えて、アリゾナ州、ニューヨーク州もトップ10にランクインしている。アリゾナ州ではTSMCの工場建設に呼応する動きがあった。
AIの活用については、業種ごとの差は見られたが、管理部門で約6割、生産部門で約4割の企業が活用。足元でのAIによる省力効果は多くの企業で20%に満たないものの、今後10年間では省力化が進むとの期待から、AIを活用した事業効率化を中長期的に継続する姿勢が確認された。AI関連事業では、半導体製造やデータセンター関連など、幅広い分野で強みを持った日本企業の事業展開が確認された。
生物多様性確保などのサステナビリティに関する取り組みは6割以上の企業が海外で実施。積極的に同取り組みを行って事業機会につなげる日本企業も確認された一方、国ごとに日本企業が直面する様々な課題も明らかとなった。
非製造業の有望国・地域ランキングでは、製造業の進出が進むインドが卸売、建設などの業種からの票を集め1位、データセンター事業が活況を呈する米国が建設、電力・ガスなどの業種からの票を集め2位となった。一方、製造業で8位のフィリピンは非製造業では運輸、卸売、建設などから支持され5位に、また製造業で13位のオーストラリアは資源、電力、金融などから支持され6位となり、製造業との差異も見られた。