半導体産業における後工程の投資に注目が集まっている。それは、半導体の前工程の微細加工の限界が近づいているからだ。シリコンウエハーを使う以上、0.5nm以下は物理的に難しいとの意見が多い。そこで、後工程に多くの注目が集まっている。つまりは、チップレットやパッケージングで凌いでいくという考え方なのである。
従来のパッケージよりも信頼性を向上し、放熱性を向上し、より小さく薄く、しかも安いという新たなパッケージが望まれている。そして、チップレットはチップの外側で配線するという手法であり、パネルフォーマットでやる形も出てきている。
こうした状況下で、OSAT(後工程ファンドリー)を担当する各社のアクティブな投資が注目を集めている。国内のOSATを代表する企業の一社であるアオイ電子では、ここにきて超アクティブな投資が目立ってきた。
アオイ電子はシャープの三重事業所(第1/第2工場)を取得
これまでは、高松にある本社工場と観音寺工場の2カ所を動かしてきたが、最近では三重県にあるシャープの液晶工場(第1工場/第2工場)を買収して、傘下に加えてしまった。そして、東京の青梅においても完全子会社の青梅エレクトロニクスを稼働させている。青森においても、ハイコンポーネンツ青森という製造拠点を持っている。同社は、今後も後工程技術に磨きをかける一方で積極的な設備拡大を続けていくことになるだろう。
日本に多くの拠点をもつアムコーテクノロジーも注目すべき一社である。同社は、米国アリゾナ州に本社を置くが、その前身は1968年に韓国で事業を開始したアナム・インダストリアルである。同社はワールドワイドに展開しており、世界11カ国、20の製造拠点に3万人を超える人員を持っている。工場は、日本が一番多くて5カ所(函館、福井、福岡、熊本、大分)もあり、次いで韓国に3カ所、フィリピンに3カ所、台湾に2カ所、そして上海、ベトナム、マレーシアに各1カ所を有している。
日本国内の展開についてはルネサス、東芝デバイス、ソシオネクスト、デンソー、ローム、ソニーなどが顧客となっている。アムコーは、今後も日本国内における設備投資をさらに拡大していく方向にあるのだ。
アムコーやアオイ電子などを中心に、国内のOSATカンパニーを束ねる日本OSAT連合会が2025年5月に設立された。日本の半導体後工程産業の強化と発展を目指し、技術力の向上と人材の育成、産業基盤の強化を通じてニッポン半導体の競争力の向上に貢献することが目的である。正会員は28社、賛助会員は58社という陣容で、自動車向けや産業機械向けを中心に、今後も国内OSATの拡大を図るという組織であり、期待をかけたいものである。
世界のアドバンスドパッケージ市場は、今後数年間にわたって12%成長が継続すると見られており、何と13兆円の巨大市場を築くことになるのだ。OSATの世界チャンピオンは台湾ASEであるが、北九州の16万m²に巨大工場建設を構えており、国内におけるOSAT連合に厚みを加えることになるだろう。
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泉谷 渉(いずみや わたる)略歴
神奈川県横浜市出身。中央大学法学部政治学科卒業。35年以上にわたって第一線を走ってきた国内最古参の半導体記者であり、現在は産業タイムズ社 取締役 会長。著書には『自動車世界戦争』、『日・米・中IoT最終戦争』(以上、東洋経済新報社)、『伝説 ソニーの半導体』、『日本半導体産業 激動の21年史 2000年~2021年』、『君はニッポン100年企業の底力を見たか!!』(産業タイムズ社)など27冊がある。一般社団法人日本電子デバイス産業協会 理事 副会長。全国各地を講演と取材で飛びまわる毎日が続く。