商業施設新聞
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No.1022

美と健康で貢献するアモーレ


嚴在漢

2025/9/9

 韓国ビューティー業界トップのアモーレパシフィック(アモーレ)は9月2日、創業80年を迎えた。1945年に起業したアモーレのルーツは、1930年代にユン・ドクジョン女史が故郷の開城(北朝鮮の西南部)で手作りの椿油を売ったのが始まりだ。ユン女史は匠の精神と自然原料をベースに台所で直接椿油を製造、販売した。これは後に息子のソ・スンファン先代会長がアモーレを設立する土台となった。ソ先代会長は家内制手工業で作っていた家業を継いで、美しさと健康の歴史を刻んできた。45年に太平洋化学工業社を設立し、人類に貢献したいという一念でアモーレを成長させてきた。

ソウル龍山に位置するアモーレ本社ビルの玄関広場の吹き抜け天井は、まるでアートのような「美の壺」を連想させてくれる
ソウル龍山に位置するアモーレ本社ビルの玄関広場の吹き抜け天井は、まるでアートのような「美の壺」を連想させてくれる
 現在のアモーレを率いるソ・キョンベ代表取締役会長は、97年に代表理事に就任して以来、アモーレの中心に「美」と「健康」という企業価値を位置づけてきた。これを通して同社は、韓国内の企業を超えてグローバルのビューティー企業として羽ばたいている。特に、「科学と技術で競争優位を確保しなければ、世界トップ企業にはなれない」との先代会長の信念は、今日のアモーレ経営の根幹となっている。

 同社は54年に韓国化粧品業界では初めて研究室を開設しており、57年からは毎年、研究員に日本やヨーロッパなどの先進化粧品技術を習得させている。92年に第1研究棟建設し、続いて2010年に建てた第2研究棟は美を追求する知恵の場という意味と、未知の世界を開拓する2つの意味を同時に持つ「ミジウム」と名付けられたという。アモーレのR&I(研究開発&イノベーション)センターは、化粧品をはじめ美容長寿、皮膚科学、バイオサイエンスなどの分野に対する研究を続けており、世界に設けた6つの拠点研究所(韓国、日本、米国、中国など)を通じて競争力アップに取り組んでいる。

 さらに、パーフェクトな製品作りのために徹底した基準を厳守。同社は日本や欧米、中国、アセアンなどの進出国の法律と規則を遵守している。また、法律的には許容される成分についてもアモーレ独自の基準に基づいて、パラベン(防腐剤)や有機フッ素化合物と一部の色素、特定の紫外線遮断成分などの使用を制限している。

 こうした有害性を含む化学物質を徹底的に排除することにより、アモーレの化粧品は一種の美容薬のような認識として使用されるようになっている。北朝鮮の小さな町で家内制手工業で始まったアモーレは、朝鮮戦争(1950~53年)を経てソウルに定着し、韓国や日本人に幅広く愛されるうえ世界中を駆け巡る「美のツール」になりつつある。
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