商業施設新聞
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No.1016

渋谷駅再開発の工事現場を覗いてきた


サリョールサラ

2025/7/29

 東急(株)、東日本旅客鉄道(株)、東京地下鉄(株)の3社が進める渋谷駅街区計画の最終章として、2025年5月に渋谷スクランブルスクエア第Ⅱ期(中央棟・西棟)が着工した。筆者は新米記者としての勉強も兼ねて、先日その工事現場の見学会へ行ってきた。ヘルメットと安全ベストを装着し、建設中の「(仮称)東口4階スカイウェイ」予定地へ。遮られることなく降り注ぐ日差しと強い風のもと、目の前には宮益坂下交差点やJR線、東京メトロ銀座線車庫線、建設中の渋谷スクランブルスクエア第Ⅱ期(中央棟・西棟)が広がっていた。

建設中の「東口4階スカイウェイ」先端から
建設中の「東口4階スカイウェイ」先端から
 (仮称)東口4階スカイウェイは、渋谷駅東口方面に位置する渋谷ヒカリエのヒカリエデッキと地続きの歩行者ネットワークだ。再開発と谷構造という2つの面で分断されている東西を貫き、つなげることで、歩行者の通行性が大幅に向上する。この新たなペデストリアンデッキは、渋谷駅中央改札をはじめ、渋谷スクランブルスクエア各棟やハチ公前広場、岡本太郎の壁画「明日の神話」でおなじみの京王井の頭線方面コンコースなどをシームレスに接続する。

 写真は、未完成のため道が途中で切れている(仮称)東口4階スカイウェイの先端から撮影した渋谷スクランブルスクエア第Ⅱ期(中央棟・西棟)である。完成後は、第Ⅰ期(東棟)と合わせて、1フロアの売り場面積が最大約6000m²を誇る大型商業施設となる。写真右手には、渋谷マークシティ方面へつながる東京メトロ銀座線の車庫線もある。建設を間近で見学しながら関係者と会話し、完成する諸施設の複雑な位置関係などを整理でき、貴重な学びの多い機会だった。

 渋谷駅の大規模再開発においては、その皮切りとなった12年の渋谷ヒカリエ開業以降、東急東横線の地下化や東京メトロ副都心線との相互開通、渋谷ストリームの開業など、これまで多くの変化があった。個人的に、一連の出来事が「自分事」となったきっかけは、東京メトロ銀座線渋谷駅の移設と、JR埼京線・湘南新宿ラインホームの山手線との並列化だった。当時、JR同線から京王井の頭線への乗り換えをしばしば利用していた筆者は、あの気が遠くなるコンコースをさながら競歩で移動していた。特に終電間際は一か八かの勝負だった。そんな中、突如現れたホーム移設の周知ポスター「2020 並ぶぜ!!ホーム」を目にした興奮は忘れられない。この出来事の後には、MIYASHITA PARKの開業、東急百貨店本店・東横店の閉店、JR山手線の島式ホーム化などが続き、さらに変化することとなった。

 永遠に続くと思われた渋谷駅の変身も終盤となり、31年度には渋谷スクランブルスクエア第Ⅱ期(中央棟・西棟)が、34年度にはハチ公前広場などを含む全体が完成する。このほか、複数の周辺施設も次々と竣工していく予定だ。再開発により商業の力が弱まっていた渋谷が今後どのような機能を備えて巻き返すのか、どのような人流が生まれていくのか、楽しみに見守りたい。
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