電子デバイス産業新聞(旧半導体産業新聞)
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第605回

韓国企業の装置受注、HBMや有機EL向け旺盛


K-Reportの受注実績まとめから

2025/6/6

 電子デバイス産業新聞の姉妹媒体として、韓国の経済動向を弊社ソウル支局が中心となって取材・報道している月間レポート「K-Report」では、「韓国上場企業 エレクトロニクス関連の受注実績」を毎月まとめている。これは、半導体、ディスプレー、2次電池といった分野における韓国上場企業の製造装置や部材、各種工事などの受注実績を日付別にまとめたものだ。今回は、そのなかから注目の製造装置メーカーの動向を紹介する。

■ハンミ半導体

 ハンミ半導体は韓国有数の後工程装置メーカーで、近年はHBM(High Bandwidth Memory)市場で首位をひた走るSKハイニックス向けにボンディング装置を大量納入していることで知られる。これに伴い、2024年の売上高は前年比3.5倍の5589億ウォン、営業利益は同7.4倍の2554億ウォンと、業績が急拡大し、韓国製造装置メーカーのなかでも出色の伸びを記録した。25年1月には、同社として7カ所目となるHBM向けTCボンダー工場を起工し、売上高を2兆ウォン規模まで拡大できる生産基盤を整えつつある。25年に売上高1.2兆ウォン、26年には2兆ウォンの達成を目指す方針だ。

 以下に、ハンミ半導体がSKハイニックスから受注した案件をまとめた。2022年以降の3年余りで8回、総額は4145億ウォンにのぼる。かつてはNANYA PCBやUnimicronといった台湾プリント配線板メーカーからの受注も少なくなかったが、直近ではやはりSKハイニックス向けが群を抜いて多い。SKハイニックス向け以外のTCボンダーに関しては、24年4月に米マイクロンから台湾向けとしてHBM製造用「DUAL TC Bonder Tiger」を総額226億ウォンで受注した実績がある。


 ちなみに、SKハイニックスは、ハンミ半導体以外の韓国企業にもHBM用半導体製造装置を発注しており、24年11月にYestにHBM用半導体製造装置(e-Furnace)を112億ウォンで、25年3月と5月にはHanwha Vision(子会社のハンファセミテック)にHBM製造用半導体機器(TCボンダー)を210億ウォンと385億ウォンで、それぞれ発注している。

■サニックシステム

 サニックシステムは、有機EL用真空蒸着装置「SUNICEL」シリーズを展開し、200×200mm(G1)ガラス基板用からG6用まで手がけている。特にLGディスプレーと関係が深い。真空蒸着装置の売上高は、17年1195億ウォン、18年1146億ウォン、19年837億ウォン、20年623億ウォン、21年429億ウォンと減少してきたが、22年は690億ウォンと反転。23年は559億ウォンへと再び減少したが、24年は1070億ウォンと大きく回復した。これは、成都にG8.7有機EL工場を新設するBOEから、同社が24年6月に真空蒸着装置を受注したことが大きく影響したとみられる。

 真空蒸着装置市場でシェア向上を図るため、大型ガラス基板への対応やハイブリッド型RGB有機EL向けのプロセス開発に取り組んでいるが、一方で近年目立ってきているのがマイクロ有機ELディスプレー(OLED on Silicon=OLEDoS)向けの装置受注だ。OLEDoSは当初、8インチウエハーによる生産が主流だったが、近年はARスマートグラス市場への期待感や新規参入してきた中国メーカーが300mm投資を活発化してきたことで、装置需要が徐々に増えている。韓国では、同業のSNUプレシジョンもOLEDoS向けに真空蒸着装置を供給しているが、サニックスシステムも中国のLakeside、Nanjing Guozhao Optoelectronic Technology(国兆光電)、BOEなどから受注を獲得している。ARグラスをはじめとするウエアラブル機器向けの需要拡大が確信できれば、将来は装置需要がさらに伸びることが予想される。


K-Reportのご購読・お問い合わせは以下をご参照下さい。
https://sangyo-times.jp/download/files/Kreport3.pdf

電子デバイス産業新聞 特別編集委員 津村明宏

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