商業施設新聞
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第466回

(株)タム・タム 代表取締役社長 安藤治氏


日本最大級の総合ホビー店を展開
店舗数30店超、売上高100億円へ

2025/1/28

(株)タム・タム 代表取締役社長 安藤治氏
 (株)タム・タム(名古屋市西区)は、総合ホビーショップ「ホビーショップ タムタム」(タムタム)を中心に、「タムタム 1/2」(タムタム ハーフ)「クルクル」も展開している。主力のタムタムは幅広いカテゴリーを扱うほか、細かいパーツを含め圧倒的な品揃えが高い支持を集める。出店は直近で2024年12月に四国初の「タムタム 松山店」を開業し早くも好評だ。同社代表取締役社長の安藤治氏に聞いた。

―― 店舗の紹介から。
 安藤 主力のタムタムは、プラモデルを中心に鉄道模型、ラジコン、ミニカー、フィギュア、ミリタリーなど多彩なカテゴリー、ラインアップを展開する総合ホビーショップで、各カテゴリーの専門店の集合体というイメージだ。一部を除くほとんどの店舗には物販スペースに加え、ラジコンサーキット、鉄道模型を走らせるレンタルレイアウト、ミニ四駆コースなどの遊び場を用意し、モノとコトの空間を提供している。このほか、実験店として通常のタムタムよりも小型なタムタム ハーフ、ホビーに特化した中古ショップのクルクルといった店舗を有し、店舗数はタムタムが17店、タムタム ハーフが1店、クルクルが2店で、展開エリアは北海道~福岡県までだ。

―― 店舗サイズは。
 安藤 出店先に合わせて柔軟に対応するが、基本的に物販スペースが200~300坪のケースが多い。最大の店舗は「札幌店」で、全体約850坪、内訳は物販が約300坪、残りは複数のラジコンサーキット、シューティングレンジ、サバイバルフィールドなどを展開している。

―― 業績は。
 安藤 直近5年の売上高は、19年度が45億円、20年度が52億円、21年度が50億円、22年度が49億円、23年度が49億円でやや横ばいだが、24年度は新店やインバウンドを含む客数増の影響で51億~52億円を見込み、前年度を超える見通しだ。
 客数は前年度比で微増となっており、直近6カ月では24年6月が34万人、7月が35万人、8月が41万人、9月が34万人、10月が39万人、11月が35万人で、12月は中旬までで31万人となった。客層は40代、50代をボリュームゾーンとし、商品の性格上男性客がほとんどの割合を占める。

―― 出店戦略は。
 安藤 対象は日本全国としながら、ドミナントよりもまずは主要エリアに店舗を構えることを、当面の戦略としている。ホビー業界はまだまだニッチな業界であり、当店のような品揃えを誇る店舗には遠方から来られるお客様も多く、例えば「仙台店」は青森県や岩手県、「金沢店」は富山県や福井県など他県からも来ていただいている。ありがたいことに出店オファーも数多くいただいているが、やみくもに店舗を増やすのではなく、しっかり基準を持って出店を進めていきたい。

―― 直近で松山店がオープンしました。
24年12月にオープンした松山店の様子
24年12月にオープンした松山店の様子
 安藤 四国初出店のタムタム 松山店を24年12月7日に開業した。約200坪の販売スペースのみの店舗だが、7年前から物件探しを始め、今回ご縁があって出店した。オープン当日は約400人が行列を作るなど高いニーズが確認できた。開業して2週間時点で計画以上の数字が出ていて、スタッフ募集を急遽かけるなど想定外なこともありながらも好調なスタートを切ったと言える。

―― タムタムの強み、他社との差別化は。
 安藤 1つは前述の遊び場、あとはスタッフの専門知識の高さが挙げられる。スタッフの約4割が元々お客様として来ていた人であり、しっかりした知識を持って接客にあたっている。また、社内制度としてマイスター制度を設け、接客力の向上も図っている。すべてのベースは“お客様にタムタムでの滞在を楽しんでいただくため”だ。

―― 品揃えについて。
 安藤 カテゴリーごとに専門知識を持ったスタッフやバイヤーが、トレンドを掴みながらもお客様が困らない・何かあったときにパーツがすぐ手に入るような圧倒的な品揃えをこだわりとしている。ネットでは実際の質感や色などは分からない部分もあるので、店舗に揃えることで手に取ってもらうことができる。

―― タムタム ハーフやクルクルの展開は。
 安藤 タムタム ハーフは、現在岐阜県で1店のみだが、当社の店舗を知ってもらう場として展開を進めたい。まだタムタムに行ったことのない人の入り口になればと思っている。通常のタムタムよりも小型で出店可能なため、例えば駅ナカや狭小区画への進出も可能だろう。中古ショップのクルクルは、商品の循環や希少性の高いアイテムの取り扱いという視点から、出店の機会があれば進めていきたい。

―― 今後の目標は。
 安藤 出店については静岡県内、中でも“模型の世界首都・静岡”を掲げ、プラモデルで地方創生を目指す静岡市に出店したい。数字面では年1~2店程度の出店を行い、10年後にはタムタム業態で店舗数30店以上、売上高は全社で100億円を目指し、今後も事業を進めていく。


(聞き手・副編集長 若山智令)
商業施設新聞2580号(2025年1月21日)(6面)
 ズームアップ!注目企業インタビュー

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