(株)七葉(東京都目黒区)は、抹茶専門店「nana's green tea(ナナズグリーンティー)」を運営する。2001年の創業以来、着実に店舗数を増やしており、11月時点で国内に70店、海外に13店を展開する。25年には新たにロードサイドへの出店に乗り出す。また、海外では30年までに200店を出店したい考えだ。同社代表取締役の朽網一人氏に、今後の出店計画などを聞いた。
―― 現在、国内では70店を展開しています。
朽網 コロナ禍前後で20店ほどを退店したが、今でも北海道から沖縄まで全国的に展開している。これから先も新規出店を検討しており、出店の引き合いをいただいている商業施設にも引き続き出店していく。また、新たな試みとしてロードサイドでの展開も検討を開始している。25年には東海地方で1号店を出店する計画だ。
―― ロードサイドへの出店について具体的に伺えますか。
朽網 名古屋に本社を置くシステム開発などを行っているダイコク電機(株)と資本提携した。本業であるシステム開発などを応用してナナズグリーンティー独自のシステム開発を行い、全国でドライブスルー型のロードサイド店舗の展開を計画している。
500~600坪の土地に自社店舗を構え、一定程度の駐車場を設ける。イートインではスイーツ、ドリンク、フードのフルラインアップを揃え、またドライブスルーも展開したい。一部カフェチェーンやファストフード店のドライブスルーは浸透しているが、我々は「スイーツのドライブスルー」というブルーオーシャンに参入する。今後、ワンハンドで食べられるドライブスルー用のスイーツメニューを開発していく。
―― ロードサイド店に期待することは。
朽網 ナナズグリーンティーを目当てに来ていただくお客様にとっては利便性が高まるだろう。だからといって、商業施設に出ている店舗の売り上げが下がるとは見ていない。買い物の後には商業施設内の店舗に寄っていただき、ナナズグリーンティーへの来店が目的の時はロードサイド店を使ってもらう。こうした使い分けによって来店回数が増えると見込んでいる。
―― 国内における出店計画は。
朽網 国内事業では出店計画を立てていない。ロードサイド店は既存店のある地域を中心に出店していくことで確実に集客する。1号店が軌道に乗ってから出店計画を立てていくことになるだろう。
一方、商業施設への出店は数を追わない。最近は商業施設間の競争が激しくなっている印象だ。売り上げの取れる立地を見極めながら出店していきたい。
―― 海外では特にニューヨーク店が好調のようです。
朽網 ブロードウェイという好立地がアドバンテージとなっている。それだけでなく、本格的な抹茶だという点も支持されている理由だろう。医療費の高いアメリカでは健康志向が強く、抹茶は身体に良いスーパーフードとして安定的な人気を誇る。現地には抹茶専門店も多いが、京都の山政小山園の茶葉を使用した我々の抹茶は、他店とは一線を画しているはずだ。
―― 海外展開は。
朽網 30年までに北米で100店、北米以外で100店の計200店体制を目指す。すでにアメリカではボストンやラスベガスなどで出店の計画がある。基本はFCによる出店拡大を想定しているが、25年にはロサンゼルスに直営店を開き、従業員教育の拠点とする予定だ。
―― 国内外で人気を誇るナナズグリーンティーの強さとは。
朽網 スイーツだけ、ドリンクだけではなくフードも含めて幅広く揃えており、一日中使える店舗として総合力がある。また、素材にこだわりを持っていることも強みだ。山政小山園の茶葉を使用している抹茶だけでなく、フードでも有機栽培米をはじめ、産地や製法にこだわった食材を使用している。素材が良ければ、手の込んだ調理工程を経なくても美味しい料理・ドリンクを提供できるという確信がある。
―― 今後の展望を。
朽網 無理のないスピード感で事業規模を広げつつも、個人的にはどうやって次の世代に引き継ぐかを考えている。100年、200年続く事業へと成長させるためにも、10年以内に後任へとバトンタッチできるように体制などを整えたい。
気軽に抹茶を飲める場所はそれほど多くないし、最近は急須でお茶を淹れて飲む習慣のある人も少なくなっていると聞く。誰もがもっと身近に、美味しい抹茶を気軽に飲める場所を増やしていきたい。
(聞き手・安田遥香記者)
商業施設新聞2574号(2024年12月3日)(8面)
経営者の目線 外食インタビュー