大統領に返り咲いたトランプ氏(写真提供:全米電気工事事業者協会)
ついにと言うか、いよいよと言うか、米国大統領選挙は「だめトラ」または「もしトラ」とも言われたトランプ氏が信じられないほどの圧勝で大統領の座をもぎ取ったのである。そして、バイデン氏からの突然の要請を受ける形で初の女性大統領の期待がかかっていたハリス氏はかなり有利と言われながらも、結果的には目を覆うばかりの惨敗であった。
このハリス氏の敗退ぶりを見ていて、筆者は「あぁやはりアメリカという国はフツーの常識を超えているのだ」と思わざるを得なかった。対立するトランプ氏は婦女暴行など多くの疑惑を受けている人物なのだ。それでも、アメリカ国民はトランプ氏を圧倒的に支持したのである。
半導体を筆頭に先端技術で常に先行するアメリカは、実のところ保守的な考え方を持つ人が多い。「どんなことがあっても女性を大統領にしてたまるか」「黒人の大統領はオバマだけで結構だ」「ウクライナ戦争にいっぱい軍事費を投入する民主党のやり方は全部ダメ」などという世論は水面下で渦を巻いていたのである。そして一方で、トランプ氏の掲げる「アメリカが一番大切。どんな場合でもアメリカは強い国の姿を見せる」という主張はとりわけ白人層や無党派の人たちに受けたのである。最も、アメリカは共和党と民主党という二大政党制がきっちりと確立されており、常に政権交代が起きるということが見逃せない。
トランプ大統領の誕生で半導体産業はどうなるのか、という質問が筆者には集中的に来ていた。トランプ嫌いの人たちには申し訳ないが、実は「だめトラ」こそがニッポン半導体にとっては、万歳三唱してもいいくらいのビッグチャンス到来なのである。
まず第一に、強いアメリカを復活させるというトランプ氏の主張は多くの米国民の支持を受けたわけであるからして、ドルが強くなるのは当たり前のことなのだ。相対的に円は弱くなるわけだから、円安はトランプ当選とともに一気に加速した。1ドル150円に乗っただけでもすごいのに、155円近くまでいったのである。これは、半導体、半導体製造装置、半導体材料などの半導体関連株をコアに株価が上昇していくことを意味する。そしてまた、日本国内で作られた半導体関連の製品は、輸出する時に為替レートがかなり影響するので、円安はまさにビッグチャンス到来なのである。
一方、日本国内においてはヨタヨタの石破政権が衆議院選挙における自公連の過半数割れであっても、ラッキーなことに首班指名では勝利した。要するに石破茂首相は延命が図れたわけであり、自民党政権はどうあっても続いていく。この政治におけるリーダーシップのなさや、信頼感のなさが国民の間に失望感を生んでいることは間違いない。30年間給料の上がらない国ニッポンであり、世界における経済成長から唯一取り残された国ニッポンなのだ。筆者は、こうした流れに憂国の思いを持っているが、これを多くの人たちと討論したいと思いついた。そこで、次のようなタイトルで講演を実行する。
「70年代に、半導体世界一にかけた“官僚と政治家の気概”はどこに行ったのだ!」~夢に向かって頑張る人たちの足を引っ張り、日本の国力を弱くした現状を徹底考察~
この講演におけるカリキュラムは、筆者が60分の基調講演を行い、その後に企業100年計画(株)代表取締役社長の市岡孝治氏が「“本来の日本(人)らしさ”を取り戻す討論のための素地説明」と題して30分の講演を行う。その後、参加者を交えた全員討論会(90分)で徹底的にニッポンの変革、そしてこの国の将来、半導体産業の未来像などについて話し合うのである。
開催要項は次の通り。日時:2024年12月17日(火)13:30~16:50、会場:連合会館205会議室(JR御茶ノ水駅より徒歩5分)、定員:20名(先着順)、参加費は40歳以上の方¥11,000、40歳未満の方¥7,700、現役大学生の方¥3,300。主催は企業100年計画(株)TEL:03-3371-7029
参加申込は https://ws.formzu.net/dist/S246798290/ から。奮ってご参加ください。(終了後、希望者同士の懇親会(居酒屋)を予定、費用は別途¥5,500)
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泉谷 渉(いずみや わたる)略歴
神奈川県横浜市出身。中央大学法学部政治学科卒業。35年以上にわたって第一線を走ってきた国内最古参の半導体記者であり、現在は産業タイムズ社 取締役 会長。著書には『自動車世界戦争』、『日・米・中IoT最終戦争』(以上、東洋経済新報社)、『伝説 ソニーの半導体』、『日本半導体産業 激動の21年史 2000年~2021年』、『君はニッポン100年企業の底力を見たか!!』(産業タイムズ社)など27冊がある。一般社団法人日本電子デバイス産業協会 理事 副会長。全国各地を講演と取材で飛びまわる毎日が続く。