電子デバイス産業新聞(旧半導体産業新聞)
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第663回

「NEDIA Day九州ふくおか」で注目される2つの講演があった!!


アムコーの馬場氏とOSAT連合の林氏が語る後工程の重要性

2026/3/13

 一般社団法人 日本電子デバイス産業協会(略称NEDIA)は、電子デバイス業界における最大団体なのである。会員数は300に近づいており、半導体、電子部品、各種製造装置、電子材料など幅広い分野の会員を擁している。最近では、人材カンパニーも加入するなど、ユニークな会員が増えているのだ。

 NEDIAは、東北から九州までのエリアで幅広くセミナーを開催している。直近では、2月25日に福岡県中小企業振興センターで「NEDIA Day九州ふくおか」と題するセミナーが開催された。NEDIAの鶴丸哲哉会長の挨拶にはじまり、ご来賓としては九州経済産業局 地域経済部 情報政策課長 樋上武氏が挨拶をされた。筆者もまた講演をさせていただいたが、今回は何よりも興味深い2つの講演を紹介したい。


 1つは、「ATJ福岡R&Dセンター:日本発、世界へ広がる技術革新」と題して、アムコー・テクノロジー・ジャパンR&Dセンター長の馬場伸治氏が講演された。もう1つは、「つながる半導体、広がる可能性~日本OSAT連合会が描く共創のかたち~」と題して、一般社団法人日本OSAT連合会 事務局長の林力氏が講演された。

 この両者の講演のテーマがいずれも「後工程の重要性」ということであった。半導体の前工程の生産委託はシリコンファンドリーと呼ばれて、今や半導体の事実上の世界チャンピオンとなった台湾TSMCがその代表的な企業である。さらに、インテル、サムスンなどもシリコンファンドリーを手がけており、台湾のファンドリー企業としては、TSMCに次ぐUMC、PSMCなどが世の中に知られている。

「NEDIA Day九州ふくおか」で講演された馬場氏(右)と林氏
「NEDIA Day九州ふくおか」で講演された馬場氏(右)と林氏
 後工程の生産委託については、OSATと呼ばれる受託企業がここにきて台頭してきた。技術的な背景としては、前工程の微細加工の限界があり、これを後工程で補わなければならないというのがある。もう1つの理由としては、前工程のシリコンファンドリーが次々と大型設備投資をしている現状にあった、後工程ファンドリーのOSATも積極的な設備投資に出なければならないということだ。

 「パッケージングとテスティングのサプライチェーンが今こそ重要となっている。ここを担っているのがOSAT企業なのである。私たちは、OSATカンパニーとしては台湾ASEに次ぐ2番手の存在であるが、今後は全世界に積極的な大型投資をしたいと思っている。そして、日本エリアは非常に重要と見ており、CMOSイメージセンサーを手がける世界一の企業であるソニー、そして三菱電機、富士電機、ローム、東芝デバイスなどの有力企業がひしめくパワーデバイス業界に向けてサービスをもっと拡大したいと考えている」(アムコー馬場氏)

 日本OSAT連合の林氏の語った言葉も実に印象的なものがあった。

 「日本OSAT連合会は2025年5月に設立され、正会員が28社、賛助会員が67社という陣容を備えたのだ。しかして、世界のOSAT企業の売上は7兆円を超えているわけだが、日本のOSAT企業の売上はたったの3000億円しかない。これではいけない。もっともっと会員を増やし、そしてまたモジュール、EMS、装置などの複合型に持っていかなければならない。つまりは、受託製造からすり合わせ開発・製造への道を歩んでいく必要がある。日本の社会、特に基幹産業に不可欠な半導体の後工程、製造基盤を強固にしなければならない」

 たしかに、半導体に求められる性能要求は年々、高度化・多様化している。OSATに必要なのはとりわけ、構造設計に加えて材料設計を行う方向を強化していくことだろう。そして、OSATが日本国内にある強みをもっとアピールしていかなければならない、と切に思ったのである。


泉谷 渉(いずみや わたる)略歴
神奈川県横浜市出身。中央大学法学部政治学科卒業。35年以上にわたって第一線を走ってきた国内最古参の半導体記者であり、現在は産業タイムズ社 取締役 会長。著書には『自動車世界戦争』、『日・米・中IoT最終戦争』(以上、東洋経済新報社)、『伝説 ソニーの半導体』、『日本半導体産業 激動の21年史 2000年~2021年』、『君はニッポン100年企業の底力を見たか!!』(産業タイムズ社)など27冊がある。一般社団法人日本電子デバイス産業協会 理事 副会長。全国各地を講演と取材で飛びまわる毎日が続く。
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