商業施設新聞
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第455回

(株)西武リアルティソリューションズ 商業運営部長 北澤雄一郎氏


エミオなど商業施設が好調維持
改装や“エミオ化”なども検討

2024/11/5

(株)西武リアルティソリューションズ 商業運営部長 北澤雄一郎氏
 (株)西武リアルティソリューションズ(東京都豊島区)は、西武線沿線をはじめ、都心・リゾートなど全国に保有する不動産の有効かつ戦略的な活用を担い、商業施設の開発・運営もそのひとつ。各商業施設は好調を維持し、直近では広域集客型商業施設「エミテラス所沢」をオープン、既存施設は「エミオ」「ペペ」など複数の商業施設ブランドを有し、各施設の改装や“エミオ化”など様々な施策を計画している。同社商業運営部長の北澤雄一郎氏に聞いた。

―― 各施設の状況は。
 北澤 西武鉄道沿線の駅ナカ商業施設「エミオ」19施設(グランエミオ2施設含む)、駅直結・駅周辺立地の商業施設「ペペ」5施設など複数展開するブランドに加え、「BIGBOX高田馬場」「東京ガーデンテラス紀尾井町 紀尾井テラス」や、リゾート型ショッピングモール「軽井沢・プリンスショッピングプラザ」など多彩な商業施設を展開している。いずれもお客様に支持をいただいており、現在は好調に推移している。
 エミオは、コロナ禍から回復して23年度から業績が上向き、24年度も好調を維持している。例えば「グランエミオ大泉学園」の2階ファッションフロアを2023年秋にデイリー性の高い食品、雑貨を中心としたフロアへとリニューアルした。結果、客層が広がり、大幅に客数を増やすことができた。
 ペペも売り上げは前年比をクリアしており、業績は好調だ。一時、大型店の退店が続き苦しい時期もあったが、西武飯能ペペに「ノジマ」、西武入間ペペに「無印良品500」といった大型店を誘致することでカバーし、今は空き区画もほぼなく安定した業績を維持している。

―― BIGBOX、軽井沢は。
 北澤 BIGBOX高田馬場も回復基調だ。だが、若い女性向けのアパレルを展開している1階は、店舗により好不調がある。この解決策の一つとして、9月に「イッツデモ」の区画に「3コインズ」が出店し、来店客数の増加、館内の回遊性向上を図った。既存のイッツデモはファッションと小物を編集したチャレンジングな小型店として別区画に移転している。
 軽井沢・プリンスショッピングプラザは、23年度の売上高が565億円を達成し、2年連続過去最高を更新するなど絶好調だ。ラグジュアリー系やスポーツ・アウトドア系などのブランドの質やレベルは落とさず、テナントの鮮度をキープしながらクオリティの高い店舗を揃えている。また、好調の背景にはインバウンドもあるが、それだけに頼らず、国内のお客様もしっかり獲得できているところにあると思っている。

―― エミオのリーシングのこだわり、ポイントは。
 北澤 エミオのブランドを冠しながらも、店舗数や駅の乗降客数などで規模は様々であるため、型にハマったリーシングとせず、お客様のニーズ・あって良かったと思ってもらえるものを揃えることを前提に、テナント側の要望に応えながら臨機応変に対応を行っている。グランエミオ大泉学園のリニューアルで行った雑貨店、食物販店の展開は当社のような駅立地の商業施設と相性が良いことが改めて確認できたため、今後の参考にしたい。

―― 各施設の新規開発や改装計画は。
 北澤 エミオのブランドを冠していない駅で、一定の店舗集積がある場所については“エミオ化”の検証を24年度から開始しており、すでに候補もいくつかある。投資と回収のバランスを考えながら具現化できるかを見極めたうえで、優先順位を決めて進めていきたい。
 改装では、例えば「エミオ石神井公園」は、固定のお客様がいらっしゃって、地域にしっかり根付いているが、さらに伸ばしていくために店舗の再構成にも取り組んでいく。既存のエミオは、コロナで大・小含めたリニューアル計画がストップし、現状維持で精一杯の時期が続いたが、ようやく順序立ててリニューアルに取り組めるようになった。必要なところは逐次進めていきたい。
 ペペは前述のように大型店の入れ替えを行い、売り上げもカバーできており、まずは既存施設の運営に注力する。BIGBOX高田馬場は今年50周年を迎え、今年度は店舗の再構成も含め様々な販促企画を実施中で、今後も進めていく。好調な軽井沢・プリンスショッピングプラザについても、常にお客様から支持いただける店舗構成を維持していきたい。こうした魅力的な店舗に加え、イベントの開催や環境整備などプラスアルファの取り組みを推進していく。

―― 最後にメッセージを。
 北澤 商業施設の運営事業者として、テナントの人手不足を感じている。これまで、特に駅の商業施設は営業時間が長くなる傾向にあり、今後はテナント側で柔軟な働き方ができるようにすることも考えていく必要がある。テナントやそこで働く方々に寄り添った働きかけを積極的に行い、出店いただきやすい環境も整えていきたい。



(聞き手・副編集長 若山智令)
商業施設新聞2569号(2024年10月29日)(1面)
 デベロッパーに聞く 次世代の商業・街づくり No.451

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