電子デバイス産業新聞(旧半導体産業新聞)
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第599回

自動車と電子デバイスがクロスオーバーする日本の強さ


泉谷渉は10月24日に名古屋のネプコンジャパンで熱く語るのだ!!

2024/10/11

 半導体産業の世界的な一大ブームが巻き起こっており、我が国においても多くの話題に事欠かないのである。国家戦略半導体カンパニーとも言うべきラピダスの北海道千歳における巨大工場建設、半導体生産の世界的チャンピオンである台湾TSMCの熊本第1工場(1.2兆円投資)、同第2工場(2兆円投資)などが大きく喧伝されている。

 しかして、半導体のような派手さはないものの、一般電子部品という世界もエレクトロニクスを支える重要分野なのである。半導体の24年生産額は80兆円を超えてくると予測されるが、一般電子部品もまた約40兆円に拡大してくると見られている。

 ここで強調しておきたいことは、半導体における日本企業の世界におけるマーケットシェアはたったの8%しかないことに対し、一般電子部品の生産額は世界シェア約40%を持ち、際立つ強さを誇っていることである。コンデンサー、コネクター、センサー、モーター、プリント基板などにおける日本企業の実力は世界に知られていることなのだ。

 こうした状況下で、大手展示会カンパニーであるRX Japanは名古屋のポートメッセで「第7回・名古屋ネプコンジャパン」を開催する。24年10月23~25日の会期で行われ、640社が出展するという。

[名古屋] ネプコン ジャパンが開催される「ポートメッセなごや」
[名古屋] ネプコン ジャパンが開催される「ポートメッセなごや」
 名古屋は世界最大の自動車メーカーであるトヨタ自動車の本拠地であり、近隣の浜松はホンダの発祥の地、ヤマハなどもあり“クルマ”に関するニッポンのメッカというべきエリアなのである。それだけに、名古屋ネプコンにおいては、自動車および関連する電子デバイス企業が多く集まるのは当然のことなのだ。

 今回の名古屋ネプコンでは、テスラのサイバートラックの展示もされるのであり、同時開催の「オートモーティブワールド~クルマの先端技術展」にも注目したいと思う。またEV、生成AI、パワーデバイスなどの展示会、そして講演会も多く組まれているようだ。

 さて、筆者こと泉谷渉は、この名古屋ネプコンにおいて毎年のように講演を依頼されている。名古屋および周辺の企業の方々とも交流できるだけに、この講演にはひときわ力を入れるのである。

 講演日時は10月24日12時30分~13時40分となっており、今回のテーマは「自動車産業と電子デバイス産業がクロスオーバーするニッポン」を予定している。

 自動車産業は400兆円という巨大市場であり、日本の自動車メーカー各社の設備投資は国内産業すべての設備投資の10%以上を占めている。そしてまた、自動車関連の雇用数も日本全体の労働者数のおよそ10分の1を占めるといわれており、まさに「ニッポンの動脈線」ともいえる存在なのだ。

 自動車向けの電子デバイスという分野においても、日本勢の活躍は目立っている。EV向けのSICパワー半導体については、ロームが宮崎の40万m²に巨大工場を開設し、この分野で世界トップシェアを獲得すると言明。車載用マイコンで世界トップのルネサスも、自動車に特化したデバイスのラインアップを拡大。ソニーは自動走行運転向けのCMOSイメージセンサー拡大もあり、熊本の合志に37万m²に超大型の新工場建設に着手している。

 最近の傾向としては、アドバンストパッケージ市場が急成長、この数年間で13兆円を見込むといわれている。また、パッケージ基板については、国内勢が強気の設備投資を実行中だ。注目されるのは、世界No.1のパッケージ企業ASEが北九州に16万m²の用地を取得、最大規模の新工場建設を計画していることだ。

 今回講演では、主要な国内一般電子部品メーカーの設備投資動向、先端電子部品の主な素材・装置の動向、ガラス基板・プロセスに取り組む各社の動向なども報告したいと考えている。

 世界最強のニッポンの自動車産業、そして世界トップシェアのニッポンの電子部品のクロスオーバーについて、熱く語りたいと考えている。多くの方々のご来臨を賜れば幸いであり、交流の機会も得たいと思っている次第である。


泉谷 渉(いずみや わたる)略歴
神奈川県横浜市出身。中央大学法学部政治学科卒業。35年以上にわたって第一線を走ってきた国内最古参の半導体記者であり、現在は産業タイムズ社 取締役 会長。著書には『自動車世界戦争』、『日・米・中IoT最終戦争』(以上、東洋経済新報社)、『伝説 ソニーの半導体』、『日本半導体産業 激動の21年史 2000年~2021年』、『君はニッポン100年企業の底力を見たか!!』(産業タイムズ社)など27冊がある。一般社団法人日本電子デバイス産業協会 理事 副会長。全国各地を講演と取材で飛びまわる毎日が続く。
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