商業施設新聞
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第449回

(株)ハイデイ日高 代表取締役社長 青野敬成氏


事業好調で中計を1年で達成
500店体制目前、新業態の構想も

2024/9/24

(株)ハイデイ日高 代表取締役社長 青野敬成氏
 「熱烈中華食堂日高屋」などを展開する(株)ハイデイ日高(さいたま市大宮区)の事業が好調だ。2023年4月に公表した3カ年の中期経営計画を1年で達成したほどで、同社代表取締役社長の青野敬成氏は、好調には『7つの要因』があると分析する。今後、都内では50店以上の出店余地があるとみており、新業態を構想し、500店体制も見えてきた。青野氏に事業好調の背景や今後の展開などを聞いた。

―― 24年2月期から業績が回復し、25年2月期も事業好調が続いています。
 青野 次の7つの要因があると分析している。1つは価格改定、2つ目がコロナ禍後の営業時間の延長。コロナ禍では標準営業時間と比べ約マイナス3万5000時間だったが、今は同約マイナス2万時間まで減少幅が戻った。3つ目がDXの強化で、タッチパネル式オーダーシステムの拡充により、女性のお客様も追加注文しやすくなった。
 4つ目は22年に私が社長に就任してから広報を新設し、SNSによる情報発信やプレスリリース発信など、ブランディングを強化している。5つ目は店舗の禁煙化、あるいは喫煙ルームの設置により、家族連れ、女性客などの新しい客層が増えたこと。6つ目はテイクアウト商品の充実で、コロナ禍前のテイクアウト比率は1%未満だったが、今は5%弱に達している。7つ目として、24年からの当社商品の値上げ率(約3%)および同金額(10~20円)が他の外食企業の値上げ幅と比べて小さく、お客様にとってお得感があること。
 これらの要因が組み合わさって、売上高480億円、営業利益率7.5%を掲げた3カ年の中期経営計画を1年で達成できた。この計画をローリングし、29年2月期までに売上高600億円、営業利益率10%などを目指すものにした。

―― 懸念されることは。
「日高屋 大宮すずらん通店」の外観
「日高屋 大宮すずらん通店」の外観
 青野 人手不足が心配の種である。私は当社に30年以上勤務し、その間人手が充足していると感じたことはないが、今は一番深刻に感じている。長く円安が続いたことで、外国人労働者が日本で働きにくくなったことも一因とみている。特に深夜に働いてくれる従業員が減っている。かつては外国人労働者比率が40%弱あったが、今は30%台前半に下がっている。今夏からは円高基調に転じているため、外国人労働者の比率を上げてグローバル企業として、人手不足を解消していきたい。配膳ロボットもロードサイド店に積極的に導入していきたい。

―― 日高屋の強みである“ちょい飲み”を、どのように事業に生かしていくか。
 青野 日高屋のアルコール飲料の売上比率は10~15%と高く、このファン層の期待に応えるため、当社が得意とするちょい飲みを強化していく。23年12月にはドリンクメニューとして約5年ぶりとなるドラゴンハイボールを投入。また、24年4月には、ハイボールのウイスキーを陸に変更したことを、ちょい飲みの聖地と言われる東京の新橋でメディアに発表した。7月からは生ビール祭も実施し、販売促進を図っている。

―― 出店計画について。
 青野 25年2月期は15店の新規出店を計画し、これにより同期末に470店体制を見込む。その後26年2月期末は485店、29年2月期末には550店を目指している。東京都内の店舗数は200店以上で最多だが、都内にはまだ50店の出店余地があると考える。例えば東京駅や有楽町駅、品川駅前などの主要駅前には当社の店がまだないので、良い物件があれば出店したい。また、中華料理や居酒屋業態とは異なり、女性客から好まれるような新業態も考案したい。すでにメニュー開発は進んでいる。この新業態とは別に、当社が得意とするちょい飲み要素を取り入れた業態との両面から開発していきたい。

―― 東京周辺に加えて、北関東へ出店を増やす。
 青野 7月に栃木県宇都宮市へ出店したところ、日高屋が始まって以来の旺盛な来客状況がみられた。東京から栃木県へ移住、あるいは生活拠点を宇都宮市などへ戻した人たちが、日高屋の味を思い出し、懐かしんで多く集まってきてくれている。そのため11月には同市2店目の出店を駅前で計画している。地方にも日高屋の大きな需要があることが改めてわかった。
 このほかに北関東では、茨城県にすでに7店ある。群馬県は1店(高崎市)だが、前橋市や伊勢崎市などでも良い物件があれば出店していきたい。また千葉県でも、東京都心から離れた木更津市などで出店を強化する。その後は、福島県、長野県、静岡県にも店舗網を拡大したいと考えている。個人的には、大阪で挑戦したい想いもある。

―― 海外展開について。
 青野 アジア展開を検討したい。5月にベトナム市場を視察した。ホーチミンは夜遅くまで活気があり、日高屋の市場として適していると感じた。当社にはベトナム人の従業員が多いため、同国へ恩返ししたい。



(聞き手・笹倉聖一記者)
商業施設新聞2563号(2024年9月17日)(8面)
 経営者の目線 外食インタビュー

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