商業施設新聞
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No.962

惣菜新ブランドでヨーカ堂が勝負


若山智令

2024/7/2

 (株)イトーヨーカ堂(東京都品川区)が、惣菜の新ブランド「ヨーク・デリ」を立ち上げ、イトーヨーカドーやヨークの店舗で展開をスタートした。これまで複数あったブランドをヨーク・デリに一本化し、“イトーヨーカ堂の惣菜と言えばヨーク・デリ”といったように、認知度の拡大を狙う。惣菜はスーパーマーケット各社がしのぎを削る競争が激しい分野であるが、新セントラルキッチン「Peace Deli」を整備するなど準備は整った。「食」に注力するイトーヨーカ堂が満を持して開発したヨーク・デリは、成長の起爆剤となるのか注目だ。

 ブランドのコンセプトは『「毎日食べたい」美味しさ。』ブランドロゴの中央には、イトーヨーカ堂の象徴である白のハトを配置するなど、同社の強い決意が見て取れる。容器や販促物なども一新し、統一性のある売り場で買い物がしやすい環境を整えた。ロゴ・容器・販促物のプロデュースは、セブン&アイグループのプライベートブランドのブランディングなどを手がける佐藤可士和氏が行った。

売り場の様子
売り場の様子
 売り場はアイランド什器(島什器)を採用しており、これにより視認性が広がっている。商品においては、弁当の米や寿司の酢などの素材から味付けまで徹底的にこだわった。例えば、弁当の米は、セブン-イレブンのおにぎりと同じ、「八代目儀兵衛」が監修し、精米・ブレンド・炊飯にこだわり、甘みと粒感を追求した。また、店内調理にもこだわり、ふんわりした、やわらかい食感が楽しめる自家製だし巻きたまごはイトーヨーカドー・ヨークの約100店で販売する予定だという。このだし巻たまごは専用機械を使って作り、6月以降に順次各店舗へ導入する。通常の鉄板では1本3分かかっていたが、専用機では2本を2分30秒で作ることができ、時間短縮・効率化に大きく寄与する。地域メニューも導入予定で、各地域で慣れ親しんだ地元の味も提供するという。

 ヨーク・デリは、店内調理と工場から供給されるアウトパック(デリカセンターなど店舗以外の場所で製造、袋詰めなどをされて納品)によって現在250品目の商品数を、300品目まで拡大していく方針。イトーヨーカ堂では、26年2月期に惣菜の売上構成比を現状の2%増となる15%まで引き上げる目標を掲げており、これを達成するためにヨーク・デリにかかる期待は大きい。差別化が図りやすいようで難しいとされる惣菜で、イトーヨーカ堂は競争に勝ち抜く勝負に出た。
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