商業施設新聞
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第434回

新潟交通(株) 万代シテイ ビルボードプレイス 館長 秋山哲思氏


万代シテイ ビルボードプレイス、コロナ経て目的の創出に注力
30周年控え共用部の改善も検討

2024/6/11

新潟交通(株) 万代シテイ ビルボードプレイス 館長 秋山哲思氏
 新潟県でバス事業や観光事業などを行う新潟交通(株)(新潟市中央区)は、新潟・万代シテイで商業施設「ビルボードプレイス」を運営する。同施設はファッションを中心とする本館に加えカルチャー系の機能も入る別館で構成し、中心市街地で核となる商業施設の一つ。入館者数はコロナ禍前の2019年度の水準には戻っていないが、イベントの開催など目的性の創出に注力している。ビルボードプレイス館長の秋山哲思氏に聞いた。

―― 施設の概要から伺います。
 秋山 本館(ビルボードプレイス)は1996年10月にファッションやトレンドを発信することを目的に開業し、計63店が出店した。「ユナイテッドアローズ」「トゥモローランド」「ディズニーストア」など、当時は新潟県に店舗がなかったブランドにも出店いただいた。
 その後、「新潟ジョイポリス」の跡地に別館として「BP2」がオープンした。映画館「T・ジョイ新潟万代」や「新潟市マンガ・アニメ情報館」など、カルチャー色が強いのが本館との違いだ。やはり映画館には目的を持って来ていただく方が多く、特に当館は新潟駅から徒歩圏内であることから、車を使わない若年層が多く見受けられる。

―― 客層や商圏は。
 秋山 メーンターゲットは感度の高い20~40代の女性だが、実際はフロアごとに様々な方にご利用いただいている。例えばサービス施設が集積する本館3階には若年層から年配層までいらっしゃる。同4階の「ヴィレッジヴァンガード」には若者が、「ステップスポーツ」には中高生とその家族での来店も多い。
 クレジットカードの情報ベースでお客様の居住地を見ると、約6割が新潟市、約3割が新潟県内となっている。そのほかは山形県の庄内地方、福島県の会津地方など、高速道路1本で来られる地域の方だ。ただ、遠方客の入館数はコロナ禍前よりは少ない。

―― コロナ禍前と比べ、足元の状況はいかがですか。
 秋山 ここ1年ほどでは、土曜日の入館数はコロナ前と同等だが日曜日は戻り切っていない。コロナの5類移行で旅行、イベント、行楽など消費行動が分散しているからだが、それは反動でもあるので致し方ない。
 ほかの都市との違いとして、新潟市はインバウンド需要がほとんどない。他都市と比べても観光資源が乏しく、また市としてインバウンドの受け入れ対策が十分でないことが理由だ。そうなると地元の方への消費を喚起する必要があるが、ライフスタイルが多様化している現代で、さらに地方都市ではそれだけではターゲットの分母が少ない。

―― その状況を打開するためには。
 秋山 お客様の来館目的をいかにして作るかというところに注力している。例えば、BP2では空き区画を活用したアニメ系コンテンツのイベントを実施してきた。1階のマンガ・アニメ情報館がアニメ好きやクリエイターなどに認知され遠方からの来館も増えているため、その相乗効果を狙っている。コロナ禍を経てテナントに還元できる催事をしようという意識に変わってきており、ターゲットを絞って他店舗とも連携できる催事コンテンツを増やしている。

―― 現在空いている区画のリーシングは。
 秋山 お客様の通行量の多い本館1階と同2階の区画については最優先でリーシングを行っている。周辺店舗との親和性も考慮しながら、新潟初出店など話題を呼びそうなテナントを様々な業種から探している。その他の空床については、リーシングと並行して目的性や館の新鮮さを創出する場として、短・中期的に催事を行いたいと考えている。

―― ほかにリニューアルなどの計画はありますか。
 秋山 2年後に30周年を迎えるが、今リーシングを進めているところはそのタイミングに合わないだろう。その代わり、共用部で変化を出したいと思っている。28年前にできた建物なので、自動ドアが導入されていないほかバリアフリー対応もできていない。デジタルサイネージといった新しい設備も取り入れられていない。時代に合ったお客様のニーズに応えられるよう、計画的にできるところから着手していきたい。

―― 万代シテイ一帯について。
 秋山 万代シテイ バスセンターを中心に連絡通路で接続されているビルボードプレイス、ラブラ万代、新潟伊勢丹の3館で「1モール」と捉えている。実際、ラブラや伊勢丹の担当者とは常日頃からやり取りさせていただいている。それぞれの館が、他の館にない所を補っているという意識がある。
 新潟駅に新しい駅ビルができたが、脅威は一時的だと思う。我々が来ていただける目的を作りさえすればライバル視しなくてもよい。駅だけでなく万代エリアにも足を運んでいただけるよう、万代シテイ街区全体で連携できればと思っている。

(聞き手・安田遥香記者)
商業施設新聞2547(2024年5月28日)(2面)

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