商業施設新聞
新聞情報紙のご案内・ご購読 書籍のご案内・ご購入 セミナー/イベントのご案内 広告のご案内
第433回

九州産交ランドマーク(株) 代表取締役社長 渡邉晋司氏


サクラマチ クマモト、目指すはオンリーワン施設
MD、屋上ガーデンなど独自性

2024/6/4

九州産交ランドマーク(株) 代表取締役社長 渡邉晋司氏
 熊本市の中心市街地にある商業施設「サクラマチ クマモト」が2024年9月、開業5周年を迎える。バスターミナル、ホテル、大型ホールなどを併設する商業施設で、セレクト型MDや屋上ガーデンによる集客など、ここならではの施設運営を行う。目指すのは百貨店でも郊外型でもないオンリーワンの施設だ。商業施設を運営する九州産交ランドマーク(株)代表取締役社長の渡邉晋司氏に話を聞いた。

―― 事業の経緯は。
 渡邉 もともとここはバスセンター、ホテル、百貨店、ボウリング場などがあり、昔ながらのターミナル施設だった。これを市街地再開発事業として建て替え、バスターミナル、ホテル、マンション、大型ホール、商業施設のサクラマチ クマモトなどで構成する総延べ約16万m²の複合施設とした。開発当時、熊本では100年に一度の再開発とも言われた。

―― ショッピングセンターの概要について。
 渡邉 約150店、売り場面積約2万8000m²の規模で、中心となるターゲットは30~40代の女性。ただターミナル立地でもあり、周辺にはオフィスも多いためワーカー、ファミリー、通勤通学、高齢の方など、フルターゲットの施設としている。

サクラマチクマモト
サクラマチクマモト
―― 業種が幅広い。
 渡邉 地下1階はバスターミナルのアクセスルートでもあるので、食品スーパーの「フードウェイ」や食物販、フードコートなど日常使いしやすい飲食店を導入した。地上1階にはカフェを併設した「RHC ロンハーマン」「MAISON KAYSER」など上質なファッションや食物販を設けた。施設には熊本城ホールが併設し、施設の目の前には、花畑広場という広大なオープンスペースがあるなど、周辺には様々な機能がある。これらを行き来する際、カフェ併設のRHC ロンハーマンやMAISON KAYSERは過ごす場所にもなる。  2階はバスターミナルや熊本城ホールなどにつながり、ファッション、アウトドア、雑貨、カフェなど設けている。3階には「叙々苑」など上質な飲食、上層の4階にはシネコン、フィットネスクラブがある。

―― 熊本は競合となる施設も多いです。
 渡邉 百貨店や、郊外のモールとも異なるような施設にしている。もし百貨店を目指しても徒歩圏内にある鶴屋百貨店さんは我々よりはるかに店舗面積は大きいし、歴史もある。郊外のモールと同じテナント構成なら駐車場が充実する郊外に流れてしまう。我々は百貨店、RSCなどカテゴライズに捉われず、中心市街地の核として上質なものもあり、一方で100円ショップもあるような時代に合わせたセレクト型MDを意識している。百貨店、郊外モール、駅ビルもある中、我々のアプローチはやはりオンリーワンを揃えること。街中ではここだけ、県内ではここだけという店と、良い接客などが加わると館のファンになっていただける。目指しているのはそういう施設。

―― 屋上ガーデンはここならではの特徴です。
 渡邉 サクラマチガーデンとして、中心市街地ながら大型の屋上ガーデンがある。草木が生い茂り、数種類の桜、緑の丘、ウォーターパークとして子供たちが遊べる浅い池、カフェ&バー、BBQやパブリックビューイングができるエリアもある。熊本城も望め、ここを目的に来館していただく人も多く、サクラマチ クマモトを形づくる大きなファクターになっている。イベントもグランピング、街コン、星空観賞会など思いつくことはどんどんトライしている。熊本城ホールの出入り口があるため、イベント開催時もかなり賑わっている。

―― 独自の取り組みが多いです。
 渡邉 サクラマチ クマモトを地方都市で売り上げをつくるためのテストプレイスとしてテナントに使っていただきたい。館内にはナショナルブランドのファッションもまだ足りないと思っているし、化粧品など日常消耗品で熊本未上陸のものは多い。当館に出店しているブランドのうち、『市内にいくつか出店しているが、売り上げ・坪効率はサクラマチ クマモトが一番』という店もある。こうした実績を積み上げていければ店舗誘致にもつなげられる。

―― 今後の方針など。
 渡邉 23年度の売り上げは前年度比で2桁伸長したが、物流の24年問題や、熊本は半導体工場の進出による労働力不足が懸念される。新しいことを始めないといけない時代になった。最近では我々が熊本城ホールを借りてK―POPフェス「D’FESTA」を誘致するなど不動産賃貸業以外の取り組みもしている。商業施設には広くてモノが充実しているなどそれぞれにキャラクターがあると思っていて、我々はまだまだキャラクターづくりをしている最中。ナショナルブランドでも『サクラマチで買う、食べると何かいいよね』と思ってもらえるような施設をつくっていきたい。

(聞き手・編集長 高橋直也)
商業施設新聞2546号(2024年5月21日)(1面)
 デベロッパーに聞く 次世代の商業・街づくり No.434

サイト内検索