電子デバイス産業新聞(旧半導体産業新聞)
新聞情報紙のご案内・ご購読 書籍のご案内・ご購入 セミナー/イベントのご案内 広告のご案内
第554回

2023年の世界新車販売台数は2桁の高成長


日系OEM7社の23年度販売台数は前年度比7%増

2024/5/31

 国際自動車工業会(OICA)が発表した2023年のグローバル新車販売台数は、前年の8287.1万台から985.4万台増(前年比12%増)の9272.5万台と大きく伸長した。車種別では乗用車が同11%増の6527.2万台、商用車が同13%増の2745.2万台。

 地域別では、中国が同12%増の3009.4万台となり、前年に引き続き世界最大の自動車マーケットの座を堅持した。車種別の内訳は、乗用車が同11%増の2606.3万台、商用車が同22%増の403.1万台、このうちNEV(新エネルギー車)が、同38%増の949.5万台と高成長を果たし、市場を牽引した(中国自動車工業会:CAAM発表)。

 また、米国における新車販売台数は、同12%増の1561.7万台となり、中国市場と同様、2桁成長を果たした。インセンティブの増加や在庫の回復に伴う価格下落などが、消費者の購買意欲を後押ししたもようだ。



 一方、日本における新車販売台数も同14%増の420.1万台と大きく伸長した。このうち登録車が同18%増の256.3万台、軽自動車が同7%増の163.8万台。登録車+軽自動車合計でのブランド別シェアは、トヨタ自動車が104.1万台で46.8%のトップシェアを堅持、以下、ホンダが26.9万台で12.1%、日産自動車が23.7万台で10.7%と続いている(日本自動車販売協会連合会、全国軽自動車協会連合会の発表値)。



国内主要OEMの販売動向

【トヨタ自動車】
 23年度の連結販売台数は前年度比7%増の944.3万台。トヨタ・レクサスの販売台数は同7%増の1030.9万台で、ダイハツ工業、豊田自動織機の出荷停止の影響があった日本を除き販売台数が増加した。電動車は同35%増の385.5万台で、このうちHEVが32%増の359.4万台、PHEVが同60%増の14.1万台、BEVが同208%増の14.1万台、FCEVが同33%増の4000台となった。23年度の電動車の販売台数は前年度から約100万台増加し、そのうち90万台がHEVの増加によるものとなった。

23年に国内で19.4万台を販売した「ヤリス」
23年に国内で19.4万台を販売した「ヤリス」
 この好調の背景としては、ほぼすべての車種にHEVをラインアップしていることが挙げられる。なお、24年度の連結販売台数は北米やアジアでプラス成長を見込むものの、日本ならびに欧州でマイナス成長となり、グローバルでは同0.6%増の950万台と横ばいを計画している。

【ホンダ】
 23年度の四輪車のグローバル販売台数は、主に北米における大幅な増加を受け、前年度比11%増の410.9万台となった。地域別では、アジアが同5%減の165.1万台とマイナス成長になったものの、日本が同8%増の59.5万台、北米が同36%増の162.8万台、欧州が同23%増の10.3万台、その他が同16%増の13.22万台と軒並み前年を上回り、グローバル販売としては2桁成長を果たした。

23年度の国内新車販売台数トップとなった「N-BOX」
23年度の国内新車販売台数
トップとなった「N-BOX」
 なお、24年度のグローバル販売としては、アジア、欧州でマイナス成長となるものの、日本、北米、その他地域での増加を反映し、前年度比0.3%増の412万台を計画。活況を呈しているHEVについては、23年度に約80万台を販売しており、24年度は100万台、30年には170万~180万台の販売を見込む。

【日産自動車】
 23年度のグローバル販売台数は、前年度比4%増の344.2万台。中国を除くグローバル販売台数は、国内、北米、欧州の各地域で好調に推移し、前年から17%伸長した。

 日本では好調なサクラやデイズが販売を牽引し、販売台数は同7%増の48.4万台となり、電動化比率は52%(前年度から4ポイント増)となった。北米の販売台数は同23%増の126.22万台。このうち米国はローグやセントラなどの需要が旺盛で同20%増の91.6万台、メキシコは16年連続でマーケットリーダーとなり、カナダでの販売も同34%増と高成長を果たした。また、欧州の販売台数は、同17%増の36.1万台で、電動化比率は前年の23%から約倍増の47%とした。なお、厳しい市場環境が続いている中国は、同16.1%減の79.4万台にとどまった。

 一方、24年度の販売台数見通しは、新車が販売を牽引することで前年度比8%増の370万台を計画している。

【スズキ】
 23年度の四輪車販売台数は、インドに加え、欧州、日本などがプラス成長で推移したことから、前年度比6%増の316.8万台となった。同社の販売におけるHEVとCNG車(圧縮天然ガス自動車)の比率は43%。インドではHEVの販売が減少したが、CNG車が増加。将来的なバイオガスの活用も含め、カーボンニュートラルの実現に向けて全方位戦略で取り組んでいく考え。なお、24年度のグローバル販売台数は、欧州市場での大幅な減少を見込んでおり、同3%増の325.4万台にとどまる見通し。

 スズキの主力マーケットであるインドでの乗用車シェアは、通期実績の41.6%に対し、SUVのシェアは20.8%。SUVでもトップレベルのシェアを確保しているが、成長が著しいインドで生産能力が十分追いついていないことが足かせとなっている。23年度末に印マネサールで年産10万台の能力増強を行い、25年3月にはカルコダ新工場が稼働する。同社では順次、生産能力を高めつつ、人材育成にも取り組みながら顧客ニーズに応えられる品質の車を供給していくとしている。

【マツダ】
 23年度におけるグローバルの販売台数は、前年度比12%増の124.1万台となった。米国では、前期に導入したCX-90に加え、CX-50・CX-30の販売が好調に推移し、通期として過去最高となった。また、メキシコも過去最高を記録した。中国は、MAZDA3・CX-5の価格や装備の見直しによる販売強化が奏功し、下期には前年同期比46%増と大きく増加した。

 一方、24年度は、トップラインの成長に向けた取り組みに注力していく。具体的には、SUVのハイブリッドモデルの強化、PHEVのラージ商品にCX-70とCX-80を加え、アラバマ工場とメキシコ工場からの供給増による北米の拡販サポートを進める。

 これらの結果、グローバル販売台数は前年度比13%増の140万台を計画。北米を中心に、ラージ商品とHEVモデルの導入に加え、販売ネットワークの改善も進め販売を拡充。日本とその他地域についてもラージ商品の拡販に注力する。中国と欧州では、電動化に対応しながら、前年並みの販売を維持していく。

【三菱自動車】
 23年度の世界販売台数は、アウトランダーシリーズが全体の販売を増加させた北米や、デリカミニが好調に推移した日本を除く地域で販売が減少したことを受け、前年度比2%減の81.5万台となった。特にASEANのタイやインドネシアなどの総需要の落ち込みが激しく、その影響を強く受けたもよう。豪州・NZは、港湾の混雑による内陸輸送の停滞、中南米、中東・アフリカなどの地域は、車両供給回復に伴う競争激化や、モデル切り替えのタイミングなどにより販売が前年を下回った。中国については、23年度に構造改革を実施した結果、販売は前年度から半減した。

 24年度は、ASEANの一部地域やオセアニアなどを中心に、厳しいマクロ環境が予想されるが、トライトンやエクスフォースなどの新型車を各国へ展開することで、グローバル販売台数は、前年度から8万台増の89.5万台を計画している。

【SUBARU】
 23年度は、年度前半まで半導体供給不足や物流の制約が続いたが、影響が最小限になるように努めるとともに、下期入り生産が正常化したことから、販売台数は15%増の97.6万台となった。なお、米国市場の小売販売は、自動車ブランドのうち唯一21カ月連続(24年3月時点)で前年超えを継続している。一方、24年度の販売台数は北米における小売販売は底堅いものの、足元の在庫やその他の海外市場の市況を踏まえて、前年度に対して4000台増の98万台を見込む。

 なお、同社では今秋から北本工場(埼玉県北本市)で、次世代e-BOXER(ハイブリッド・パワートレイン)のトランスアクスルの生産をスタートする。「これまで開発を続けてきた次世代 e-BOXERがいよいよ北米で投入となる。当初はBEVへの要望が非常に強かったが、足元では次世代e-BOXERに対する要望の方が強くなってきており、リテーラーに対する内示においても、当社の予想をはるかに超える評判の高さだ。当面は次世代e-BOXERも含めて上手く販売構成を構築していけるだろう」と代表取締役社長の大崎篤氏は語った。


電子デバイス産業新聞 編集部 記者 清水聡

サイト内検索