商業施設新聞
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第423回

(株)あさくま 代表取締役社長 廣田陽一氏


中部中心にステーキ店など拡大
小型店や低価格業態開発も

2024/3/19

(株)あさくま 代表取締役社長 廣田陽一氏
 (株)あさくま(名古屋市天白区)は、中部エリアを中心に「ステーキのあさくま」などの飲食店を展開している。コロナ禍では出店を控えていたが、2023年11月に「関店」(岐阜県関市)、24年2月には「春日井店」(愛知県春日井市)を開業して出店を再開。今後は小型店や低価格のカジュアル業態の開発も検討するなど、新たな取り組みを始める。同社代表取締役社長の廣田陽一氏に聞いた。

―― 直近の業績から。
 廣田 決算月を変更したため単純な比較はできないが、23年3月期は売上高62億200万円、営業利益7100万円、24年1月期は上期終了時点で売上高35億1200万円、営業利益1億2100万円と、利益を出せる体制を作りつつ、売上高の拡大も続いている状況だ。客数も一時の落ち込みからは回復し、現在はコロナ前の水準を超える店舗も増えてきている。

―― 現在の店舗数は。
 廣田 ステーキのあさくまが67店(直営63店、FC4店)で、子会社の(株)あさくまサクセッションが運営する居酒屋業態の「もつ焼きエビス参」を7店、インドネシア料理店の「スラバヤ」を2店有している。
 ステーキのあさくまは愛知県、岐阜県、三重県の中部エリアをメーンとし、スタートの地である愛知県を中心に店舗を展開している。全店の半分は中部エリアに位置し、このほか、静岡県や関東にも店舗がある。

―― ステーキのあさくまについて。
 廣田 当社の主力業態で、郊外ロードサイド型のレストランだ。ステーキやハンバーグ+サラダバーを特徴とし、ファミリー層を中心に多世代にわたってご来店いただいている。メニューは「あさくまハンバーグ」(1815円)、「ビフテキのサーロイン」(2882円、価格は税込み)など。建物も雰囲気のある外観・内装とし、落ち着いた空間で贅沢なお食事を楽しんでもらっている。特に〝非日常・ハレの日〟を意識した店づくりに取り組んでおり、子どもからご年配の方まで幅広いお客様に支持されている。
 商品は、例えばステーキは質の良い肉を厚切りで提供することにこだわっている。サラダバーは私が社長に就任してから大幅なリニューアルを行った。脇役ではなく、メーンとなるほど充実したものを揃えており、サラダバーに最大45品+温かい商品5品を並べ、お客様に満足してもらえるようバージョンアップさせた。さらに、ソフトクリームや綿菓子、クレープ、ポップコーンなどお客様が自分で作れる体験型のデザートコーナーをサラダバーに設置。体験コーナーを設置することで、家族みんなに楽しんでもらいたい。

―― 直近の出店は。
 廣田 23年11月に3期ぶりの新店で関店、続いて24年2月には春日井店をオープンし、出店を再開した。関店は建物150坪、席数128席、春日井店は建物96坪、席数108席で、両店ともあさくまの標準サイズの店舗だ。

―― 新ブランドや新業態の構想は。
2月にオープンした「ステーキのあさくま春日井店」
2月にオープンした
「ステーキのあさくま春日井店」
 廣田 現在のあさくまをもっとお客様にお届けしたいということを前提とするが、一方で今後はロードサイド型店舗の物件情報も限られてくると思うので、既存店よりも小箱な小型店の開発・出店にチャレンジしたい。小型店であれば郊外だけでなく、出店立地も広がるだろう。また、もっと身近にあさくまを楽しんでもらえるよう、低価格業態の開発・出店にも取り組んでみたい。既存のあさくまとは異なる、新しいブランドで展開したいと思う。

―― 出店戦略は。
 廣田 未出店エリアへの進出も考えているが、既存エリアのドミナント展開を優先度高く取り組んでいきたい。実は今回オープンした岐阜県関市、愛知県春日井市は過去に店舗があり、ファンが多くいる場所だった。あさくまに帰ってきてほしいという声も多数いただき、その声に応える形で再出店した。こうしたエリアは中部エリアにまだあるので、まずは中部エリアで再出店を含めてドミナントを進め、関西、関東でも店舗を増やしていきたい。

―― 人手不足について。
 廣田 これは日本全体の社会問題であり、当社としても課題の1つ。当社では一部店舗でタブレットを用いたオーダーシステムを実験的に導入し、省人化に向けたテストを始めた。それとは別に人材確保のため、23年10月にベトナム人のインターン生10人を受け入れる取り組みも行った。約2週間の研修を経て店舗に配属し、ほぼ全員が即戦力で活躍している。今後も国内人材の確保と並行して海外人材も受け入れ、トレーニングして活躍できる環境を整えたい。次回は24年夏前に、20人の特定技能外国人材を受け入れる予定だ。

―― 今後の目標は。
 廣田 売上高はコロナ前に100億円近い時期もあったため、まずはこの売上高100億円を目指し、出店も進めたい。具体的な出店数の目標は設けていないが、直近の関店、春日井店のオープンを契機に、積極出店のフェーズに入る。そのために人材の準備や教育にも時間を割き、注力して取り組んでいきたい。

(聞き手・副編集長 若山智令)
商業施設新聞2537号(2024年3月12日)(8面)
経営者の目線 外食インタビュー

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