商業施設新聞
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第422回

(株)東栄商会 キャラクタービジネス開発部 部長 濱崎仁美氏


ムーミンの公式ショップを展開
大都市圏中心に店舗拡大目指す

2024/3/12

(株)東栄商会 キャラクタービジネス開発部 部長 濱崎仁美氏
 百貨店・松屋グループの(株)東栄商会(東京都中央区)は、北欧発の人気キャラクター「ムーミン」の公式ショップ「MOOMIN SHOP」(ムーミンショップ)を展開している。2022年に1号店を「銀座インズ」にオープンし、24年3月8日に「タカシマヤ ゲートタワーモール」に4号店、4月には「二子玉川ライズ」に5号店が開店する。同社キャラクタービジネス開発部部長の濱崎仁美氏に、事業内容や今後の展開について聞いた。

―― ムーミンショップの展開を始めた経緯は。
相鉄ジョイナスに出店する「MOOMIN SHOP YOKOHAMA」(C)Moomin Characters(TM)
相鉄ジョイナスに出店する
「MOOMIN SHOP YOKOHAMA」
(C)Moomin Characters(TM)
 濱崎  百貨店の松屋は1960年代から北欧デザインに関心を寄せていた。2014年に松屋で「MOOMIN!ムーミン展」や20年の「ムーミン コミックス展」を開催するなど「ムーミン」とも深く関わってきた。そして、松屋グループである当社は22年10月に、日本におけるムーミンのライセンスを管理する(株)ライツ・アンド・ブランズと公式ショップの運営と商品化の契約を結んだ。
 当社が運営するショップは、ムーミンキャラクターズ社が掲げるコンセプト「On-Moomin」に基づき「北欧のブランド、ムーミン」を表現したショップという位置づけ。店舗ではムーミンのアート性や文学性、北欧文化を表現することを大切にしており、本国の文化を体現するものの1つとして、輸入品の販売を強化している。

―― その後の展開は。
 濱崎  23年9月には「ルクア大阪」に大阪店を、同年12月には「相鉄ジョイナス」に横浜店をオープンした。横浜店は銀座店(27坪)、大阪店(24坪)よりも広い42坪で展開している。横浜の初月は目標を上回る売り上げを獲得でき、1月も順調に推移している。今後は3月8日に「タカシマヤ ゲートタワーモール」で、4月には「二子玉川ライズ」でのオープンが控えている。
 まずはできるだけ多くの方の目に触れるトラフィックの多い立地への出店にこだわり、大都市圏を中心に全国的な展開を進めている。というのも、大阪や名古屋は、ファンの方から「関東に行かないとムーミングッズが買えない」といった声があった。今後も立地の良い都市圏へ積極的に出店を検討している。

―― 店舗ごとに客層の違いはありますか。
 濱崎 全体としてはお客様の7割が女性で、年齢層は30~60代がボリュームゾーンだが、立地や館の特性により多少異なる。大阪や横浜は10~20代の若いお客様が多く、銀座だと少し年齢層が上がる。また、銀座では約20%はインバウンドのお客様だ。欧米からアジアまで各地域の方がまんべんなくいらっしゃり、ムーミンの認知度の高さを実感する。

―― ムーミンのファンの方が多いのでしょうか。
 濱崎 ファンの方ばかりにお越しいただいているという印象は受けない。確かにムーミンは昭和、平成、令和の3回にわたってテレビアニメ化されたこともあり、認知度は非常に高い。アニメを見ていた層が親になったことでアニメを見ていない若い方にも知られるようになっており、年齢を問わず幅広く愛されているキャラクターだと感じる。どの店舗もアクセスの良い場所に立地しており、特に横浜店は生活動線上の立地で通行量も多いことから、ふらっと立ち寄られる方も相当数いらっしゃる。

―― 輸入品を強化しているとのことですが、オリジナル商品については。
 濱崎 輸入品の展開は当社の強みである一方で、お客様ニーズをくみ取ったオリジナル商品の開発については、優先課題と考える。ものづくりにこだわり、お客様の生活を豊かにする、付加価値のある独自商品を作ることが松屋グループである当社がムーミンショップをやる意義だ。今後は商品開発に注力していきたい。

―― 店舗展開に関する見通しなどは。
 濱崎 引き続き人が多く集まる主要都市への出店を優先しながら、まだ店舗のない九州エリアや、北海道のような北欧との親和性の高いエリアにも進出したい。また、カフェの併設なども来店の動機付けになり、利用者にとっても魅力的に映る。例えばカフェの運営会社と隣り合って出店するなど、ムーミンビジネスに関わる他社とともに成長できるような取り組みにも挑戦してみたい。
(聞き手・安田遥香記者)
商業施設新聞2536号(2024年3月5日)(5面)
ズームアップ!注目企業インタビュー

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