熊本県は、まさに半導体狂想曲とも言うべき状況になっている。世界最大のシリコンファンドリー企業の台湾TSMCの第1工場が2月24日に竣工式の運びであり、ただちに第2工場も建設アナウンスされるなど凄まじい展開なのだ。さらにソニーが西合志に27万m²の巨大な用地を獲得し、これまた新工場を立ち上げると言うのだからただごとではない。
ソニーも熊本県合志市に新工場建設を進める(24年1月撮影)
先ごろ、熊本回りをしたがタクシーの運転手までが、半導体のおかげで売り上げが2倍増、3倍増などと喚いていたのだ。下通りの飲食街も超活況であり、あのコロナを吹き飛ばす勢いなのである。
さて、こうした状況下で2月28日、29日に「熊本県半導体企業&産業復興エキスポ」視察ツアーが開催されることになった。
主催は全国の経営者の多数を会員に持つ日本経営開発協会および関西経営管理協会である。このイベントに筆者は業界最古参記者というふれ込みで、ツアーコンダクターとして参加させていただくのである。
熊本県は県別GDPでは6兆円くらいであるが、肥後銀行の試算によれば一連の半導体工場ラッシュで何と7兆円の経済効果があるというのであるからサプライズ!というほかはない。新たな高速道路を通し、工場で働く人たちのための住宅の手当て、さらには各種商業施設、ホテルの誘致などが県内の経済の上昇を呼び込むのである。そして半導体大型工場ラッシュは、100の新工場建設につながる。県外からクラボウ、ジャパンマテリアル、フェローテックなどが進出し、地元の関連企業も新工場建設を推進する。
今回のツアー企画は、28日の13時に熊本空港に集合し、13~17時は堀場製作所の現地法人である堀場エステック阿蘇工場、地元の半導体関連企業のOGICの第2工場、新日本ステンレスの本社工場を視察。18~20時は宿泊先の日航ホテルで泉谷渉のミニ講演会および懇親会が行われる予定となっている。
29日は9時30分に熊本県庁を訪問し、商工部長の三輪孝之氏のレクチャー、10時30分~13時は熊本城など数カ所を視察、昼食。そして13時30分~17時はグランメッセ熊本に行き、ソニーセミコンの山口社長などキーパーソンの講演会の聴講と、盛りだくさんの内容なのである。
参加費用は1人19万8000円、2人以上は割引あり。参加希望の方はTel.03-3249-0666または06-6312-0691まで。
ところで、ソニーが進出する合志市の御代地区では区画整理事業が進められており、国道387号線を挟んだ18万m²に商業施設、公園などが配置される。熊本電鉄の御代志駅南側の1万1000m²にはスーパー、飲食店、100円ショップ、ファーストフードの店が立ち並ぶのだ。熊本県はまさに半導体による街づくりの新モデルとなっており、ツアー参加の方は、半導体による国作りに発展することを想定し、良く観ていただきたい!と心から祈念するものである。
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泉谷 渉(いずみや わたる)略歴
神奈川県横浜市出身。中央大学法学部政治学科卒業。35年以上にわたって第一線を走ってきた国内最古参の半導体記者であり、現在は産業タイムズ社 取締役 会長。著書には『自動車世界戦争』、『日・米・中IoT最終戦争』(以上、東洋経済新報社)、『伝説 ソニーの半導体』、『日本半導体産業 激動の21年史 2000年~2021年』、『君はニッポン100年企業の底力を見たか!!』(産業タイムズ社)など27冊がある。一般社団法人日本電子デバイス産業協会 理事 副会長。全国各地を講演と取材で飛びまわる毎日が続く。