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国際協力銀行、製造業企業の海外事業展開調査報告発表、中期有望国はインドが2年連続首位


2024/1/9

 (株)国際協力銀行(東京都千代田区大手町1-4-1、Tel.03-5218-3100)は、わが国製造業企業の海外事業展開の動向に関するアンケート調査を実施し、結果を発表した。今後3年程度の有望な事業展開先国では、インドが2年連続で首位となった。中国は2年連続で得票率を落とし、過去最低の得票率を更新し、2015年以来の3位に転落した。

 今回の調査は、7月に調査票を発送し、9月にかけて回収したもの。調査対象企業数は987社、有効回答者数534社、有効回答率54.1%となっている。海外事業に実績のある日本の製造業企業の海外事業展開の現況や課題、今後の展望を把握する目的で1989年から実施しており、今回で35回目となる。

 23年度調査では、「事業実績評価」「中期的な事業展開姿勢」「有望事業展開先国・地域」などの定例テーマに加え、個別テーマとして「分断がススム世界経済下でのサプライチェーンの姿」「世界的な価格高騰による事業展開への影響」「サステナビリティの事業展開上の課題」などについて調査している。

 日本の製造業の海外事業展開は、コロナ禍からの回復傾向を維持も、強化・拡大姿勢はやや鈍化。22年度はコロナ禍からの回復の兆しが見える結果となったが、23年度も22年度の海外生産比率および海外売上高比率ともに前年度比で上昇し、回復傾向を維持した。しかし、ロシアによるウクライナ侵攻、米中対立の長期化に伴う地政学リスクの高まり、中国経済の減速傾向などを背景に、23年度の実績見込みは海外生産比率および海外売上高比率ともにほぼ横ばいで推移する見通しとなっている。今後の事業展開姿勢も国内外ともに前年度に比べ慎重な動きとなった。

 今後3年程度の有望な事業展開先国については、インドが幅広い業種で支持を拡大し得票率で他を引き離すかたちで首位を維持した。人口が中国を抜き、インフラが改善するなどの影響を受けているものとみられる。中国は、米中対立の長期化・中国経済の減速など、様々な懸念の高まりを背景に2年連続で得票率を落とし3位に後退。中国は米中対立、中国経済の減少などほぼマイナス要因しかなく、それでも3位にとどまったことは、それだけのポテンシャルがあるものと見られる。米国は、マーケットとしての評価は高いものの、足元の労働コストの上昇などが響き、得票率の減少につながったと見られる。米中の得票率の減少分がASEAN上位国やメキシコなどに分散し、脱中国の受け皿としての期待が高まるベトナムが初の2位となった。

 サプライチェーンの見直しの一方、中国依存も継続しており、地政学リスクの高まりから、国内投資強化の動きもある。米中対立、ロシアによるウクライナ侵攻などの地政学リスクの高まりを受け、サプライチェーンの原材料調達を見直す動きが見られるものの、代替困難な原材料・部品などの調達先として中国の存在は引き続き大きい。一方、中国国内の規制強化・投資環境の悪化に伴い、中国ビジネスに対する日本企業の不安感は大きく広がり、また、米国による対中規制が強化される中、事業運営への実際の影響も出ている。海外から国内への生産移管は電機・電子などわずかにとどまっているものの、政府の補助金などの優遇措置も考慮しつつ、国内投資の強化に積極的な姿勢が見られた。

 世界的な価格高騰で、コスト削減などに取り組む一方、価格転嫁の動きも進みつつある。約9割の企業が、エネルギー、材料、部品などの世界的な価格高騰の影響を受けていると回答しており、エネルギー使用の抑制や経費削減などの対応を迫られている。また、約7割の企業が価格転嫁を実施していることが分かったが、取引先からの理解が得られないことや、他社との競合があること、などの理由で価格転嫁を進められない企業も見られる。

 脱炭素への取り組みは大企業を中心に進展しており、生物多様性や人権問題は理解の困難さを背景に取り組みが限定的となっている。約65%の企業において脱炭素への取り組みが順調に進捗。各企業において、脱炭素への取り組みには、納入先からの要請、競合先の状況、また脱炭素技術動向などを考慮に入れているが、企業規模や業界によって進捗に差も見られる。22年度の調査で取り組みがあまり多く見られなかった生物多様性および人権問題については、理解の困難さや専門人材の不足および業界内での認知の低さなどがその背景にある。



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