電子デバイス産業新聞(旧半導体産業新聞)
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第104回

(株)メガチップス 代表取締役社長 高田明氏


グローバル展開を加速
早期に1000億円企業へ飛躍

2015/1/16

―― 直近の取り組みについて。
(株)メガチップス 代表取締役社長 高田明氏
 高田 私は2011年6月に社長に就任したのだが、そのとき当社はゲーム機向けLSIの比率が8割以上を占め、売上高の国内比率が100%であった。もちろんゲーム機向けのビジネスは今後も重要な柱であるが、さらなる成長を図るためにはアプリケーション分野を多様化し、グローバル展開を加速していく必要があると考えた。それを実現するための最初の大きな施策が、12年7月に行った川崎マイクロエレクトロニクスの買収である。

―― その効果は。
 高田 メガチップスはアーキテクチャーや論理/回路設計などの上流部分、川崎マイクロはレイアウトや物理設計などバックエンド部分と外部のウエハーファンドリー、組立、テスト会社を使い生産を行うオペレーションに強みを持つ。さらに、顧客層や保有技術などで重複する要素が少なく、非常に高い相乗効果を生み出し、トータルサービスのできるファブレス企業へと進化することができた。また川崎マイクロは、米国やインド、台湾、中国に開発や営業拠点を持ち、海外ビジネスに対応できる優秀な人材を多数有しており、グローバルに展開するうえでの基盤を構築できた。

―― グローバル市場での方針は。
 高田 先に述べた川崎マイクロの買収で、強みのあるASIC(特定顧客向けLSI)のビジネスをさらに強化できた。ただ、グローバル展開を加速するにあたり、製品がASICのみでは事業の拡大幅が限定的になってしまう。そこでASIC事業における安定した事業基盤の強みのうえに、(1)スマートフォン・タブレット、(2)IoT・ウエアラブル、(3)車載分野、(4)サーバー・ルーターなど、成長が見込まれる市場向けのASSP(特定用途向けLSI)に注力し、事業拡大を図っていきたい。

―― 技術開発動向は。
 高田 前述の成長機器分野を展開するにあたって必要性が高い技術のうち、液晶用タイミングコントローラーやオプティカル関連、イーサネットに関する技術はすでに豊富なノウハウを有している。そこに新製品としてセンサーハブLSIの「frizz(フリッツ)」を14年11月に発表した。また同じく11月にサブGHz帯(920MHz)用の無線LSI「BlueChip Wireless」も発表し、製品ラインアップの拡大を図った。
 無線LSIに関しては世界的研究機関のIMECと戦略的パートナーシップの締結も行った。既存製品よりもさらに送信時で2分の1以下、受信時で10分の1まで消費電力を低減できる超低消費電力無線通信技術の開発を目指し、現在共同開発を進めている。

―― 14年は海外企業のM&Aを積極的に進めました。
 高田 主なものは、まず4月に台湾のファブレス半導体メーカーである「モディオテック」を子会社化した。また、9月にSTマイクロエレクトロニクスから、機器間の映像インターフェース規格であるDisplayPort規格のオリジネーターを含むチームと関連の半導体事業を取得。11月にはMEMSタイミングデバイスでマーケットシェア80%を獲得しているSiTime(米カリフォルニア州)を買収した。
 モディオテックの件は、中国・台湾市場でのマーケティングならびに技術サポート力を強化する意味合いが強く、STマイクロやSiTimeの案件は先に述べた注力分野を展開していくうえで、獲得すべき重要な分野トップの技術や製品、海外有力顧客とのビジネスを得るためのものだ。

―― 今後の方針を。
 高田 14年はグローバル企業へ飛躍するための出発点と位置づけ、次々と積極的に手を打った。グループ全体の従業員数は14年初め時点で約720人であったが、14年末には約950人まで拡大。増加分はすべて海外の人員であり、グローバル企業への飛躍の第一歩を確実に踏み出したと言えるだろう。14年度は売上高が前年度比7.7%増の630億円を計画しており、海外比率が3割を超えてくるとみている。15年度は拡大したグループ内での連携強化に重点を置き、高いシナジー効果を出せる体制作りを進めていく。そして、できるだけ早期に2桁の営業利益率を達成し、1000億円企業へと飛躍することを目指していきたい。


(聞き手・本紙編集部)
(本紙2015年1月14日号1面 掲載)

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