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東大和病院、附属セントラルクリニック開院、一層の地域医療に貢献(下)


大高院長「地域の高度急性期機能の体制をさらに強化、2020年あたりの病院移転描く」

2014/9/22

 (社医)財団 大和会(佐藤光史理事長)の東大和病院(大高弘稔院長、東京都東大和市南街1-13-12、Tel.042-562-1411)では、「東大和病院附属セントラルクリニック」(桑田雅雄院長)が9月1日にオープン、病院との一体的な運営がスタートした。
セントラルクリニックの 320列CT
セントラルクリニックの 320列CT
 セントラルクリニックは、320列CT、3.0テスラMRIをはじめ、最先端の診断・検査機器を装備し、専門医による外来診療と、人間ドックや企業健診の健診業務と婦人科の外来診療を手がけている。
 セントラルクリニックは、「急性期病院としての検査機器増設の必要性、特に難易度の高い手術に伴う手術室不足解消、健診センターの利用者増加およびアメニティー低下の解消、高度医療を行うための剖検室と細菌検査室設置の必要性」(大高院長)から開設した。1989年、97年、2001年の増築により東大和病院の敷地内では増築が不可能であり、「機能の一部を分離することは、職員の移動ひとつとっても大変だが、患者さんのこと、地域医療への貢献度の向上のため、ホスピタル開設に踏み切った」と説明する。
セントラルクリニックの3.0テスラMRI
セントラルクリニックの3.0テスラMRI
 クリニックの開業に続いて、東大和病院では改修工事を施して、剖検室と細菌検査室、手術室の1室増設(計5室)、健診センターと外来ブース跡地でDSAの増設を予定している。大高院長は、「血管撮影や血管内手術も可能なDSAと一般の手術も行えるような多目的な手術室としたい。また、エコー室を拡張し、使い勝手を良くしたい」と抱負を語る。ハイブリッド手術室は術中撮影が可能で、脳外科の手術で威力を発揮する。
 13年度に救急車が搬送した患者5892人の4割を占める脳神経外科では、11年にSCU病棟を開設、12年12月に12床へと増設した。大高院長自ら診療、当直にあたり、「SCUの開設には、5年以上の経験のある神経内科、もしくは脳神経外科の医師が必要で、当院では私を含め7人の医師が交代で当たり、365日24時間体制を維持し、さらに来年には6人となるが、この体制を継続する」(大高院長)とのことで、リーダーシップ、チームワーク、献身的な医療提供の姿勢がうかがえる。
 入院の包括医療支払制度(DPC)機能評価係数IIは、データ提出係数(データ精度)、効率係数(在院日数)、複雑性係数(重症度)、カバー率(診断群別の症例の多さ)、救急医療係数(緊急入院2日間の医療資源)、地域医療係数(5疾病、5事業への取り組み)をそれぞれ評価し点数化したもので、見方を変えれば国が急性期病院のあるべき姿を具現化したといえる。大和会年報2013年度版では、大学病院のI群(80病院)、それに準ずるII群(99病院)、その他のIII群があるが、東大和病院は同病院の属するIII群において、13年は12年よりランクアップし、全国1326病院中51位、東京106病院中5位で、14年3月の発表では、全国1406病院中25位、東京109病院中2位とさらにランクアップしている。
 大高院長は、「これは、われわれが着実に救急医療などの公益性の高い医療を提供し、医療スタッフを充実させ、チーム医療を重視し、地域連携に注力して、地域の急性期中核病院としてあるべき姿を追求してきた結果であり、われわれの考えの方向性が間違っていなかったという証であると思っている」と、これまでを振り返りながら、「平成26年度の診療報酬改定は実質1.26%のマイナスであり、消費税率アップとともに、設備投資が必要な病院には負担がのしかかる。7対1看護基準のふるい落とし、さらに、病床機能報告制度と地域医療ビジョンの策定がスタートしており、各病院は自院の担う医療機能を選択して都道府県に報告しなければならない。そういう中で、当院は高度急性期機能、もしくは急性期機能を担うべく体制強化を図っていく」と抱負を語る。
東大和病院外観
東大和病院外観
 大和会は、急性期医療から在宅医療・介護、保健・予防まで、周産期・出産、こどもから高齢者までの健康と福祉を守ることをモットーに、施設の運営と施設の充実、人材の育成に取り組んでおり、また、毎月開催する公開医学講座は200回を超え、疾病と治療の情報発信や健康の普及啓発を続けている。
 長期構想に掲げる東大和病院の移転新築について、大高院長は「セントラルクリニックを開業できたので、当面の課題は解消できたが、将来にわたり理想的な病院像を具現化するには、今回のクリニックではまだ十分ではない。移転場所など課題も多いが、可能であれば、2020年くらいに新病院を移転新築したいという目標を持っている」とビジョンを示す。

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