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川崎市立井田病院、II期建物が12月竣工、15年度から立駐などIII期工事


II期で救急部門・内視鏡・化学療法部門を拡充

2014/9/2

新病院のイメージパース
新病院のイメージパース
 川崎市立井田病院(川崎市中原区井田2-27-1、Tel.044-766-2188)は、同地で同病院の再編整備事業を進めている。工期を3つに分け、すでにII期工事の建物の建設を進めており、12月に竣工する。2015年1月からIII号棟の機能をII期建物に移設し、順次オープンする。その後、15年度からIII期工事としてIII号棟を解体し、跡地に立体駐車場や院内保育施設などの整備を予定している。なお、既存の緩和ケア病棟は現状のまま運用していく。
 同病院は、1949年に診療科目2科、病床数50床で発足。その後、川崎市の中心部における地域住民の医療ニーズを満たす総合的な公立病院に発展し、現在に至っている。しかし、98年に建設された緩和ケア病棟を除く既存の建物は総じて老朽化が進んでいるうえ、81年5月31日以前の旧耐震設計基準に基づいて建てられたものであり、同市が実施した耐震診断結果では震度6強~7程度の地震で倒壊または崩壊する危険性が高いと診断されたため、再整備事業を行うこととなった。
 新病院の基本方針としては、患者の増加が予想されるがん、心疾患、脳血管疾患、糖尿病、腎疾患、呼吸器疾患、ターミナルケアなどに対応した高度・特殊な成人疾患医療を担う病院と位置づけ、がんなど高度・特殊な医療を提供するほか、成人疾患医療や2次救急医療、結核医療を強化する。また、地域医療との連携も推進していく。
 これまでの経過を見ると、準備工事として09年9~10月にI号棟、血液センターを解体し、同年10月からI期工事の建物建設に着工、12年5月1日にオープンした。II期工事では、II号棟、看護師宿舎を解体し、その跡地でII期建物を建設している。
 すでに開院しているI期建物は、RC造り地下1階地上7階建てで、地下1階には放射線部門のほか、栄養給食部門、薬剤部門、機械室、ポンプ室などがある。地上1階は外来部門や管理部門、放射線部門など、2階はリハビリテーション部門、中央滅菌部門、検査部門、管理部門、外来部門、食堂・売店などとなっている。3階には手術部門、MEセンター、ICU・CCU、スタッフステーション、デイルーム、病棟などがある。4~7階は病棟、スタッフステーション、デイルームで構成されており、7階のみ腎センター、機械室がある。屋上階には、消防ヘリが離着陸できる緊急発着場が設置されているほか、環境対策として太陽光発電設備も設置されている。
 建設中のII期建物は、RC造り地下1階地上7階建てで、地下1階には管理部門や検査部門など、地上1階には管理部門、検査部門、救急部門などを配置する。現在はI期建物の外来部門の一部を間借りして救急部門を設置しているが、II期建物で整備される救急部門では救急専用の入り口も設けるほか、スペースも現在より多く取れるため、より高度な救急医療が可能となる。2階には、内視鏡部門、化学療法センター、管理部門、外来部門などを配置する。3~7階は病棟とする。病棟には新たにHCU 12床を設置する。
 なお、同病院ではI期建物とII期建物を合わせて病院棟としており、規模は地下1階地上7階建て延べ3万2707m²、建築面積6600m²の免震構造となる。病床数は一般320床(ICU・CCU 8床含む)、結核40床の計360床を予定しており、既存の緩和ケア病棟の緩和ケア病床23床を含めると計383床となる見込み。診療科目は現在35科目を標榜しているが、病院棟の完成による科目数の増減は未定としている。
 II期工事完了後に行うIII期工事では、主に立体駐車場、院内保育施設、病院棟玄関前などの整備を行う。立体駐車場はスキップフロア方式の2階建てで、150~160台を収容する。II期工事中の駐車台数は平置きで90台程度となっており、病院前面の道路で外来患者など来院者の車による入庫待ちが発生することもあるが、立体駐車場の整備で駐車台数の増加を図る。また、現在は緩和ケア病棟の会議室を利用して運営している院内保育施設も整備する。さらに、現在はI期建物の東側の敷地に仮設されているバスロータリーを病院棟玄関前に整備するほか、III号棟の正面に仮設されているタクシー乗り場も同様に整備する。III期工事は現在設計段階で、今後入札し施工者を選定する予定。なお、再編整備事業とは別に病院西側の斜面の補強工事も計画している。
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