電子デバイス産業新聞(旧半導体産業新聞)
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第81回

セイコーインスツル(株) 執行役員 半導体事業部長 下田貞之氏


電源IC 車載で強み発揮
EEPROM 高シェア堅持

2014/7/11

―― 2013年度(14年3月期)の業績と14年度の見通しを。
セイコーインスツル(株) 執行役員 半導体事業部長 下田貞之氏
 下田 13年度の半導体事業の売上高は、円安の好影響を受けて前年度比10%増の300億円弱となった。14年度は13年度比横ばいを見込んでいる。というのも、主力製品のリチウム電池保護IC、ホールICはスマートフォン(スマホ)向けが多く、下期の各メーカーの動向が不透明だからだ。
 当社のリチウム電池保護ICは、海外メーカーのハイエンド機種で採用されているほか、ミドルクラスの中国メーカーのスマホでも採用され、デファクトスタンダードとなっている。このため市場の波に大きく左右される。今後は、不透明な部分を確実にすべく、車載向けに注力していく。

―― 製品構成について。
 下田 売上高における製品別構成比率は、電源ICが50%、EEPROMが25%、センサーが10%、残りがアナログICやクロックを含むその他だ。アプリケーション別には、スマホや白物家電を中心とした民生向けが70%、車載向けが20%、産業向けが10%だ。車載向けは18年度に30%を占める事業の柱に成長させるべく注力していく。
 スマホ向けで培った電源ICの技術を車載向けにも応用展開する考えで、具体的にはCPUの電源向けが視野にある。近年は、12Vバッテリーにレギュレーターを直に接続するケースが増えており、ここに当社の電源IC技術の強みを発揮できると見ている。当社のEEPROMは、国内市場で8割のシェアを堅持し、車載ではトリップメーターなどに採用されている。ここで築いた営業ルートを活用できることも強みだ。

―― 新製品の開発も進めています。
 下田 車載では、ステアリングやブラシレスモーター向けにホールICの開発を進めているほか、14年1月には、衝撃検知センサーの超小型MEMS加速度スイッチを発表している。これら新製品で採用拡大を図り、18年度の目標を達成していく。
 半導体事業には、工場、外注も含めて1000人ほどが従事している。7月からは新しい組織も発足させ、今後のターゲット製品の開拓や車載向け販売体制の強化を進めている。

―― 具体的には。
 下田 マーケティング部隊を新しく発足させた。将来的なターゲット市場、製品開発の開拓やリサーチに注力していく。また、これまで国内・海外市場向けで分けていた営業販売体制を、車載向けも含めてグローバルに販売を手がける体制に組織替えした。

―― 生産体制について。
 下田 生産は高塚事業所(千葉県松戸市)が担う。生産能力は6インチウエハーで月産2万~2.5万枚、プロセスノードは0.6μmをメーンに0.35μmまで手がけている。当社製品の特徴から、ウエハーサイズは6インチが最適で、8インチ化は視野に無い。後工程は秋田工場(秋田県大仙市)で手がけている。
 0.35μm以下の0.18~0.13μm製品は、中国、台湾、韓国のファンドリーに委託し対応している。ファンドリー委託比率は25%で、国内工場の能力以上の生産やプロセスノードについては積極的にファンドリーを活用していく方針だ。稼働率は、リーマンショック直後は7割程度まで落ち込んだが、現在はフル稼働が続いている。
 設備投資は例年、売上高の5~10%程度で推移している。13年度は抑えたが、14年度は例年並みを計画しており、0.35μmプロセス向けに最新装置を導入するなど、設備の更新を実施していく。


(聞き手・本紙編集部)
(本紙2014年7月9日号1面 掲載)

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