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東北地方の医学部設置構想委員会、今夏にも1校を選定、16年度開校へ


南東北グループの脳神経疾患研究所、宮城県立医科大、東北薬科大が応募

2014/7/1

東北地方における医学部設置に係る構想審査会(第1回)
東北地方における医学部設置に係る構想審査会(第1回)
 文部科学省(東京都千代田区霞が関3-2-2、Tel.03-6734-2509)は6月16日、都内で「東北地方における医学部設置に係る構想審査会(第1回)」を開催した。審査委員12人のうちから座長に学習院大学経済学部教授・経済学部長の遠藤久夫氏を選任した。7月中に申請された南東北グループ「(仮称)国際復興記念大学」、「東北医科薬科大学」、「(仮称)宮城県立医科大学」からヒアリングを行うなど、今夏にも候補者の審査を実施して1校を選定する。さらに10月をめどに文部科学大臣の審査および認可を経て、2016年4月の開学を目指す。
 国内の医学部は全国に80学部と防衛医大がある。1981年の琉球大学医学部新設を最後に、その後の設置はなく、入学定員総数も82年の閣議決定により抑制されてきたが、地域の医師確保の観点から06年の4大臣合意で新医師確保総合対策として定員増の方針を決定し、07年から14年までに入学定員総数は1444人の増員が図られ、9069人となった。
 今回の医学部設置認可の取り組みは、13年12月に閣議決定した東日本大震災の被災地の復旧・復興の施策として「東北地方における復興のための医学部新設の特例措置」を講じるもの。基本方針では、実現可能な構想の1つを採択して、文部科学大臣による設置認可審査の手続きを行う。また、設置者に求める必要な条件として、(1)震災後の東北地方の地域医療ニーズに対応した教育などを求めており、総合診療や在宅医療、チーム医療などに関する教育、災害医療に関する教育、放射線に係る住民の健康管理に関する教育を行うこと、(2)教員や医師、看護師の確保に際し、引き抜きなどで地域医療に支障を来たさないような方策を講じること、(3)大学と地方公共団体が連携し、卒業生が東北地方に残り地域の医師不足の解消に寄与する方策を講じること、(4)将来の医師需給などに対応して定員を調整する仕組みを講じることなどを挙げている。
 現在の医学部設置基準では、教育研究に必要な附属病院の設置が求められており、収容定員数別の設置基準として、収容定員360人(入学定員60人まで)の場合、専任教員数は130人、校舎面積1万2650m²、附属病院面積2万8050m²、病床数600床。収容定員480人(入学定員80人まで)の場合、専任教員数140人、校舎面積1万4300m²、附属病院面積3万1100m²、病床数700床。収容定員600人(入学定員100人まで)の場合、専任教員数140人、校舎面積1万6750m²、附属病院面積3万3100m²、病床数800床。収容定員720人(入学定員120人まで)の場合、専任教員数140人、校舎面積1万8250m²、附属病院面積3万5100m²、病床数900床としている。
 附属病院に必要な診療科目は、内科、精神科、小児科、外科、整形外科、皮膚科、泌尿器科、眼科、耳鼻咽喉科、産婦人科、放射線科、麻酔科。
 このほか医学部および附属病院の施設・設備の整備に係る標準設置経費等(私立大学の場合)について、収容定員480人の場合、施設の整備に要する経費(うち附属病院分)は119億5200万円(95億4200万円)、設備の整備に要する経費は、66億7200万円(49億6900万円)、合計186億2400万円(145億1100万円)。収容定員720人の場合、施設の整備に要する経費は138億4600万円(107億7000万円)、設備の整備に要する経費は89億3900万円(63億8900万円)、合計227億8500万円(171億5900万円)としている。
 医学部設置を求める事業主体は3者で、南東北グループの一般財団法人脳神経疾患研究所(国際復興記念大学設立準備室)は、福島県郡山市に「(仮称)国際復興記念大学医学部医学科」を16年4月に開設する。入学定員は100人で、施設は敷地約9万m²に、附属病院(病床数635床、35診療科)を整備する。
 東北薬科大学は、仙台市に「東北医科薬科大学医学部医学科」(東北薬科大学から改称予定)を16年4月に開設する。入学定員は100人で、附属病院(病床数466床、22診療科)と16年7月に開院する新石巻市立病院(病床数180床、6診療科)を石巻地域医療教育サテライトセンターに位置づけている。
 宮城県が設置主体となる「(仮称)宮城県立医科大学医学部医学科」(または(仮称)宮城大学医学部医学科)は、宮城県栗原市で、16年4月の開設を予定している。栗原市築館の栗原市立栗原中央病院を大学附属病院の中核施設として、県立大学による医学部を新設する。さらに県立循環器・呼吸器病センターを再編統合することで、必要とする一般病床600床を確保する。18年4月をめどに医学部教育課程の校舎と附属病院の整備を行う。
 第1回構想審査会では、座長に遠藤久夫 学習院大学教授(副座長は永井良三 自治医科大学長)を選任した。今後、座長については委員の互選により選出する方針とした。主な議題は、今後の審査会の進め方や審査の観点などについて、各委員から意見が出された。特に現在の医療提供体制について根源的な課題が多く指摘された。08年以降、医学部の入学定員総数が増やされたものの、過疎地域に残る医師が少ないことが原因となって医師が不足しており、地域に医師を配置する制度を確立することの必要性、また地域に残る総合診療医の養成を目的としているが、全国的に総合診療医は不足しており、専門医養成を中心とした教育カリキュラムと並行して総合診療医の養成が重要としている。このほか東北地区で東北大学の医師、教員を採用しないで大学が成り立つかといった意見もあり、医師の引き抜きにより全国の地域で医療サービスに不足を生じさせないことも指摘されている。
 第2回は7月上旬に、応募した3者からのヒアリングと意見交換を行い、第3回は7月中旬に、関係自治体の岩手県、福島県、東北市長会、また東北地方の医科大学の東北大学、岩手医科大学、福島県立医科大学、さらに全国的に医療を担う団体の日本医師会から意見聴取を行う。なお、2回および3回の構想審査会は非公開とする。その後、第4回構想委員会で1校を選定するとしている。
 なお、各委員は次のとおり(敬称略)。泉美貴(東京医科大学社会医学部門医学教育学分野教授)、遠藤久夫(学習院大学経済学部長)、岸玲子(北海道大学環境健康科学研究教育センター副センター長)、木場弘子(キャスター、千葉大学客員教授)、桐野高明(独立行政法人国立病院機構理事長)、小山信彌(東邦大学医学部医療政策・渉外部門特任教授)、津田喬子(名古屋市立東部医療センター名誉院長、前公益社団法人日本女医会会長)、永井良三(自治医科大学長)、濱口道成(名古屋大学総長)、伴信太郎(一般社団法人日本医学教育学会理事長、名古屋大学大学院医学系研究科総合医学専攻総合診療医学分野教授)、邉見公雄(公益社団法人全国自治体病院協議会会長)、山口育子(NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長)。
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